あなたが生まれたその日の日 8/23

人には秘密が付き物
"乙女の体重"
"秘めたる誰かへの想い"
そして
"意外な趣味"

どんな秘密にせよ、それを封じる鍵の素材は人それぞれだ
恥ずかしい、現状を壊したくない、からかわれたくない
でも人それぞれだとしても共通するのは"何かを守りたい"事
自分の心、相手の心、2人の繋がり

もちろん私にも秘密の1つや2つはあるわ
10いくつ人生経験積んだ女だし
ただ時たま思う事がある

…どうしてこんなに隠したいんだったかしら


7/1
「おねえさぁ」
「何よ今忙しいんやけど」
「…進捗どない?」
「しばくぞ」
「自業自得やろ勢いで応募したくせに」
「じゃかぁしぃ、なら手伝えや」
「やーよ人使い荒いんやもん、べー」
「ったく…なして同じ親からこげん違うのが生まれるんや…」

しかし妹の言うことも百理ある
何を血迷ったか夏コミに応募してしまいそして何故か受かってしまった
時間が取りやすい学生の間に一度くらいは、と思ったのだけど…
とりあえず漫画にしようとあらすじを書いて作画してみてるけど、最悪な事に原稿の方はそんなに進んでない…出来れば半月前…最悪でも1週間前までには入稿したいのに…
はぁ…
せめてネタの相談できる相手がいれば…

あー

あー…

…背に腹は

-後日、某所カフェ-
「というわけでどうかアドバイスお願いします…」
「えぇ頭上げてホタル…」

数少ない私がオタクであることを知るアメリアに相談することにした
彼女もストーリーの創作をする事があるのでまた別の視点から得られることもあるだろうと思ったのだ

「描いててもシーンが上手く想像できなかったり違和感を感じる部分もあったりするから元のプロットから見直せば描きやすいんじゃないかと思って…」
「手伝うのは全然構わないんだけど私でいいの?」
「アメリアぐらいしかいないのよ」
「うーん…なら頑張るけど…ちなみにどういうストーリーなの?」
「男女の失恋物?幼馴染の男の子が好きだけどその男の子にも好きな人がいて、自分の気持ちを抑えながら応援する感じかしら」
「ピッ」
「え、やっぱこういうの王道すぎて受けないかしら…」
「いや…受ける受けないはわかんないけど…そういう失恋物はこっちまで辛くなっちゃうから少し苦手というか…いや好きは好きだけど…」
「どっちなのよ」
「…創作としては好き」
「…なんかごめん」
「大丈夫…じゃあ読んでみる…」
「うん…」

少し悪い事しちゃったかしら…
アメリアは何と言うか、素直過ぎるところもある分感受性が強かったりするのかしら
まぁしょうがない…手伝ってくれると言ったのだから素直に頼りましょう…

「ゔぇ…」
「…はいティッシュ」
「ありがズビッと」
「プロットでそんなに泣かれると逆に困るわね…」
「新しくいい人見つかって欲しい…」
「…あなたが二次創作で救ってあげて」
「ニジソーサク?」
「えー…簡単に言うと原作を元に自分で創作する事よ、この場合だとこの漫画のキャラを登場人物として新しくストーリーを作る…みたいな」
「あー」
「ちゃんと感想書くから」
「原作の作家さんから感想貰えるってすごいね」
「そんなんじゃないわよ…とりあえず!読んでどうだった?」
「…ページ数ってこれだけ?」
「それだけ」
「…少なくない?」
「日数的にそれぐらいしか描けないのよ、筆がそう早いタイプでも無いし…」
「そっか…そうなるとどうしても細かいところは削らないとダメかぁ…ちょっと前半に詰め込んでる感じがあるから後半ちょっと慌ただしい感じがあるかも」
「あー…導入にちょっと割きすぎたかしら」
「だからバランス考えるとここら辺カットして…」
「うん…」

この日は展開のバランスを一緒に見直す事となった
やはり色々読んできたのだろう、的確に納得のいくアドバイスを貰えた


7/9
「メーメールールー」
「え、メール?鳴ってた?」
「you got a mail!…じゃなくて、この間ホタルとどこか行ってたんでしょ?」
「うん」
「何話してたのー?」
「えー…」チラッ
(ナ•イ•ショ)
「ちょっと…秘密の話を…」
「んなっ」
「うっ」
「メルが秘密にするなんて…スーパーミラクル内緒…」
「そ、そう…スーパーミラクル…」
「ウルトラエクストリーム…」
「ウルトラエクストリーム…」
「うー…内緒なら仕方ないね…」
「ごめんね」
「いいの、メルがダメなら…」
「え?」
「敵は本の寺!ホタル!」
「内緒よ」
「えぇ!?」
(いやまぁそりゃそうでしょ…)
「さっきから何の話ししてるんだ?」
「メルとホタルが内緒話してるの」
「はーん、秘密を吐かせるには普通の会話に唐突にぶっこむと口を滑らせやすいぞ」
「口が滑るの?」
「そらもうバナナの皮並みに」
「はえー、ホタルー」
「見えてるバナナの皮を誰が踏むのよ」
(でエイミー、こんだけ喋らないのは“アレ”か?)
(まぁ、そっち絡み)
(あぁ…別にいいんじゃないかとも思うんだけどな)
(こればっかりはホタルの意思だから…)
(まぁそうなんだけどさ)

もうアメリアと昭にもバレたからマリアももういいんじゃないかとは思ってはいる
思ってはいるけど…
二人はきっかけがあったからその流れで話せた、だからマリアにも何かきっかけがあれば話せるんだろうけど…
悪い子じゃないから罪悪感あるわね…


7/16
残り半月
幸いペース自体は問題なさそう
あとは「もうちょっとここ拘りたいな」病さえ発症しなければ

「おねえー」
「なん」
「…進捗どない?」
「…ふん」ドヤァ
「は?ムカつく」
「表出んか」
「ところでブースは一人で立つの?」
「んー?頼める人もおらんしなぁ」
「でも買い物もするんしょ?」
「せやな、なんかあったら買うてくるけど」
「おーきに、じゃああんま空けん方が良かない?」
「まぁせやけど…」
「友達とかに頼んだら?」
「うーん…」
「…じゃあリスト作ってくるけん考えとき」

初めてだからよくわからないけど確かにそんなに空けない方が良いは良いんだろう
そうなると誰かに頼む事になるんだけど

…いなくない?

頼める条件としては
「自分のオタク趣味を知っている」
「オタク趣味に理解がある」
「過酷な環境に対する耐性がある」
ハードルが高すぎる、特に三つ目
冬だったらまだしもなぁ…
昴ねーさんとも思ったけどさすがにあの環境に手伝ってもらうため誘うのは気が引ける…
うーんそういえばその問題を失念していた、まぁ別に一人でもいいんだけどせっかくなら誰かしらと一緒に楽しみたいし

-後日、再び某所カフェ-
「漫画の方は順調?」
「お陰様でね、アメリアには世話になったわね」
「気にしないで、そういえばちょっと聞きたいんだけど」
「何?」
「そのー夏コミって言うの?行ってみたいんだけどどうかなぁ?」
「 」
「…」
「…やめた方が」
「え」
「せめて冬…」
「冬」
「いやその決してダメではないんだけど…あまりにも過酷な環境だから…」
「え!?」
「去年私も親戚のお姉さんに連れてってもらったんだけど…早い時間は…」
「時間で変わるの?」
「まぁ早い者勝ちだから…」
「あぁ…」
「お昼くらいからだいぶ動きやすくはなるんだけどね、それでも夏だしキツいとは思うわ」
「そうなんだ」
「…」
「?」
「これは半分独り言だから適当に聞き流してほしいんだけど」
「ハイ」
「…売り子やる気ない?」
「ウリコ?」
「あれよ、ようは店員よ」
「あー」
「ただあんまり動けないからつまんないとは思う、まぁメインは私がやるからそんなに気負わなくてもいいんだけど」
「んー…」
「…」
「ちょ…っとやってみたいかも」
「ほんと!?」
「うわっ、どんな感じか見てみたいし…?」
「…本気?」
「うん」
「…」
「…」
「…じゃあお願いしようかしら」
「ありがとね」
「それはこっちのセリフよ。あとちゃんと私の指示に従ってもらうから、主に体調に関しては」
「…そんなに怖いの?」
「戦場だから…」

何かよくわからないうちに一人手伝いを確保出来てしまった
ひとまずこれで当面の問題は解決…かしら?


7/27
まずい
病が発症して進行が遅れてる
まだ取り戻せるぐらいの遅れではあるけど、病の発症と共に一つ問題も発生した
ラストの決めセリフが思い付かない
いいのが思い付かないからと後回しにしてたらこれだ…こればっかりは自分で決めたいからアメリアにも頼めない…
どうしたものか…

「はぁぁぁ…」
「ねぇ…」
「何?」
「お疲れ…?」
「まぁ…」
「これ、アメ」
「…ありがと」
「肩もマッサージしてあげる」
「え?いいわよ…」
「いいのいいの、グイッと」
「あ“ー…」
「お客さーんこってますね〜」
「結構…いいかも…」
「はい終わり」
「少し楽になったわ、ありがと」
「んふふー、どういたまして」
「…マリアも秘密ってあるの?」
「ん?秘密?」
「あまり知られたくない事」
「ん〜…」
「まぁ貴女はオープンだから無いで「あるよ」
「…え?」
「秘密」
「…例えば?」
「え〜?」
「いや失言だった何でもない」
「例えば〜体重とか〜?」
「いや言うんかい」
「この間計ったら__kgだったよ」
「言わなくていいから…それは守り抜きなさいよ…」
「ホタルならいっかな〜って」
「信用されてて嬉しいわ…」
「でも他にもあるよ、ちっちゃい頃の事とか」
「それが知られたくない事?」
「…メルにも言ってないんだけどね、ちっちゃい頃は性格とかメルにちょっと似てたんだ私」
「え?嘘でしょ?」
「昔は目の事もあったからあまり外出なくて、出る時もおっきい大人用のサングラス付けて帽子被って、誰かの後ろにいつもついてって歩いてた。ふとした時に太陽の光が目に入って全部見えなくなったらって思ったら外が怖かったの」
「…」
「それでも今も使ってるこれを見つけてからは前向きになって、こっちに来てメルと出会った時…少しだけ昔の自分に見えて…」
「…」
「あ、でもメルにはまだ内緒にしてね。じゃないとブラジリアン柔術かましちゃうよ〜ん?」
「…カポエイラじゃなかった?出来るの」
「さぁどうでしょー」
「…やってみりゃわかるわよ」
「待って待って!出来ませんゴメンナサイ!」
「はぁ…」
「えへ」
「…どうしてそんな大事な事話しちゃうのよ」
「どうしてって、ホタルだからだよ」
「私にはそんな人間性無いわよ」
「真っ直ぐな優しさがあるよ」
「え…」
「ホタルはね、いつも真っ直ぐこっちを見てくれるよ。話すときも、優しくしてくれるときも、怒るときも、向かい合ったら同じ目線で見てくれる。そうでしょ?」
「…何cm差あると思ってんのよ」
「照れちゃって〜」
「…マリアは本当にずるいわよ」
「え?」
「そんな話されちゃこっちも話さないわけにはいかないじゃない」
「…無理に言わなくても大丈夫だよ?」
「いーや、こっちも機をみすみす逃す訳にはいかないのよ」
「おん」
「ここんとこアメリアと一緒にいる事あったじゃない?」
「デート…」
「違うわよ、私がちょっとした漫画描いててそれのストーリー面でのアドバイス貰ってたのよ」
「マンガ!?」
「黙ってて悪かったわね、その…私いわゆるオタクってやつで…今の時代別にオタクって言ったってそう嫌な顔する人はいないんだろうけど、特に貴女は懐が深いだろうから認めてくれると思う。でもそれでも私のそういう趣味はあまり知られたく無かったの」
「…怖い?」
「なっ」
「好きな事をマイナスに言われるの嫌だもんね」
「っ…」
「だから言ってくれて嬉しい、また仲良くなれた気がする」
「…ふぐぬぐいぎぎぎぎ」
「!?」
「…勝てんわ…この聖女…」
「そんなんじゃないよー」
「うるさい自分の名前もう一回言ってみなさい」
「えへー、っていうかマンガ描けるってすごいね」
「え、いや、そんなんじゃ」
「ずっと絵とか描いてきたの?」
「まぁ…」
「好きな事に真っ直ぐなホタル、かっこよくて好きだよ」
「いきなり何言い出す…の…」
「かっこいいじゃ「あぁ!!??」
「んん!!??」
「…それだ」
「え?」
「よくその言葉を言ってくれたわ、お礼に今日は好きなだけ髪触ってもいいわよ」
「え?いいの?いつも嫌がるのに」
「気が変わらないうちに早くしなさい」
「ん〜?じゃあ、もっふり」
「よしよし決まった決まった」
「ふわふわ〜」

聖女がくれるのは愛だけじゃないようだった
ラストの決め台詞
実際に万人に刺さるかはわからないけど、このヒロインが言うにはもってこいのセリフだろう
ずっと傍にいた幼馴染みが好きで、でもそんな彼には好きな人がいて、それでも彼を好きな彼女が伝える最初で最後の恋の言葉

「好きな人に真っ直ぐなあなたが、ずっと好きでした」


8/13
「よし、こんなもんかしら」
「わぁ…」
「さっきからそわそわし過ぎよ」
「えぇ〜…でもしょうがないでしょ…」
「まぁわかるけど…」

当日、無事完成した作品を手に会場入りした
初めて作った本は何とも表現出来ない思いが詰まっていた

「ところで貴女のハンドルネームの“mail-mail”って…何?」
「mailって郵便の意味と鎖状の鎧の事も言うんだけど、そっちの語源は古いフランス語の網目って意味の言葉が元みたいなの」
「あぁ、チェインメイルとか」
「それでインターネット…網の郵便って意味で」
「あぁ」
「まぁマリーとの話を思い出して決めたんだけどね、メルメルーって」
「そんなもんよ、ハンドルネームって」
「それにしても…ほんとに私の名前載ってるんだね…」
「むしろ載せないわけにはいかないわよ」
「それにマリーのも」

あとがきのスペシャルサンクスには友人“mail-mail”ともう一人、
“Ms.Sunglasses“
を載せていた

「ふふ、安直よね」
「でもマリーらしいよ」
「そうね、さてそろそろ始まるから注意事項復唱!」
「はい!
20分に一回は必ず水分補給!
少しでも体調悪くなったら無理をしない!
逆に体調悪そうな人がいたら助けに入る!」
「完璧よ、それだけは忘れないで」
「頑張ります!」
「肩の力は抜きなさい、無駄に消耗するから」
「はーい、そういえばずっと聞きたかったんだけど」
「何?」
「どうして夏コミに参加しようと?」
「あー、まず学生なら作業時間確保しやすいからってのと…まぁ何というか…自分への誕生日祝い?」
「え!?誕生日なの!?」
「来週だけど」
「んんんんんんん!」
「え、何よ…」
「そういう事は…早く言ってよね!!」
「え”っあっはい…」

何故かよくわからないが少し怒られた
しかも怒られている間に開場していた
理不尽…


「えっとじゃあ30分くらい空けるけど本当に大丈夫?」
「多分…」
「…やっぱ残ろうかしら」
「いや大丈夫だから!妹ちゃんのも買うんでしょ?」
「まぁ…じゃあ行ってくるわね」
「行ってらっしゃい」

買う物があるのでしばらくアメリアに任せる事にした
少し心配ではあるけど…まぁ大丈夫でしょ
妹のも買って早く戻ろう

「ただいま、大丈夫だった?」
「ホ、ホタッタタタタ」
「何どうしたの」
「う、売れっれれれ!」
「あぁ売れたの?」
「本当に売れちゃった…」
「…そう」
「もっと喜んでよぉ」
「ワーイ」

ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
マ?
本当に売れたんか…
はぁぁぁぁぁ
ほんまかぁ…


-昼前-
「あー見つけた見つけた」
「んあー人多い…」
「マリアにアキラ!?」
「エイミーが昼ぐらいならって言ってたけどまだ結構人いるなぁ」
「でも面白そうな本いっぱいあったね」
「アメリア…?」
「いや…その…マリーもスペシャルサンクス載ってるしって思って…」
「…まぁいいわ、来ちゃったのならついでに手伝いなさい」
「店番?」
「そう、アメリアもちょっと連れて歩きたいからお願いするわ。いいでしょ?」
「まぁいいぞ」
「え?私は大丈夫だけど」
「いいから、折角なんだし。えー本はこれでお釣りはこれ、まぁそんな人来ないと思うけど何かあったら連絡…出来るかしら…まぁとにかく連絡して」
「わかった」
「おぉ、これがホタルのお店」
「サークルブースって言いなさい、ほらじゃあ行くわよ」
「う、うん」

そうしてアメリアの手を引きながら少し回る事になった
アメリアは忙しなくキョロキョロするもんだから目を回さないか心配だった
それでも
友達と周るコミケはとても楽しかった
友達と好きな事を共有出来るのはとても幸せだった

「戻った…わ?」
「どうしたの?」
「うん…とりあえず完売したぞ」
「は!?」
「いっぱい人来たよ、なんかコスプレの完成度がどうたらって言ってたけど」
「コスプレ…?」
「多分勘違いしたんだろうな…私も色々言われたぞ…」
「…ごめん」

こんな美女二人に店番を任せるのは間違いだった…かもしれない…
そらそうなるわ…

撤収作業も終えた帰り際に「誕生日絶対プレゼント贈るから」とアメリアに言われたが、別にこの本がもうプレゼントのようなものだからいいのだけれど…
こういうところがあの子らしさなのだろう
長身控えめ律儀娘はいいぞ


8/23
「えーっとじゃあ」
「「「誕生日おめでとー」」」
「んー…別にいいって言ったのに」
「祝わせろー!」
「わせろー!」
「そういうわけなので…」
「はいはい…」
「まずは私達の間ではお約束のこれ」
「あぁ誕生花…これは?」
「ナツスミレだって、花言葉は秘密だっけ?」
「秘密はもう話したじゃない…もう無いわよ」
「え?」
「え?」
「…なんでもない」(関西弁…)
「?」
「じゃあ私とマリーからはこれだ」
「あれ?これ貴方達が買った同人誌じゃないの?」
「まぁそうなんだけど、面白そうと思ったのは共有したいしね〜」
「たまに貸してくれればそれでいいよ」

その本は二人の趣味が窺えるようなチョイスだった
異形が住む世界での日常本や、
学生ののんびりイチャラブ本を貰った
結構面白かった
全く手を出さないジャンルというわけでも無かったが、まだ知らない世界があるんだなぁと実感した

「えっとじゃあ私からはこれ…」
「こっこれは…」
「二次創作、文章だけだけど作ってみました…」
「…」
「解釈違い?でも許してもらえるとうれしーなーって…」
「…大事にするわ」
「…うん」
「感想、ちゃんと書くから」
「うん」

アメリアが紡いだ世界ではあの子は空虚のままだったけれど、それでも幼馴染みから貰った大事な温かい思い出が優しく染み渡っていく情景が丁寧に綴られていた
正直家で読んでて涙ぐみそうになり、絡んできた妹を締め上げる所だった

「三人共おーきに」
「「おー?」」
「あ」
(出ちゃった…)
「いや、ちが」
「あれ?そう言えば蛍って出身どこなんだっけ?」
「いや、ちが」
「えーかわいー」
「んなわけないやろ!」
(あぁ…どんどんボロボロ…)
「あぁ西の方なのか?」
「関西弁ってやつだ」
「ちゃ…違うっての!」
「別にいいじゃないか関西弁」
「ああああああ…分かってるのよ…貴女達がとやかく言うような人じゃないって事は…もう癖みたいなもんなのよ隠すのは…」
「マリア知ってる、そういうのギャップ萌えって言うんでしょ?」
「どこでそんな言葉覚えたんだマリー」
「本買った人が言ってた気がする」
「やかましい!!!」
(背は低めでふわふわ髪だけど気が強くて隠したがりで関西弁な娘は萌えですか?)


私の秘密を封じる鍵の素材は“恐れ”からだった
人に好きな事を笑われる、それがどれだけ怒りと悲しみを生むか知っているからこそだった
ただそれでも、人は変わる、世界は変わる
その人がそういう人だったとしても、今私の目が映す世界に生きるその人がそうだとは限らない
鍵を固く握りしめるのは良い
ただ失くす事は絶対に避けなければならない
失くしてしまえば、その秘密を受け入れてくれる人さえも失くしてしまうから

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