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喜欢衣服,想衣服

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*好きなものでもあり、仕事でもある服についての考え方*
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「どっちが似合うと思いますか?」

同じデザインで、カラーバリエーションが ホワイトとブラックのTシャツ。 お客さまは両方試着され、悩んだ様子で私に尋ねる。 アパレルの会社に勤めて12年、これまで何千、 何万回とこの質問をされただろう。 私よりキャリアのある先輩ですら 【接客は永遠のテーマ】と話すほど、 正解が無く、毎日が学びの連続である。 ここで、 どちらか一方を似合うと言ってしまえば、 「じゃあもう片方は似合わないのか、 私はこっちが良いと思っていたのに」 と、気分を悪くされることも実際あった。 日本

アパレル店員がTOCを考えてみた

会社の目標は、お金を儲け続けること。 そう提唱するイスラエルの物理学者 エリヤフ・ゴールドラット著『The Goal』 TOCはTheory Of Constraintsの略語で 日本語では制約理論の条件と呼ばれています。 制約理論は本当にどの場面でも通用するのか、 私が長年携わるアパレル業界にも落とし込めるのか。 こちらを参考に考察してみました。 『The Goal』 が発表されたのは1984年、 大量生産・大量消費がベーシックになりつつある時代。 日本はバブル以前

服を着ているすべての人へ。

12年以上アパレルの会社で働き 生産・販売の現場にいる私は、悩んでいる。 大量生産、大量消費の時代はもうすぐ終わる。 バングラデシュ、ベトナムで大量に作られた製品を大量に注文して加工し販売する。 数年前まではそれで上手くいっていた。 様々な問題が収束した未来でも、同じやり方が通用するのだろうか。 服を買う理由、捨てる理由 今まで私が服を買っていた理由はなんだろうか? 好きなブランド、かわいいデザイン、安い。 どれも表面的な理由でしかない。 そんな私でも少しは考えるこ

【小説】サステナベーションウェア

「服を買うのは5年ぶりだわ」 『お久しぶりですね。現在は健康管理ができる体温調節機能がついたワンピースが人気なんですよ。それにしても、前回採寸した時とほぼ体型が変わっていませんね。素晴らしいです』 「だって、今は服を買うのに安くても10万はかかるんですもの。そのたび新調していては生活できませんからね」 たしかにその理由で、数年前に比べて圧倒的に健康思考も高まった。気候変動によって綿花栽培が可能な地域が限られてしまったのは、もしかしたら人類にとって良かったのかもしれない。