魔王と青春とアイドル①~プロローグ~
「よっ!みんな、おはよう!!!」
「おはよー」
「おっはー」
「おっす!!!」
いい朝だ。俺は機嫌よく自分の席に着いた。
おっと、自己紹介が遅れたな。俺の名前は「道程坂ドテオ」15歳だ…ということにしておこう。
「おっはよー、ドテオ。今日もクールに決まってるねー。」
「なんだアヤネか、今日は仕事ないのか??」
「ああ、今日は何もないよー。ルンルンだなー。」
今声をかけてきたのは「乃木坂アヤネ」。一応国民的人気声優だ。ちなみに俺と同じクラスで非常に馬が合う存在だ。
…いきなりなんだが、俺とアヤネには裏の顔もある。一般生徒に絶対秘匿しておかなければならないとんでもない設定がある。
もういいや、ぶっちゃけ言っちゃおう。
俺の本名はドウグラステリミシオス。実年齢2020歳の正真正銘の魔族の王、要するに魔王だ。魔王族のため見た目の歳はとらない。俺はこの魔眼でイエス・キリストの誕生もイエスの死も、復活祭も、そして近世の世界大戦も見てきた。人間はなんて卑しい生き物だろうと見せつけられてきた。この魔眼で。
そして、先ほどの女子アヤネは、大魔女アヤネテウシスだったりする。この時代まで生き延びた大魔女。15歳に見えるが260歳。魔女狩りが大流行した中世のヨーロッパで唯一生き残った、世界最高齢の大魔女。俺を探していたらしい。
たまたまなのか、必然か、偶然か、運命かに導かれ、魔王と大魔女は出会ってしまった。そしてコンビを組むことになる。そして二人は、ホントの自分を隠して高校生活を送っていた。エンジョイしていた。楽しんでいた。平和いいなーって平和ボケしていた。
これから始まる世界大戦にも匹敵する魔族の血で血を洗う、とんでもない戦いに巻き込まれるとも知らずに…
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