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目に見えない幸せ

 私は、20歳の時に初めてお付き合いした人と、6年間付き合ってから結婚したのち、息子が生まれてからわずか1年半足らずで離婚した。

息子は今5歳になって、もう肌はアトピーの影も見えないほどきれいになった。今でこそ、そんな息子と共に穏やかな気持ちで過ごすことが出来ているが当時は、毎日が辛く、楽しいこともなく、息子の顔をみても笑顔になれなかった。 

 生後3か月のころから乳児湿疹が出て、症状が悪化・長期化し、アトピー性皮膚炎と診断された。

 「ステロイドの塗り薬は副作用がある」と言われたことをきっかけに、ステロイドをぬらずに回復することを願って病院を選び、食事療法や、生活習慣の中でできることをかたっぱしからやったが、当時の夫やその家族も含め、周りの目は冷たかった。

 一緒にでかけても、道行く人から指をさされて内緒話をされたり、「ちゃんと病院に連れて行っているの?」と直接聞かれたりすることもあった。自分なりに努力しているつもりなのに、元夫や義母、義理の祖母からさらに別の努力をしろと言われたことが辛かった。

 私のことは信用できないと元夫の家族から言われた。育児だけでなく、自分の人格まで否定されるようになり、自分は価値のない人間なのだと当時は本気で思っていた。

 また昔のように、穏やかな気持ちで一緒に過ごし、息子と共に3人で暮らしていける未来が見えなくなり、離婚という道をえらんだ。

 離婚して気持ちが軽くなったはずなのに、自分という人間の価値をもう一度見つけることに必死だった。産休・育休で離れていた仕事に戻って、自分の力で働いて食べていけるだけの力をつけようと考えたり、自分の女性としての価値を確かめたくて、マッチングアプリをやって彼氏を作ったりもした。

 人の幸せをよろこべない。

 人から言われた言葉を回りくどく解釈して勝手に傷ついてしまう。

 そして、被害妄想を膨らませて相手を攻撃してしまうこともあった。


 私は、幸せになれるのかな・・・

 幸せって、なんなのかな・・・


そんなことを考えながら、月日を過ごした。

後ろ向きだった私の心は、いろいろな人との出会いによる考え方の変化によって、少しずつ前向きになってきたように感じている。


以前は、絶対に再婚して、前の夫を見返したい!!!とやっきになっていたが、今は、

息子の成長とともに、歩いていける自分の喜びやその時間の尊さにようやく気付くことができ、とても心が穏やかになった。

まるで、今まで目に見えなかった幸せがみえるようになったみたいだ。

息子に関して、私がここ4年間ずっと思い続けてきたことがある。

実は、息子の名前の漢字を変更することだ。

親のエゴだと思われても仕方がないことだが、今の息子の戸籍名は、名前の響きは前の夫との意見の合致考えたものだが、
漢字は当て字で、しかも3文字。自分の意見が言えなかったことと、その名前の文字に思いがこもっていないことが、どうしても我慢できずに
変更の申し出をした。

4年前にも一度申し出たが、その時は、「使用実績がなければ無理です。」とあっさりと却下されたが、今回は使用実績をたっぷり積み、
証拠の書類もたっぷりと提出した。

来年小学校入学を迎える前に、どうしても戸籍名を変更したかったのだ。

昨日、調停委員との面談があり、しばらくは結果を待ちながら過ごすのである。

調停委員は言った。「名前を変えることは人格をかえるということ。それだけ重大なことですし、覚悟のいることです。」

たしかにそうだ。

離婚したときに、養育費の値下げを要求してきた元夫の態度にはいまだに腹が立つし、長年にわたって自分の人格を否定されたこと、息子に危害を加えようとしたことがまだ許せず、面会するなんて考えられないけれど、
もし、いつか面会が実現したら、名前の漢字を変更したことをどう思うだろうか。

まちがいなく、悪い気になるだろうし、実際にそれでトラブルになったこともあると調停委員も言っていた。

リスクはあるし、この選択が絶対的に正しいとは思わない。

だけど、息子の人格の一つともいえる名前の字を変えてでも、
息子の新しい人生を共に歩んでいきたい。

もし、今回認められなくても、
また数年後に再度申し出るつもりだ。

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