汎用マップエディタ『Tiled』の紹介
久しぶりの投稿です。
この記事は Board Game Design Advent Calendar 2023 の 17 日目の記事です。
私は現在 2024 年にリリース予定の『DREAM BREWERY(夢ブル)』というゲームを開発中です。
この記事では夢ブルに登場する全体ボードのアートワーク作成に使用したツール『Tiled』をご紹介します。
この記事ではインストール方法や使い方の説明はしません。
機能概要と使用例の紹介程度なので詳しい使い方等は参考サイトを参照してください。
Tiled とは
RPG ツクールのマップエディタ機能を切り出してより自由度を高く拡張したようなフリーソフトです。
タイル状の画像素材をポチポチと並べることでゲームのマップのような画像を簡単に作成することができます。
RPG ツクールのマップエディタと比べて若干操作が複雑ではあるものの、素材読み込みやレイヤー機能の自由度が高いのが特徴です。
公式サイトはこちら:https://www.mapeditor.org/
Tiled 導入の経緯
次回作『夢ブル』は『クラフトビール×ワーカープレイスメント×拡大再生産』を軸としたゲームで
ビールのレシピを研究・開発を行う
醸造のための原料調達を行う
原料を使ってビールを醸造し、在庫を作る
顧客からの要望に応じた出荷を行う
得られた報酬で施設の拡大を行う
など多くの要素が登場します。
これらの要素を管理するために大型の全体ボードを使用します。
ゲームシステムは我ながら非常に良くできていると思うので、それを最大限引き出せるようなアートワークを全体ボードにはのせたいと考えました。
外部委託も考えたのですが、
大型ボードで要素も多くなりそうなので予算が怖い
イメージを伝える私の言語力の問題
バランス調整等の結果、納品後にも更新が発生してしまいそう
などの理由からできれば自作したいと考えました。
しかし、さすがにゼロからゲームボードを描く能力は私にはありません。
そこで過去に RPG ツクールでゲームを作っていた頃の経験を活かして『ツクールのマップを描く感覚で全体ボードを作れないか?』と考えググってみると Tiled を発見しました。
日本語の情報が少ないのが難点でしたが、今回はマップ画像を作る機能しか使わないので日本語のブログや英語の公式ドキュメントを参考に使い方を学んで、必要な機能は使いこなせるようになりました。
作ったボードの例
まずエクセルで作った最初期のモック。
とても殺風景ですね。
これをもとに Tiled で実際に作ったボードはこんな感じになります。
エクセル版とは比べ物にならないくらいゲームらしくなりました。
さらにこれを Photoshop に取り込んでゲームシステムとして必要な情報を描き込んだボードが以下になります。
この全体ボードを叩き台としてデザイナーさんを探してアドバイスを頂こうと思っています。
どうでしょう? まだデザイナーさんのブラッシュアップ前ですがけっこう面白そうに見えませんか? 私は見えます。早く完成版を遊びたいです。
エクセル版から一番下の状態になるまで一日数時間の作業を 3~4 週間程度で仕上げられたので楽ではないものの比較的簡単にゲームらしいボードを仕上げられたのではないかと思います。
Tiled の便利機能
ここからは Tiled でマップ画像を作るのに便利な機能をいくつかご紹介します。
素材読み込み
画像を読み込んでタイルセットと呼ばれる状態にすると右下にタブ形式で表示されます。
添付のスクリーンショットを拡大する灰色のグリッドがうっすらと表示されているのがわかるでしょうか?
画像はこのグリッドで分割された小さな正方形のタイル状になり、パレットのようにどのタイルを置きたいかタイルセットから選んでから真ん中のエディタ画面に置いていきます。
読み込めるタイルセットの上限数は多分ありません。(正確には PC スペックによって決まると思われます)
レイヤー機能
Tiled では好きな数だけレイヤー(透明な層)を設定できます。
このレイヤー機能を使うことで
床の上に置かれた机
机の上に置かれた本
壁に貼られた張り紙
木々の重なり
など画像の重なりの表現が可能になります。
私は "Base", "Surface", "Building", "Onwall", "Objects", "Objects" の 6 層で管理しています。
各レイヤーをそれぞれ単体で表示すると以下のようになります。
こんな感じにレイヤー分けすることで余計なものを削除してしまったりするのを防ぐことができ、効率的にマップ編集ができます。
オートタイル機能
少し説明するのが難しいのですが、道や湖などの正方形のタイルだけでは表現できないものがあると思います。
↓の画像のようなイメージ。
Tiled はこのような複雑な折れ曲がりや繋がりのパターン全てを↓の画像のように予め定義しておくことで、マップエディタで編集を行うときは特に意識することなく複雑な地形を簡単に表現できます。
この設定自体は結構煩雑な手順が必要なので参考リンクを参照してください。
画像エクスポート
編集したマップを一枚の画像として出力することが可能です。
夢ブルの全体ボードでは出力した画像を更に Photoshop で加工してゲームを遊べるように仕上げました。
素材の入手方法
ここまで読んで「どんなことができるかはわかったけど、そもそもタイルの素材になる画像無いんだけど?」と思われていることと思います。
Tiled は RPG ツクールのマップエディタで使える素材との親和性が高い作りになっています。
なので RPG ツクール用のマップ素材を配布しているサイトから画像素材を入手可能です。
無料のサイトもあるかもしれませんが、イメージに合う素材を探すのが難しいと思うので以下のサイト等で有料素材を購入することをオススメします。
タイルセット素材のうち『ツクール以外商用可能』の素材に絞っても『現代風』『深海』『銀世界』『サイバーパンク』など様々なテーマの素材がたくさん出てくるのでイメージに合う素材をご購入いただければと思います。
ちなみに、夢ブルで使用しているのは『FSM マップ素材集 -旅立ちの町セット-』です。
以上、汎用マップエディタ『Tiled』の紹介でした!
ボードデザイン、カードデザインのお役に立ってくれると嬉しいです!
参考サイト
Tiled の使い方全般、オートタイルの設定方法などです。
公式 HP トップ
https://www.mapeditor.org/Tiled Map Editorの使い方
https://2dgames.jp/how-to-use-tiled-map-editor/Tiledでウディタとツクールのオートタイルを使う2つの方法
https://pipoya.net/blog/two-ways-to-use-autotile-in-tiled/
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