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Blackmagic Creator's Close Up #6 -  おやじキャンプ飯


おやじキャンプ飯 「映像が紡ぐ心地よい時間」

本連載は、映像業界の最先端で活躍するクリエイターの歩んできたストーリーや思考にフォーカスしインタビューをする企画です。

第6回目の今回は、シーズン3まで展開されている大人気YouTubeドラマシリーズ「おやじキャンプ飯」を手掛けられた、監督・馬杉雅喜氏、カメラマン・山内泰氏、照明・合田崇氏にお話を伺いました。

おやじキャンプ飯

YouTubeドラマ「おやじキャンプ飯」は、近藤芳正演ずる中華料理店元店主の坂本明夫がキャンプ場の片隅でソロキャンプ生活を続ける中、ときどき訪れる個性的なキャンパーたちとの交流や、キャンプで手軽に作れる中華料理がメインのキャンプドラマ。
多くの視聴者を魅了し、現在シーズン1〜3までYouTubeにて公開中。
シーズン1である京都編はAmazonプライム・ビデオでも公開されています。

【予告編】おやじキャンプ飯〜滋賀編〜

監督 馬杉 雅喜  -Masayoshi Masugi

1983年京都生まれ。
東映京都撮影所で特機部として従事、株式会社シネマギックスを立ち上げ。CM、MV、映画、ドラマ、ドキュメンタリーなどを監督。

主な作品
・「Stand up-send to 2050-」
 - 2013年 ShortShortsFilmFestival 2013特別賞
・「いつも笑顔で」
  - 48Hour Film Project 2022グランプリ
  - ロサンゼルス LA LIVEで上映

カメラマン 山内 泰 -Tai Yamauchi

高校時代にカメラマンの仕事に憧れを抱き、カメラマンの道へ。
報道現場を経て、映画やドキュメンタリー・CMなどジャンルレスに活躍。

主な撮影作品
・「アダミアニ 祈りの谷」
 - 東京ドキュメンタリー映画祭長編部門グランプリ受賞
 - クラクフ映画祭国際映画批評家連盟賞受賞
 - South East European Film Festival最優秀撮影賞受賞

照明 合田 崇 -Takashi Goda

1977年 札幌出身。東京工芸大学芸術学部映像学科卒業。
TV-CM・MVのプロダクションマネージャーを経て照明に転向。
撮影監督・河津太郎氏に師事。照明技師・清水健一氏のチーフを経て、
2010年に照明技師として独立。2016年に京都へ移住。

参加作品 
・「ONE OK ROCK -Deeper Deeper」
・「Mirai Moriyama Project KIYOMIZU / NHK」

ー3人が出会ったきっかけを教えてください。

馬杉氏:カメラマン山内さんとは、約8年前に48時間以内に短編映画を完成させるショートフィルムコンペティション「48 Hour Film Project」で出会いました。その後何度か仕事でご一緒することはあったものの、いちから一緒にものづくりをしてみたいという想いから「おやじキャンプ飯」で本格的に協力いただくことになりました。
照明技師・合田さんは、これまで東京を拠点に活動されていましたが、京都に移住してくるタイミングで、私の制作会社に来ていただいたことがきっかけで知り合い、今に至ります。

ーおやじキャンプ飯制作のきっかけは?

馬杉氏:2020年当時コロナ禍で外出が制限され、仕事が減少していく中で、「やりたいことをやってみよう!」と思い、30分間の何も考えなくていい時間を提供することをコンセプトにこのプロジェクトが始まりました。
自然を感じられて、美味しいご飯を食べて、そして悪い人は出てこない、そんな安心して"ながら見"できるドラマを作りたいと考えました。
長らく一緒に仕事をしたいと思っていた主役の近藤芳正さんや、山内さん・合田さんなど自分がリスペクトする制作スタッフに声を掛けて「おやじキャンプ飯」が制作されました。


おやじキャンプ飯 劇中ワンシーン

ー「おやじキャンプ飯」シリーズの魅力の一つでもある料理シーンですが、撮影・編集にこだわったポイントはありますか?

馬杉氏:劇中に出てくるメニューは私と脚本家で決めています。主人公が中華料理において万人共通でやりたいことってなんだろうと思ったときに、大きい中華鍋を振ってみたいっていうような漠然とした憧れがある気がするんです。
そういう「やってみたくなる」料理と、実際に一般のキャンプにおいても再現性の高いものを料理監修の先生に相談しながらメニューを選んでいます。

山内氏:今回のシーズン3では、撮影カメラとしてBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proを使わせていただきました。他のカメラにはない暖かみとフィルムっぽいトーンが好きで、料理シーンでもその雰囲気がピッタリでした。
またカメラ部隊が少数ということもあり、グレーディングの点も考えるとBlackmagic RAWで撮影できるというのも、とても便利でした。

カメラマン 山内泰氏

  

ー昼夜問わず撮影するキャンプという環境下で技術的に難しかった点・工夫した点はありますか?

合田氏:ナイトシーンでは暖かな雰囲気を演出するために、焚き火やランタンライトの光の階調に注意しました。画面全体がバランスよく明るさを保ちつつ、ハイライトが落ちすぎないように気を配りました。そうすることで、暖かみのある映像を作り出すことができたと思います。

ー仕事においてのやりがいや大切にしていることはありますか?

馬杉氏:やりがいを感じる瞬間は、クランクアップの瞬間ですね。
作品を見たお客様から感想をいただくことも嬉しいですが、それと同じくらい、クランクアップした時のやり切った感が好きです。その瞬間、自分たちの全力が実を結んだと感じることができることにやりがいを感じますね。
また、クランクアップの瞬間まで、プロジェクトに嘘をつかず最後まで真摯に取り組むことがこの仕事において大切だと考えています。

ー挫折を感じた経験はありますか?

馬杉氏:現場や編集作業において、時折「もう少しこうしておけばよかったな」と感じることもあります。そういった意味では、毎回挫折していると言えるのかもしれません。
例えば「おやじキャンプ飯」のような自主製作の場合は、ある種プロデューサー的な部分もあるのですが、監督としてまだ自分の未熟さを感じることがあります。そういう気持ちがモチベーションになっているかもしれません。


ー監督として、おやじキャンプ飯シーズン1からの進化を感じることはありますか?

馬杉氏:はい、密かに感じているところではありましたね。特にYouTubeでのプレミアム配信では、再生回数やコメントなど視聴者の反応が他の媒体に比べてダイレクトに伝わってくるので、喜びと同時に悔しさを感じることもあります。コメントを読んで励まされることもありますが、影響を受けすぎないように意識しています。意見を真摯に受け止めながら、次の制作に集中しています。

ー今後の目標について教えてください。

馬杉氏:おやじキャンプ飯においては、47都道府県を巡るシーズン47の制作ですね。
現実的な目標としてはシーズン4を作ることですね!

ー最後に将来映像クリエイターや監督を目指される方に何かメッセージなどあればお願いします。

馬杉氏:作品があふれかえっている時代なので、ゴーイングマイウェイしかないと思いますね。自分の信念を信じて突き進んでいって欲しいなと思います。

山内氏:時代の流れが早いので、若い人たち自身が時代を作っていってもらうくらいの心持ちを持って、どんどん挑戦していってほしいですね。

合田氏:今の若い世代には、身近にすぐに撮影できる機材がたくさんあるという恵まれた環境がありますが、同時にその状況に対する不安もあると思います。ライバルも多く、差別化が難しくなってくるかもしれませんが、その中で自分の表現方法を見つけていってほしいと思います。

「おやじキャンプ飯」シーズン1〜3は、絶賛YouTubeにて公開中です。

おやじキャンプ飯〜京都編〜

おやじキャンプ飯〜和歌山編〜

おやじキャンプ飯〜滋賀編〜


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