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美魔女

まあなんとか会社に行っている。
今年の梅雨時に少し体調を崩したけれど。

会社のロビーにはソファがあって、パートさんが始業前や昼休みに涼んでいたりする。
その日も朝から猛暑で、駅から折りたたみ日傘をさしてきた私は、ベテランパートさんたちの近くで傘を畳んでいた。

「ねえねえ!みて!うちの孫かわいいでしょ!」
スマホを向けられる。
え? 孫?
そのパートさんは私より5歳くらい上にしか見えない。いや、私も順調な人生を送っていれば成人した子供がいておかしくないんだが。
孫!?
とても孫がいるような年齢には見えない。
「お孫さんもかわいいけど、とてもそんな歳に見えなくてびっくりしました」
もう、そう言うしかない。孫の可愛さは「子供はみんな可愛い」で括ってしまえるが、今目の前にいる本人の若々しさを褒め称えるのはリアルに会っている人間しかおらん。

ベテランパートさんのグループは、小さなお孫さんがいたり、成人したけど結婚してない子供がいたりというグループで、夏休みに会えるかどうかの話題で盛り上がったり、玩具を強請られるの困るとかそういう話で盛り上がったりしていた。
多分その場で独り身は私だけだろう。
「次の孫は女の子がいいわー」「うちは孫作る気ないみたいで」なんて会話も飛び出す。
どっかの金持ちが昔、「孫」って演歌で売れたけど、やはり孫というのは特別なんだろう。
別居していてたまにしか会えなくて、ここ数年は帰省もままならないとあれば、余計に。

私には想像することしかできないけれど。

サポートしていただいたものは主に食費や書籍代などになります。