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ギンコ・ビローバ 樋口円香 読解(ネタバレ有)

【ギンコ・ビローバ】樋口円香についての個人的考察・読解・疑問の提示
既にカードを所持してTrue含む全コミュイベントを読んでいる事前提の雑記


円香の不言の精神や、内面に踏み込んで欲しくないという心理は一貫して書かれている

「囀」

料理番組のテーマソングを歌いながら、優雅にお菓子作りをしているP。そこへレッスンまでの時間つぶしに円香が来る。
Pは「スタッフに教わった料理のレシピを実践し、結果を報告すること」を大切な仕事の一部であり、積み重ねだと言う。
(→「噤」で円香が映画の感想を関係者に述べた事に繋がる)

以下選択肢

『よかったら円香も』
円香はオーブンの中のマフィンを見て「あなたが込めたとかいう気持ちも、見えませんね」と言う。
気持ちを込めても他人からは分からないと伝えたいのだろうか。

『持っていってくれ』
「業務命令であれば」。プロデューサーからアイドルへの指示であれば従うという意思表示。

『もうすぐ焼きあがるから』
「偉そうな肩書の癖に暇を持て余している」「歌いたいときに歌っていいのは小鳥だけ」と皮肉を言う円香。
時間になりレッスンに向かう円香を引き留めようとしたが、それはせずプロデューサーとして「頑張って、いってらっしゃい」と言うP。
「やめてもらえます?最後だけ『プロデューサー』みたいにするの」と返答される。
円香が肩書・プロデューサーらしさにこだわる様子が見られる。

自身のアイドルという肩書についてはどう思っているのか。

「信」

選択肢次第で円香は自分の思っていることを吐露する
電車に乗り合わせた女子高生たちが、円香の同級生だったらしく、噂話をしているのが耳に入る。Pは円香の心情を気にして車両を移ろうとする。

『でも』『気にしないからって』
何も教えてくれない。後者に至っては「私の代弁者になろうとしないで」と言われる。

『そうだな』
円香は自分の事を代弁されるのは嫌いで、心情に踏み込んで欲しくないという心理を持っている。
それを侵害しない選択だったため、円香から女子高生が言っていた事が嘘であるとの訂正を聞くことができる。言葉への誠実さが伺える。

「噤」

「囀」から繋がる円香の誠実さと、恐れ
喫茶店でレモンティーとコーヒーを注文するPと円香。映画の試写会へ呼ばれたらしい。そこへ関係者が来る。
円香は映画の関係者に試写の感想を聞かれ、自分の心情とともに述べる。(円香はプロデューサーの話をきちんと耳に通して、自分も実践しているということ。下記選択肢に繋がる)

『長引いて悪かった』
円香はこれを「必要な時間だった」「大切なんでしょ、ああいう積み重ねも」と言う。(「囀」でのPの言動を踏まえて)

※このあと「どんな話だったか半分くらいは覚えてない」と言う円香に対して、Pは「もう半分は俺が引き受ける」と答える。(半分の意味とは何か)

『楽しめたようで…』
「あの映画は、できればひとりで観たいものでした」「感想を言葉にしなくていい時、…」「そういう映画でした」
好きなものほど他人に隠したがる円香の性格ゆえの発言であることが分かる。下記の選択肢に裏付けされている。

『好きなのか?』
「特には」と返され、好きだと思えるものが見つかったら教えて欲しいと頼むP。
しかし永遠に返事はできないという円香。「大切なものほど、人に話したくない」(心情を知られたくないという心理)
つまり、円香は心からあの映画が好きで、感想も本音で述べていたということ。(喫茶店でぼーっとしてPの話を聞いていなかったのは映画の事を考えていたためだろう。それほどまでに好きな映画だった。)

「偽」

他のアイドルの子を励ましている様子の円香。
自分は「優しくない」ので「願いはかなわない、適当に生きる方が楽…」と教えて"あげなかった"、と言う。

『それでも、よかった』
「どんな形であれ決着はあの子自身でつけるさ」とPが言うと、円香は微笑む。
「アイドルだからって、薄手の衣装とかありえない」「まわりの人たちは身を守るためにあたたかい服を着てるのに」
「今日は一段と寒いもんな」
「今日だけじゃ、ありませんが」
前述のアイドルはアドバイスを受けて「素の自分で勝負する」と言っていた。薄手の衣装とは、身を守るために着ている服とは何か。

『円香は優しいよ』
「たぶん、嘘をつこうとしてないし」と評するP。
→円香は嘘で励ましたわけではなく、正解など分かっていない。自分の発言に対する誠実さへの言及。
「言葉に誠実なのかなって」と言われ、円香は含みのある笑いをする。
「それで構いません。たぶんね」と返す円香。Pに心の内を悟られたようなことを言われ、意趣返しも込めてたぶんを付けたのだと思われる。

『大丈夫』
Pは"願いは叶わない"と考えることも一つの方法だが、唯一の方法ではないと諭す。世渡りの方法にもいろいろな手段がある事を示す。
「ライバルになったら受けて立つ」というP。円香は「受けて立つのはあなたじゃないでしょ」と返す。

「銀」

二人はイチョウ並木を背景に会話している。

「欠点を愛嬌に変えて…」
Pは欠点も含め、"プロデューサーらしさ"に繋がる行動をしようと努めている。そして円香の評価をかいかぶりだと否定する。肩書は形だけのもので、何をするかでしか語れないと考えている。
「スーツを脱いだら、そんなにできた人間じゃないんだからさ」と言うPに対し、円香はまた皮肉気味に返答する。
「スーツを着ている時は、出来た人間だと自負していると」
Pは、それはまだ"願望"だと吐露する。
(ここでモノローグに暗転する)
「あなたは」「愚直で」「折り目正しく…」

円香は嘘をつかずとも、本音をさらけ出さずとも、本心からの行動はでき、精一杯自己プロデュースをすることで誠意を見せることは可能であることを理解している。そしてそれを美しいと思っている。(にも関わらず、Pを信用ならないと言うのはなぜか。)

→最後の台詞
おそらくイチョウの葉になぞらえた言葉。
ここで「噤」で円香が述べた映画の感想を振り返る。

「最初は主人公をつまらない男だと思っていた」→Pのこと
「心情がピアノの音とリンクしている」→心情はそのままピアノの音は言葉
「ピアノに触れた瞬間」→言葉にした瞬間
「世界が金色に染まった」→イチョウの比喩
「彼の心が世界に溢れた表れ」→本心が言葉にされたこと

としてみる。では、イチョウが表しているものとは何か。

このコミュでは「言葉にする」プロデューサーと「言葉にしない」円香の心情の対比が書かれている。
しかし、円香も言葉にする場面が増えていっているように思える。なぜか。


ホームボイスについて

私服→プロデューサーに対する言葉。あるいはイチョウ。
ライブ→円香は"嘘をついている"のか?
ライブ★1特訓→「囀」での円香の台詞を想起させる。小鳥=Pだとすると、Pのようにはならないと言っているように聞こえる。


ギンコ・ビローバについて

ゲーテの詩集に「銀杏の葉(ギンコ・ビローバ Gingo biloba)」がある。
タイトルと関連しているかは定かではないが一応

「東方から私の庭に来たイチョウの葉は
秘密の意味を味わわせて 知者の心をよろこばす
これは一枚の葉が二つにわかれたのか?
それとも二枚の葉が互いに選びあって一つになったのか?
このような問いに私は答えを見出した
わたしの詩を聞いてあなたは感じないか
わたしは一枚でありながら 二枚ではないか」
(翻訳機使用。原文はドイツ語)

コミュを踏まえて葉の二枚を置き換えるとすると、

言葉|本心
アイドル|素の自分
プロデューサー(できた人間)|そんなにできた人間じゃない 
円香|P  

果たしてどれか当てはまるものはあるだろうか。

イチョウと小鳥

イチョウについて、もう一つ詩がある。
出典は与謝野晶子の「恋衣」(1905年)

金色のちひさき鳥のかたちして銀杏散るなり夕日の岡に

この詩は、秋の夕日に照らされ舞い散るイチョウを「金色の小鳥」と比喩している。
今回のカードで円香は「小鳥のように」という比喩を何度か用いている。(特定の人物に対して)
上記をふまえ、改めて「イチョウ」が何を指しているのか。