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ヴィラ=ロボス研究家Iのつぶやきその5  ~黒鳥こぼれ話~


こんにちは。横浜特派員の市村由布子です。

2021年1月29日のハクジュホールでの公演に続き、大阪での公演のお知らせです。黒鳥たちが再びヴィラ=ロボスの作品をプレゼントしてくれるそうです。

作曲家が異なる“白鳥シリーズ”が3曲もあり、ヴィラ=ロボスが愛したバッハの“ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ”もあり、ピアソラの名曲もあり、魅力たっぷりの内容です。

水谷川優子チェロリサイタル ピアノ黒田亜樹

~ヴィラ=ロボスが愛したチェロを通して、人間讃歌を奏でる~

☆ 2021年3月13日(土) 14:00~ (開場:13:30)

☆ あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール(大阪)

☆ お申込み・お問い合わせ先: 大阪新音

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プログラム

■ C.サン=サーンス:白鳥

■ S.パルムグレン:白鳥

■ H.ヴィラ=ロボス:黒い白鳥

■ J.S.バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ第1番 ト長調 BMW1027

■ A.ピアソラ:グランタンゴ

■ H.ヴィラ=ロボス:DIVAGATION さすらい

■ H.ヴィラ=ロボス:MODINHA モジーニャ

■ H.ヴィラ=ロボス:チェロ・ソナタ第2番より

  第2楽章 Andante cantabile

  第3楽章 Scherzo. Allegro scherzando

■ H.ヴィラ=ロボス:バッキアーナス・ブラジレイラス(ブラジル風バッハ)第2番より

第2楽章「アリア 我らが大地の唄」

第4楽章「トッカータ カイピーラ(田舎)の小さな汽車」

本日はお二人が昨年2020年秋に発売したCD<BLACK SWAN>のタイトルにもなっているヴィラ=ロボスの《黒い白鳥》について簡単にご紹介します。

◆O canto do cisne negro (W122) (1917年作曲)

・日本語タイトル:黒い白鳥(オ・カント・ド・シスネ・ネーグロ)

・チェロとピアノ: 演奏時間約3分

・ヴァイオリンとチェロ版もあり(W123)

《黒い白鳥》の原曲となっている交響詩《クレオニコス号の難破》の内容について、いくつかの資料をもとにまとめました。

※参考資料は省略します。

◆Naufrágio de Kleônicos (Symphonic poem and ballet) (W111)(1916年作曲)

・日本語タイトル: クレオニコス号の難破(ナウフラージオ・ド・クレオ―ニコス)

・交響詩・バレエ曲: 演奏時間約12分

・初演:1920年(リオの市立劇場)

交響詩に影響を与えたテキストについて、はっきりとしたことはわかっていないようです。黒い白鳥が空を横切ると、荒れ狂う嵐の中を航海することになるという伝説があるそうです。

「タッソスTassos行きのケレッシリアKelessyriaからの品物でいっぱいの船(クレオニコス号)は予期せぬ嵐に出くわします。暗闇のように大きな黒い白鳥が船の上を飛び回ります。船乗りのクレオニコスは荒れ狂う海と必死に闘い、船員たちも港で待つ女性たちのことを思って祈りながら歌います。日没時に再び不吉な黒い白鳥が船の上を飛ぶと、まるで雷が当たったかのように船は二つに分かれ、乗組員は全員海に投げ出されてしまいます。クレオニコスたちは死に物狂いでオールにしがみつきます。黒い白鳥は船員たちに向かって急降下して戦い、黒い白鳥は負傷します。船乗りたちは溺れ、黒い白鳥はすすり泣くようにして、最後に最も美しい歌を歌いながら死んでいきます。」

“黒い白鳥”が不吉なことを予感させる象徴として使われることが多いとはいえ、黒い白鳥が船の乗組員と戦って負傷して死んでいくというストーリーだったとは・・・。

黒い白鳥が船に近づくと難破することがあったとしても、どうして鳥と人間が戦って、黒い白鳥が傷を負う結末になるのか? いくら物語とはいえ・・・。

湖に浮かぶ優雅な白鳥ではなく、戦う白鳥だったとは・・・。

♪ 交響詩 《クレオニコス号の難破》

Naufrágio de Kleônicos (Symphonic poem and ballet) (W111)(1916)

7分を過ぎた頃に《黒い白鳥》のメロディが始まります。ご参考まで。


1月29日の東京公演を聴くことができなかった方も、すでにお聴きになった方も、こういうご時世ではありますが、もしも足をお運びいただけたらきっといいことがありますよ♥

横浜特派員の市村由布子でした。

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