最所篤子(さいしょあつこ)

翻訳をしています。 訳書:モイーズ『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』『ワン・プ…

最所篤子(さいしょあつこ)

翻訳をしています。 訳書:モイーズ『ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日』『ワン・プラス・ワン』、テイラー『クレアモントホテル』『エンジェル』、ホーンビィ『ア・ロング・ウェイ・ダウン』など。

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プロフィール

お仕事用に経歴をまとめました。 学歴 東京都立大学人文学部大学院修士課程史学専攻(イラン近代史) 英国リーズ大学大学院修士課程応用翻訳学専攻 卒業 医療機器商社の社内翻訳の傍ら、書籍翻訳者として活動をはじめ、 現在はフリーランス翻訳者として実務(IT、マーケティング、読み物記事)、書籍の翻訳に携わっています。日本文藝家協会会員。 翻訳実績訳書 サー・アルフレッド・メヘラン『ターミナルマン』(株式会社バジリコ 2005)(映画『ターミナル』原作) エリザベス・テイラー『エ

    • The Snow Child レジュメ

      こんにちは。翻訳者の最所篤子です。アクセスしていただきありがとうございます。おそらくツイッターの「破れかぶれで公開するレジュメ」というツイートを見てこちらへ来てくださったのかと思います。ご興味をもっていただき、ありがとうございます! 10年以上も引きずっている作品とは、2012年のピューリッツァー賞フィクション部門最終候補作。これまでにいくつもの出版社に持ち込み、会議で検討していただいたこともあります。しかし残念ながら「文学作品は難しい」ということで今に至っています。 私

      • トランプ(Think Of England 5)

         この話を書いた頃のイギリスは不動産ブームもあって景気は絶好調だったが、そうでもない時代はずいぶん長かった。留学していた頃は、リーズの街にも「To Let」の看板の出た空きオフィスが多かったように思う。ちょくちょく足を運んでいたWaterstoneというなんとなく三省堂に似た書店の前には古ぼけたコートやらショールやらわけのわからないぼろ布をまきつけて汚い雪だるまのようになったおばあさんが座っていた。誰も、見向きもしていなかった。  私はどうもホームレスの人に縁があって、〈父

        • ビッグ・イシュー(Think Of England 4)

           九段下の駅前に、おじさんが雑誌らしきものを持って突っ立っている。消極的な宗教勧誘のように見えなくもないけれど、その正体は日本版ビッグ・イシューの販売員さんである。日本のイシュー売りさんたちは辛抱強く、ただ黙って街角に立っているので、気づく人も少ないかもしれない。げんに近くで働いている妹も私が教えるまで知らなかった。ビッグ・イシューはイギリスで始まった路上生活者の自立を支援するための雑誌で、ホームレスの人たちが販売し、売り上げの一部を収入にすることができる。社会活動に熱心な映

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          アップルツリーコテージ(Think of England 3)

          「実家」は隣と二軒つづきになっている。イギリスには何軒もつながった長屋(テラスハウス)とか二軒長屋(セミデタッチトハウス)が少なくない。たとえばバースにある観光名所のクレッセントもつまるところは長屋のお金持ち版である。  わが家と隣は、建てられた当初はおそらく一軒の家であったらしく、そのころの玄関だった部分はうちの方にあり、どっしりした石づくりの暖炉があるメインの部屋は隣にある。この暖炉は本当に立派で、中に火が入っていても暖炉の中に入れそうなほど大きい。昔読んだドリトル先生の

          アップルツリーコテージ(Think of England 3)

          Think of England 2

          イギリス人はクリーチャーという言葉をよく使う。古めの小説を読んでいると5ページに1回くらいは出てくる気がする。日本語でいえば生き物という意味で、特にどうということはないのだけれど、私はなぜかこの言葉が好きだ。成り立ちから言えば、クリーチャーというのは神様がクリエイトしたもの全部まるごとで、階級も、国籍も、性別も、種の違いも関係ない。毛皮を着ていようが甲羅を背負っていようがみんな同じ。「手のひらに太陽を」のオケラだってカエルだってみんなみんな生きているんだ友達なんだ、とい

          Think of England 1

          (2010年頃、「Think of England」というタイトルで、あるWebマガジンに不定期の連載を持っていました。そのときの記事を再掲します) **********************************  イギリス好きなことにかけてはイギリス人にも負けない自信がある。もし戦争になったら、イギリス側のスパイに志願するのはまちがいない。「私は生まれてくる国を間違えたのではありませんか」と、美輪さんと江原さんに聞いてみたいものである。美輪さんは「そう、間違えたの

          はじめまして。

          翻訳者の最所篤子です。 文芸翻訳者として活動をはじめ、早15年ほどがたちます。コツコツと企画を出版社に持ち込み、10冊と少しの訳書を出してきました。イギリスが好きで、イギリスの小説をよく読んでいます。 ここはこれまで書いてきたものをまとめたり、ときには文芸翻訳の仕事のことを書いたり、備忘録のように使おうと思っていますが、かといって誰にも読まれないのも寂しいので、たまにお立ち寄りいただければ幸いです。 よろしくお願いいたします。