2022シーズン前半のサンフレッチェ総括

 どうも、くろです。プロフィールにも書きましたが、私が愛するサンフレッチェ広島と櫻坂46に加え、小説メインになりますが読書、個人的に勉強した内容や興味を持った事象などについていろいろ書いていきたいと思います。拙い文章になるかと思いますが、どうぞ読んでみてください。

 記念すべき最初の投稿、題材は悩むまでもなくサンフレッチェ広島。愛し始めて10年ほど、サンフレッチェ以上に常に感情を揺さぶられる何かは今のところありません。今季は良いシーズンを送れていますので、私とサンフレッチェの物語の簡単な概要と共に今季のJ1での戦いをまとめます。

くろとサンフレッチェの歩み

 私、くろとサンフレッチェ広島(以下、サンフレと略します)の出会いを明確に規定することはできません。が、応援を始めたのは2009シーズン、前年にチーム2度目のJ2を災害レベルの強さでぶっちぎった勢いそのままに、攻撃サッカーでJ1を驚かせた年からです。サンフレを好きになった理由はというと、何を隠そう、「広島でサッカー少年をしていたから」でしょう。当時所属していた少年団チームが、参加チームの所属選手とその保護者を格安でスタジアムに招待する大会に度々出ていたり、そこまで熱心なサッカーファンとは言えない父親に連れられたりして、現地でサンフレの試合を観る機会には恵まれました。我が町のチームを好きになる、一番ありきたりで自然な物語の始まりです。

 ここからサンフレを応援する人生が始まるわけですが、応援といっても頻繁に現地に行くわけでもスカパーで試合をフルで観るわけでもなく、テレビで観れる試合だけ見てあとは結果に一喜一憂、というライトな追いかけ方がしばらく続きます。そして2012年4月に親の転勤で広島から福岡へと引っ越したのですが、その年にサンフレは初優勝。さらに翌年には連覇を達成し、2015シーズンにはサンフレ史上最高レベルの完成度のチームがまたも優勝。数少ない現地観戦のチャンスが皆無な時期にサンフレは黄金期を迎えます。

 電車一本で行けるサガン鳥栖とのアウェイゲームはほぼ毎年現地観戦していましたがそれだけ。2017シーズンには降格間違いなしとしか思えない状況からギリギリ残留、2018シーズンには前半戦の首位独走から後半戦の大失速で2位フィニッシュと、色んな意味でスペクタクルなシーズンを過ごし続けていましたが、その戦いを味わう機会はあんまりなし。2017年はイライラが収まらなかったし、チームへの愛は持っていましたが、それを外に出す手段はあまり持っていませんでした。

 転機は2019シーズン、DAZNとの契約です。父親の気まぐれで決まりました。これでリーグ戦は望めば全て観られる環境を手にしました。ここから今まで3シーズン半、サンフレの試合はほぼ全てフルタイム視聴し、一喜一憂しています。

 リーグ戦をDAZNで全試合観る、今は広島在住のため年に何試合かは現地観戦、サンフレが勝てばハッピーだし負ければガッカリ、気分の浮き沈みはサンフレと共に。学生ということもありお金と時間の費やし方はいろんな方に遠く及びませんが、愛だけなら誰にも負けているつもりはない、それが今のくろとサンフレッチェの関係です。

2022前半戦のサンフレッチェの戦い

 はい、ここから本題。消化は15試合、ダブル大阪との1試合目はまだできていませんが、代表ウィークで3週間の中断中、前半戦は終わったものとして15試合でサンフレが見せてくれた戦いの総括をしていきます。

 15試合で6勝6分3敗の勝点24、他の上位チームより1試合少ない状態で7位。今年からミヒャエル・スキッベ監督を迎え新たなスタートを切ったチームとしては、出来すぎなくらいの前半戦です。

 出来すぎと言うには勝点が足りなくないか!と突っ込みたくなったそこのあなた。今季のJ1は少し特殊で、記録的な引き分けの多さによりめちゃくちゃな団子状態です。現在の首位、横浜F・マリノスの勝点は31、未消化の1試合を仮に勝てば首位とわずか4ポイント差。戦力的に優勝を狙います!とは到底言えないチーム状況のため、十分に出来すぎと言って差し支えない結果です。

 志向するサッカーは、攻撃も守備も速く早く前向きに、といった感じ。ハイラインハイプレスで相手のボール保持に向き合い、ボールを奪ってチャンスがあれば前へ素早く突撃。ゆっくりとボールを保持して相手を動かしたりブロックを作って守備を行ったりする時間は当然ありますが、昨季までとは割合が明確に異なる上、遅攻やブロック守備の精度を見ても、先に述べたコンセプトに沿ったサッカーの方がトレーニングでもきちんと準備されているのだな、という印象です。

 シーズン序盤は、純粋にハイラインハイプレス、奪えば縦に速く早くというコンセプトそのままのサッカーを見せました。雪もありお互い低調なパフォーマンスだった鳥栖との開幕戦はよくわかりませんでしたが、2節以降は相手の保持時も勇気を持って果敢に前に出て、ひとたびボールを奪えば創造性とキックの質に優れた森島司とスピードだけなら誰にも負けない藤井智也を中心に、縦に速い攻撃を見せます。時にプレスをひっくり返されながらもびびることなく繰り返し、相手へのアタックを繰り返す。札幌とヴィッセル神戸相手に互角のスペクタクルなゲームを演じると、力のあるFC東京と川崎フロンターレ相手にもハイプレスを軸に「圧倒」と言えるゲーム内容を披露し、サンフレや相手チームのサポーターを驚かせてくれました。

 しかしその2チームに連敗し、5試合で3分2敗。特に得点が奪えず、5試合でわずか3ゴール。「あとは決めるだけ」というシーンを作りまくって中位に留まった昨季とまた同じかよ、という声も聞こえてきました。ハイプレスと縦に速いサッカーという、リスクがある新しいチャレンジの路線を変えようとしてしまってもおかしくなかったと思います。

 しかし、自分の哲学を曲げなかったスキッベ監督。ここからチームは上昇気流に乗ります。しかし、詳細は後述しますが、チームは少し違う色を見せます。変わった点は3つ。1つ目は、ハイプレスと縦に速いサッカーというストーミング的な要素が減ったこと。誤解を恐れずに言えば、「普通のチーム」に近づきました。しかし、サッカーの試合の中での戦い方は当然、相手にも依存します。DFラインから繋ぐ姿勢を崩さなかった序盤戦の相手に比べ、これ以降の相手はビルドアップで相対的に長いボールをよく使うチーム。こうなるとプレスがハマる回数も、縦に急ぐためのスペースも減るため戦い方を変えるのはむしろ合理的です。現に下から繋いでいく強固な意志を曲げないF・マリノスとの戦いでは徹底的なハイプレスで圧倒。相手により効果的なやり方を選択できていると言えます。2つ目は満田誠の存在。サンフレユースから流通経済大を経て帰ってきてくれたルーキーは、ルヴァンカップでの活躍を機にJ1でもスタメンに定着。柏好文のスピードとキレが落ちエゼキエウも怪我で不在のためチームに欠けていた、エリアの中でも決定的な仕事ができる器用なドリブラーというピースが埋まりました。3つ目はクロス攻撃の精度向上。時折トレーニングで力を入れている旨の発言をしていたスキッベ監督のコメントを私は疑心暗鬼で見聞きしていたのですが、クロスからの得点が積み上がるのを見て練習の重要さを実感しました。1つ目の相違点で安定感を、2つ目、3つ目の相違点で得点力を手にしたサンフレは、湘南ベルマーレ戦での初勝利と続くF・マリノス戦の圧勝を機に上昇気流に乗ります。

 上昇気流に乗ります、と書きましたがこれは結果の話。誤解を恐れずに言えば、今季のサンフレは運が良いです。具体的なエピソード1つ目は、F・マリノス戦に続き行われたアビスパ福岡戦。新型コロナ感染により、不動のレギュラーボランチ、野津田岳人と塩谷司を欠いた状態で試合をせざるを得なくなりました。

 ボランチの守備強度と配給力が失われ、J1で最もボールを「捨てる」福岡を崩すのには大苦労。内容的な面白みにも欠けたまま0-0で試合は推移しますが、アディショナルタイムに練習を重ねたクロスから得点し何とか勝利。内容で勝ったそれまでと異なり引き分けに値するゲーム内容だっただけに、ここで勝てたのは非常に大きかったです。

 コロナの影響が残ったこともあり、戦力的に上回るジュビロ磐田と清水エスパルスには苦労しましたがどちらも引き分け。サンフレと並び今季サプライズを見せている柏レイソルには負けましたが、直後に当時首位だった鹿島アントラーズに3-0の快勝。その後も無敗で歩みを進め順位を上げますが、ガンバ大阪戦の当日にまたもチームからコロナ感染者が出て、試合は中止に。

 運が良いエピソード2つ目。このすぐ後の名古屋グランパス戦はコロナの離脱者抜きでの試合となりますが、主力で欠けたのは森島のみ。一方名古屋はミッドウィークにも試合をこなしており、中止で試合がなかったサンフレとのコンディション差は歴然でした。負け試合後にコロナを言い訳にする名古屋指揮官は少しどうかと思いますが、言いたいことはわかります。

 運にも助けられながら、4,5月で負けたのは柏戦のみと、サンフレは快進撃を続けたまま前半戦を終えました。

サンフレのサッカー 

 ここからはサッカー、戦術的な部分や個々の選手の機能や役割といった部分に焦点を当てます。基本的なコンセプトは変わらないものの、鹿島戦でシステムを変更し、起用するタレントの質にも明確な違いが生まれたため、鹿島戦前と後で区切ります。

➀鹿島戦前

 3-4-2-1システム。特徴的なのは、ボランチに野津田と塩谷コンビを採用したことです。ここまで述べた通りチームの基本はハイラインハイプレスと縦に速い攻め。WGを含めた前5人は、相手DFラインへ強くプレッシャーをかけ続けます。そうなると中盤に広大なスペースが生じ、このスペースをカバーしつつ人を潰すという守備の役割をボランチが担う必要が出てきますが、元々DFラインの選手で対人守備の強さが持ち味の塩谷はうってつけの選手です。

 相方の野津田は、元々より攻撃的なタレント。前線に顔を出す他長いボールを供給する部分で持ち味を出します。前がかりなチームで活きる野津田とその前がかりのリスクを引き受ける塩谷、特徴が明確に分かれたコンビが誕生しました。

 2人とも低い位置でのビルドアップでの貢献度は高くありません。野津田は左足でしかボールを触れず運び出しやパスの方向がバレバレ、塩谷は余裕を持ちすぎて相手に詰められる回数が多いのと、元がDFということもあり360度相手にさらされた状態で十分にボールをキープできる能力はありません。ボール保持にそこまで拘らないとはいえGKからは下から繋ぐ意思を見せるサンフレは、ビルドアップに多少苦労しました。常に間に顔を出し収まりがいい森島は危険なミスをする回数が少なくなく、中央から前進できずサイドに押し出されたときに収まりどころになれる柏は守備強度の部分からフルタイム出場は難しい。右サイドの藤井の技術はかなり稚拙で低い位置でのプレーは期待できず、サンフレが苦手とする部分の一つでした。

 試合を重ねるにつれボランチ2人の攻撃面の弱点は改善されたほか、コロナの影響で2人の代わりに試合に出た東俊希や松本泰志、青山敏弘といった選手は2人よりビルドアップで関わることを得意としたため、4月後半はそれほど気になるところでもなくなってはいましたが。

 ボランチ以外のところでは、昨季から継続してレギュラーの3バックはよりハイラインで人を捕まえるタスクに。スピードに不安はありますが人を捕まえるのは3人とも相当に得意なため、むしろハイラインは選手の特徴に合致したやり方だったと言えます。荒木隼人は抜群の空中戦の強さで名だたるCFを抑えましたが、神戸リンコンと磐田戦前半の杉本には苦労、劣勢に回り試合自体も相手ペースとなりました。ビルドアップはどちらかといえばできなかった方。佐々木翔は左足でも苦にせずチームの全身を助けましたが、野上結貴と荒木は判断や技術が未熟で前進にはあまり寄与できず。また、静的な相手を捕まえる仕事は3人ともきちんとこなしましたが、柏戦では降りるマテウスサヴィオを自由にして敗北。ピン止めされておらず捕まえる相手が曖昧な時に3バックは勇気を持って捕まえに行けませんでした。

 またGKは途中から大迫がレギュラーに。林は守備範囲とディストリビューションがあまりに期待できないレベルだったため、安定感など不安はありますがより積極的な大迫がチーム戦術に適していた、と言えるでしょう。

 WB、左は色々変わりましたが基本は柏、右は藤井。藤井は縦に速く、のキーマン。チームメイトが藤井を探す回数も、藤井の単騎突破に任せる回数も昨季以上に増えました。練習しているというクロスの質は向上しましたし、縦を警戒されるためカットインから左足でのプレーなどバリエーションを見せました。前述の通り足元の技術は非常に未熟ですが、愚直な姿勢は評価に値しますし今後伸びる部分でもあるでしょう。守備は前から人にプレスのタスクが過半数。技術や経験を走力でカバーする藤井に比べ、走力の落ちが隠せない柏はハイプレス戦術では苦労しています。柏レイソル戦では柏がついていけない左サイドを攻略されプレスをかわされるというシーンが目立ち、守備では強度不足を露呈していますが、ビルドアップの貴重な逃げ道である柏を外すことはできず、スタメンで起用し終盤に交代する、というのがパターン化しています。

 前線は怪我人が多いこともありますが、基本は永井龍orジュニオールサントスと森島満田。狭いスペースで受けて展開でき創造性も兼ね備える森島はその武器に加え、今季は積極性と得点力を身につけ躍動。相手ブロック内に切り込めて同じく決定力がある満田とのコンビはチームの攻撃の核です。何よりこの2人の特筆すべき点は守備の個人能力の高さ。2度追い3度追いも厭わない上に相手を背中で消したり適切な方向にプレスでボールを追い出したり、チームを助けています。アンカーを消すタスクを担いF・マリノス撃破の立役者となった永井は守備の貢献度は高いものの攻撃での技術不足が顕著で、守備ではきちんとサボらずやるが個人戦術には不足が見られ、攻撃で違いを見せられるサントスにスタメンの座を譲りました。

 余談ですが、森島は私が最も好きなサッカー選手です。シーズン途中で主力となった2019シーズンに恋に落ちました。繊細なボールタッチ、キックの質、意外性のあるプレー、献身性とチームに欠かせない能力を持ちますが、敵ブロック内に侵入するプレーヤ得点に直結するプレーの少なさが難点で、2020以降の2シーズンは精彩を欠き、未だ実質デビューの2019が最高の出来です。しかし今季は過去2年とは違う!というところを見せており、私は毎試合わくわくさせてもらっています。本当はこんなもんでもないだろ、もっと圧倒的なプレーを見せてくれよ。

 とにかくハイプレスの川崎戦までに比べ、以降は構える時間も増えましたが、前に出るべきシーンではきちんと全体で押し上げ、コンパクトに守備が行えていました。F・マリノス戦では誰が誰を捕まえるというのをはっきりさせていましたが、他の試合ではそのような準備は特にみられず、目の前の相手に出ていくという形でした。相手を決めておらず原則的な話もおそらくしていないため、前述の通りサヴィオがいた柏相手にはプレスは上手くハマりませんでした。F・マリノス戦もフリーダムなマルコスジュニオールが出場していれば、同じように苦戦を強いられ圧勝とはいかなかったのは間違いありません。

➁鹿島戦以降

 システムを3-1-4-2のような形に変更。野上が新加入ナッシム・ベン・カリファと入れ替わりましたが、3バックの一角に塩谷が入り野津田の1アンカー、2トップの一角にベンカリファが入る形となりました。

 守備面の違いは、ハイプレス色がより失われたことです。守備を頑張るが戦術的には行えない2トップがいることや、相手が3バックでも4バックでも嚙み合わせが良くないシステムとなったことで、オールコートマンツーのような時間はより短くなりました。もっとも、リーグ全体で見てプレスに積極的であることに変わりはなく、コンセプトはそのままです。

 ボランチ脇のスペースは空きますが、森島満田の脅威の走力と献身性で1アンカーであることを忘れるほど埋められています。野津田の対人守備や判断力もシーズン開幕当初より向上しているため、メンバー的にかなり攻撃に寄っているように見えますが守備も安定しています。

 ビルドアップは、言い方は悪いですが、余計な場所から人が消えたことで整理されました。狭い中盤のスペースに2ボランチが居座っていたら、前線の選手が降りる場所は限られます。その解決のためにボランチが最終ラインに降りると、確かにスペースは空きますが今度は全体として相手ブロックの外に人が多すぎて、後ろに重心が傾いてしまいます。それを1アンカーにしてサリーの頻度を下げることで、空いたスペースに間受けが上手い森島満田が降りつつ前進できます。また、佐々木塩谷の両CBの運びのスキルはJ1屈指です。野津田のプレー方向が分かりやすいのも荒木や藤井の技術が稚拙なのも変わりませんし、ビルドアップの設計が監督らにより緻密になされているようにも思えませんが、この2人の個人の能力で前進はかなり楽にできています。

 崩しやカウンターの局面では、より攻撃的なタレントがより前のポジションにより多くいることで、破壊力が増しました。カウンターでも藤井の単騎ではなく2トップ+1人が絡めるし、クロスに対しても明確なターゲットが2人いることは大きいです。また、再度に流れてボールを受けたがる傾向のあるサントスとベンカリファですが、2人でどちらかは常に真ん中に陣取っているため、トップが誰もいない問題はあまり生じません。タレントのバランスも良く、実際に得点も増え、良い組み合わせとシステムを見つけられたなと思います。

サンフレの課題

 良いサッカーで良い順位につけているサンフレですが、もちろん課題はあります。

➀ハイプレスの整備不足、誰が誰にいく?

 先ほども述べましたが、これが決まっていません。選手が入れ替わりながら質の高いビルドアップを見せる浦和レッズとの試合ではプレスは無力化され、ボール保持と浦和優位での試合展開を許しました。サンフレがどのようなチームかわかった上で臨む後半戦、前半戦では圧倒したFC東京、川崎、F・マリノスといったチームも対策の下で試合に臨むでしょうし、同じような問題に直面する可能性は高いです。プレスの強度と姿勢は良いものを見せてくれただけに、より暑くなりその強度が落ちざるを得ないこれからの季節、より戦術的に考えてプレスができなければ苦しい戦いを強いられます。

➁主力選手の役割の唯一無二化

 ビルドアップにおける佐々木塩谷と森島満田、中央スペースの守備における森島満田など、個人の能力に頼って上手くやれている部分は非常に多いです。肝心の崩しの局面は様々な選手がキーマンになれているため、「対策しやすい」という視点から弱点として指摘する気はないですが、今の主力が出られない時のチーム力の落ち方は他チームに比べても大きいはずです。守備強度で不安が残る松本はアンカーでいい仕事をしましたし、今控えの選手も使ってみれば思っていたよりやれるかもしれません。怪我人もいるので難しいところですが、夏場に向け「使える選手」を増やすことは必須でしょう。

➂流れを変えられる交代選手の不足

 ➁と同じなようで全く違います。主力選手と違う色を出してアクセントをつけられる攻撃的なタレントは、現状ベンチに誰もいません。0-0で耐えれば優位になるのは相手チーム、0-0でそのまま終わった浦和戦はまさにそのような展開でした。幸いエゼキエウがもう少しで帰ってこれそうですがそれでも1枚です。若い選手に期待したいところですが、こればかりは補強以外で劇的な改善は望めません。

 こんなところですかね。攻撃面で目立った課題点を挙げることはできませんでした。そのくらい、期待値より上をいっています。これから試合をこなしていくうちに相手チームの対策によって新たな穴が露呈するかもしれませんが、そうなったらその時にまた考えましょう。

前半戦MVPとサプライズ賞

MVP 塩谷司

 めちゃくちゃ迷いましたが塩谷で。ボランチでの潰しの役割と思わぬ攻撃面での貢献、チームを支えてくれました。川辺移籍後明らかなアキレス腱になっていたボランチがむしろ強みにまでなったことの意味は大きいです。そして何よりDFに戻ってからの貢献度は高すぎます。塩谷の対人守備と持ち運びなくしてサンフレが優位に試合を進めることはできません。

サプライズ賞 満田誠

 これは文句なし、迷う余地なし。ルーキーの仕事量じゃありません、むしろ既にタスク的に代えが効かない選手。迷いなく仕掛けてシュートを打つ姿勢、実際に取りきる得点力、守備でも貢献する献身性、チームを支えてくれています。左で可能性しか感じないミドルを打ったり試合途中でボランチに入ったり、器用さに驚かされるとともに、今後どんな選手に育っていくか期待しかないです。

終わりに

 長くなりました。明確なコンセプトと哲学を持ち、内容的にも結果的にもワクワクする試合を見せ続けている今季のサンフレッチェ広島が大好きです。広報により力が入っているほか、スキッベ監督が毎試合行い浦和戦では物議をかもした試合後の青空ミーティングなど、チームの団結感も昨季より増している気がします。これから躍進を続けJ1のダークホースになるにしても勢いに陰りが見えるにしても、今季のチャレンジはチームにとって非常に大きな価値を持つものです。そのチャレンジにリスペクトを持ちながら応援を続け、見守っていきたいです。

 長くなりましたがお読みいただきありがとうございました。またサンフレッチェについても他の題材についても書くのでお楽しみください。では!

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