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【感謝】2023年ブラックスターレーベル活動報告

2023年8月、特定非営利活動法人ブラックスターレーベル設立。

映画・アートの力で市民一人ひとりに新しい選択肢をもたらし、社会課題解決への変容を目指すブラックスターレーベルは、代表理事であり映画監督の田村祥宏が10年前に立ち上げた映像制作プロダクション、株式会社イグジットフィルムやそれ以前から取り組んできたことを持続的に行なっていくために、理事・阿座上陽平さんを始めとする多くの方の応援とサポートを受けて、NPO法人という形で新たに誕生しました。

社会課題をテーマにした作品で観る人の感情に働きかけ、問題について考えるきっかけにしてもらえたら。

映画の新しい可能性を信じ、新作映画「Dance with the Issue:電力とわたしたちのダイアローグ」をたずさえて、私たちの新しい挑戦が始まったのです。


ついにお披露目。記者発表会(東京)開催

9月29日、SHIDAXカルチャーホール(東京都渋谷区)にて理事一同。
左から野間寛貴さん、太田直樹さん、品川優さん、阿座上陽平さん、田村祥宏さん

9月29日、東京・渋谷での記者発表会を開催。世の中に対して、レーベルと作品を正式にお披露目する場となりました。当日参加くださったメディアの方も含めここから取材が続き、設立初期のNPO法人にしては異例ではないかと思えるほど、多くの媒体に掲載いただきました。この日から約3ヶ月の間に取材や出演は15回。プレスリリースの転載なども含めるとカウントできる範囲では122回のメディア露出となりました。

下北沢・K2での2週間の上映

「Dance with the Issue:電力とわたしたちのダイアローグ」は、日本の電力問題をテーマにドキュメンタリーとコンテンポラリーダンスを組み合わせた実験的な作品。さらに本編に続く形で内省のパート(映像を用いて観客に体験していただく時間)があり、いわゆる映画作品を上映している映画館の方に受けとめていただくのはチャレンジングな面も大いにあります。最初の劇場が決まらずに苦戦していた中で、初上映を叶えてくれたのが世田谷区にある「シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』」でした。

ネットメディアがこれほど発展し、映画を観る環境の選択肢が広がった今、映画館での上映もしたい理由はいくつかあるのですが、限られた人たちだけではなく、だれもが対話のきっかけとなれる作品に暮らしの中で出会えたらと思っています。また代表田村自身が、映画館を出た後に映画のことをみんなで話せることは映画の最高の帰着点だと思っていることも大事にしたい理由です。

今回の作品も含めて、誰かの正義を一方的に伝えるのではなく、観た方が感じ取ったことを大事にしてほしい、普段考えていないことまで映画を使って考えてもらえる時間をつくりたいという思いで上映をしているので、「今日初めて会った人とまさかこんな話までするなんて...!」という感想は私たちにとって最高の褒め言葉です。

こんな映画や映画館の在り方がたまにはあっても良いのではと考えているのですが、”まちの映画館”の代名詞にふさわしい、いわゆるミニシアターと言われる小規模映画館は今、非常に厳しい経営状況に追いやられています。
コロナの影響も大きいですが、それ以前からネットメディアの存在も大きく、単に映画の上映だけでは成り立つのが難しくなってきた現状もあります。私たちにできることで映画館やその地域が元気になれるよう向き合っていきたいと思います。

# あなたとみつける未来
ー劇場に来てくれた”あなた”と一緒に。

広告宣伝費などはほとんどかけられなかった中で、K2での上映は連日多くの方にご鑑賞いただき、平日週末問わず満席が続出する事態は全く予想していませんでした。これは紛れもなく口コミの力で、観に来てくださった方の口コミがまたお客さんを連れてきてくれたのです。

電力問題についてそれぞれが感じたこと、ダンスへの感想、こうした観せ方も含めた映画の新しい可能性への気づきなど、お一人おひとりが自分の中に起きたことを言葉にして発信してくださいました。それを促せた要因の一つに、イベント開催もあったと思います。

「Dance with the Issue:電力とわたしたちのダイアローグ」のフルバージョンは、リフレクションパートと呼んでいる内省の時間の中に、近くの席の人との対話を促す時間があります。映画館での上映ではカットしていたので、観客の皆さんが感じたことを外に出していただくきっかけとして、連日開催したアフタートークイベントは非常に効果的だったように感じます。上映14日間のうち、11日はイベントを開催し、各業界で活躍されている皆さんに登壇いただき、それぞれの視点でこの映画を語っていただきました。

劇場内でも双方向に観客の皆さんの声が聴けましたが、映画を観て、トークを聴いて、それを誰かに伝えたいという思いを目の当たりにできたのも下北沢上映では深く印象に残っています。
BONUS TRACKをはじめとした近隣スペースでおしゃべりや対話の続きをしたり、時にはワークショップを開催したりと、そこにはまさに、"映画館を出た後に映画のことをみんなで話せる“の光景が目の前に広がっていました。
この場を一緒につくってくださったゲストの皆様、ご来場いただいた皆様、K2やBONUS TRACK、下北沢の皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

11月15日のアフタートーク後にゲストとの記念撮影

新しい試みは、新しい観客もつくるということ:前橋での上映

縁あって群馬県前橋市にて登記をしたブラックスターレーベルにとってはホームである前橋での上映を終える頃、こんなことを言ってくれた方がいました。

「新しい試みは、観客もつくるってことだから本当に大変だと思います」

下北沢での成功に励まされ、いざ終了1週間後からスタートした前橋シネマハウスでの上映。結果からいうと、決してうまくいったとは言えませんでした。

公開前日には記者発表会を開催。前橋市の山本龍市長や、前橋出身で地域活動にも取り組まれているジンズホールディングスの田中仁代表なども駆けつけてくださり、エールを送ってくださいました。そしてかねてから応援くださっている前橋まちなかエージェンシーの橋本薫代表、シネマハウス劇場支配人の日沼大樹さんなど、地域の皆様とも成功を願って挑んだ初日、広い劇場内にお客様は10名にも達しませんでした。

応援くださる皆様に申し訳ない思いでしたが、支えてくだったのもまた地域の皆様です。初日上映にプライベートでお越しくださった群馬県知事の山本一太さんによる激励。その後、お客様や地域の方々と、どうしたらこの映画を観ていただけるかを話し合い、アドバイスをいただく機会をたくさん頂戴しました。すでに短期間の公開が始まっており、初動が遅れてしまったので動員数的には最後まで伸び悩んだままだったのですが、気づきの多い、本当にたくさん勉強させていただいた前橋上映でした。


話題作などをご覧になっている映画ファンの方よりも、社会課題に関心のある方や対話や共創の場が身近な方の方が本作へご関心をお持ちいただきやすのですが、そうした層の方の絶対数が多い東京とそれ以外の地域では明確にアプローチを変える必要があります。一方で先述の映画館で上映をしたい理由同様に、限られた方のための映画では決してない作品です。これまで社会課題は遠いと感じていた方でも課題に向き合うことができ、新しい未来の選択肢をみつけられるきっかけを映画でつくる。皆様と"一緒に"つくっていきたいのです。前橋市の皆様にとても温かく背中を押していただきましたこと、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。前橋のNPO法人として、今後も地域での活動ができればと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!

12月1日、NETSUGEN(群馬県前橋市)にて

2024年に向けて:ART with NEIGHBOURS

私たちは、ロジックでは解決できない課題に対してアートが共感的なパートナー、まさに隣に寄り添う存在となれると信じ、「ART with NEIBOURS」というコンセプトを掲げています。
自分ではどうにもでいない暗闇で立ち往生してしまっても、大丈夫だよ、と寄り添いたい。ブラックスターレーベルは、この想いを皆さんと共にし、オルタナティブな未来を生み出していきたいと考えています。
試行錯誤し、模索した2023年がもう間もなく終わりを迎え、新しい一年がやってきます。今年踏み出せた一歩に多くの方が力を貸してくださり、応援をしてくださいました。大切な皆様や新たな出会いを力に、2024年もまた新しい挑戦ができそうです。またぜひご報告ができる日を楽しみにしています。

代表理事 田村祥宏

応援いただいているすべての皆様に、感謝を込めて。


特定非営利活動法人ブラックスターレーベル
文:鈴木香里

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