8日目;違法DLを考える
おはようございます。ボクのほくろが小さくなってていることに気が付きました、黒子マンです。今回は、パソコンやスマホが普及してからたびたび話題に上がる、違法DLについての話。今回は、違法DLという悪の価値判断がなされやすい問題に対して、疑問を投げかけるような論調で文章を展開する。まず、前提の話。違法DLの問題点として取りざたされているのは、ただの一点
(*)「違法DLがコンテンツ制作者の苦労を踏みにじる行為である」
ことだと考えられる。まず初めに、この文言(*)について考察していく。まず、苦労を踏みにじっていると思われるはなぜか?これは、考えなくてはならないことである。作者の制作活動への最大の喜びが、できるだけ多くの読者に自分の作品を読んでもらうことだとすれば、違法DLというのは別に問題のある行為とはならない。問題があるのはなぜかといえば、「もしちゃんと買っているのであれば作者に入るであろうお金が、無料の違法DLによって入らないから」だと言えそうである。さて、ここまでで議論の着眼点がお金へとシフトすることになった。ここで、作者に入るお金を知ってみよう。作者に入る印税というのは10%であるといわれている。以下の漫画は、すべて億越えの印税を稼いだ漫画が並んでいる。ワンピースのおだっちは漫画の印税だけで200憶稼いでいる計算である。
例えば、あなたがネット上である漫画を読んだとして、その漫画の発行部数を調べると、その人がその漫画でいくらお金をもらったのかが概算できることだろう。自分の読んだ漫画は、すこしマイナーと思われるようなものでも、あまねく100万部は優に超えていた。
また、この違法DLの問題は、作品の規模が小さければ小さいほど、その作者に与えるインパクトが大きいものであることには注意しなくてはならない。特に、個人などが生産販売を行っている同人誌や電子漫画、ASMRなどに顕著だと思う。
違法DLの問題をお金に帰着した所で、例えば「違法DLをお前は毛嫌いしているが、お前の制作はお金目当てだったのかよ!そうじゃないよね?」という違法DLの正当化はありえそうであるが、これは、どこか我儘な言い分であるように感じる。というのも、制作に関しては、それが何をモチベーションにしてなされようとその製作者の自由であるからだ。もしあなたがある漫画家の漫画を読むときに、その動機など気にするだろうか?それは作品とは直接に関係のないことであるし、答えはNOであろう。(作者がそれを漫画に込めることはあり得るが。)それを違法DLの正当化の時にだけ持ち出すのは、一貫性に欠けている。
僕が違法DLに関してもやもやしているのは、ニコニコ動画などにあるMAD動画や音楽のアレンジ動画が多数存在していること、ならびに同人誌などで公式のキャラを用いたものが多数出版され、それで利益を得ているサークルなどが存在していることである。これらの二次創作物は作品の制作者からしたら、自身のコンテンツを無断で使用していることにはならないだろうか。実際なる。しかし、これらは暗黙のルールとして認められているのである。つまり二次創作は、理念的には製作者のコンテンツの二次利用禁止の意図に反しているのであるが、それを見て見ぬふりをすることで、事実上容認している立場をとっている、ということである。まぁ東方というゲーム作品のように作者が公に二次創作を認めている例もあるが。
以上の二次創作の近況を見ていると、グレーゾーンの領域の存在を認めなくてはならない。違法DLとそれら二次創作の違いは何であろうか?その目的であろか?違法DLは広告で儲けることしか考えていない、二次創作は作品が好きでやっているんだ、と断罪することができるかもしれない。しかし、じゃあ、好意でgoogle driveにCDや漫画を置きそのURLを公開しているサイトはよいのだろうか?二次創作にて何百万円と儲けているサークルは許されないのだろうか?正直、その線引きが難しいことであるのは間違いがないだろう。
上の議論を考えると、グレーゾーンの基準として、「作者のご意向がすべてで、作者がいいといえばいい、ダメといえばダメ」という基準も考えられるのではないだろうか。この基準を採用してみると、実は違法DLに関するあるもう一つの疑問のある解答にもなりうる、いわば点と点が線でつながるのである。それは、「違法DLのサイトはなぜ規制されづらい・されていないのか」ということだ。特に違法DLがらみで事件にまで発展した事例として、星のロミが逮捕された事件がある。違法DLサイトの漫画村というサイトを経営していたことにより、損害金3200億円をだしたということらしい。また、第③世界とよばれる違法音楽DLサイトを運営して逮捕された人は、1.7億円の損害賠償を命じられたらしい。(実際は広告収入でそれ以上稼いでいたのであるが)それぞれ、2011年と2007年である。逆に言うと、それら以外には目立った海賊サイトの事件はない、ということである。僕は、この事実から、違法DLサイトの規模の割には全然逮捕者や規制が入り込んでいないように思えた。その理由が、「作者自身が違法DLで不利益を被るが、同時に利益も得られる」という点にあるのだという気がする。それは、作者は自身の制作物以外の作品をその違法DLで見れるから、ということである。結局作者が違法DLの存在を知った時に、それを断罪する側ではなく利用する側に回る可能性というのは十分あるだろうと思っている。違法DLは、自分のスマホやパソコンから一番手軽に作品を鑑賞したり分析したりする手段となりえるからである。だからそもそも、「作者の意向として違法DLをグレーゾーンだけど黙認」する姿勢があり得るのではないかと感じているのだ。実際、裁判になった時の原告は、作者ではなく漫画や音楽の生産会社・配信会社である。またエロ動画を閲覧できるサイトがあれだけ放置されている現状を考えても、それを規制しないことによる利益が大きいのではないかと、感じざるを得ない。調べると、星野ロミの被告による裁判では、結局賠償金は100万円だったらしい。↓以下判決文全文。
また利益ということに関しては、違法DLサイトが実際の漫画業界に打撃だけを与えているかというと、そうではないと思う。僕のnoteのブログ投稿7日目のガシャの本質の所でも述べたが、ガシャの価値の源泉がどれだけそのゲームに時間を費やしたかである、それと同じように、作品に触れる時間が増えれば増えるだけ、そのファンも増えるであろう。それは結局、新たな購買層の獲得につながるだろう。新刊や流行の音楽を読むのが、違法DLできるようになるまで待てない人達は、お金をそれらに払うようになるかもしれない。また、その作品以外のグッズなどを実際に買ってくれるようになるかもしれない。また、違法DLをしている人たちが、そのサイトがなくなったからと言って、全員が全員お金を払ってその漫画を買うようになるわけではないだろう。無料で作品を利用できないなら。じゃあほかのことをやる、という人は多いだろう。まぁ、推論を重ねただけであるから、実際に言いたいのは、
「違法DLがアニメや漫画などの制作業界に本当はどれだけの損害or利益を与えているのか、それがブラックボックスである」「そして、それらが違法DLの規制が大規模に進行していかない一つの理由なのではないか」
というところである。もしかしたら、違法DLの大々的な粛清が制作業界の不利益につながる可能性はあるだろう。
まとめ
正直いって違法DLは、本格的に訴えられたらその非を認める以外の選択肢がないくらいには褒められた行為ではない。しかし、現状を見てると、その問題点がお金に帰着することから始まり様々なこと考察したように、なかなか短絡的に解決できるような問題でないのは明らかである。個人的には、創作物や作品にお金が絡むとろくなことないよなーなんて思ったり。これは、お金と資本主義の限界にかかわっているのですが、この辺りは、いつかブログにも書いていけたらなんて思ってたりします。
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