アンソロジーの作り方

 二次創作同人創作同人問わず、女性向け二次創作では複数の人を集めて作るアンソロジーというものが需要・供給・政治的な側面を含んで重要な存在であり、出るとドヤ顔ができます。

 今日はアンソロジーの作り方を考えてみましょう。思いつく限り書きましたが抜けがあったら申し訳ないです。


1、お金を稼いでくる

 昨今は印刷費が安いですが、それにしたって5万くらいをスタートとするといろいろ安心です(主催の遠征費用はここに含みません)。別に10万かけたいひとはかけて構いません。稼いできましょう。


2、企画を立てる

 参加者を募る前に、企画をはっきりさせましょう。

・どういう目的で(カップリング愛好者に幅広く手に取ってもらったりあわよくば愛好者を増やすため、好きな作家さんの原稿をどうにかして刷るため、シチュエーション固定でいろんな作家さんの作品を集めたいため、etc)

・誰に向かって(年齢制限はつけるか、グロテスクな表現やパラレル設定、特殊設定等に関する作家側へのガイドラインはどうするか、あるいは呼びたい作家さんに合わせて「あの人を呼ぶためには絶対ここまでは緩めなければ」等と考える)

・いつ(発行するイベントもしくは発行日を決め、それに向けての締切を設定する、ほかの作家さんの原稿に干渉しない範囲にするか、大きなイベントあるいはオンリーイベントに合わせるにしても他の作家さんのイベント参加に干渉しないかどうか気をつける、イベントの日前後を締切に設定しない等)

・何を(どういう内容の、どういうイメージの、どういう雰囲気の、どういう方向性のアンソロジーにするか、最初に決めておく、できればアンソロジータイトルは募集をかける前に決まっていた方が参加を決めるかどうか考える一助となる)

・表紙について(先に決めておいたほうが無難で、自分で描くか親しい知人に頼むのが無難です、詳細はこちら


 決まったら、参加者さんに伝えるべきことと、返信してもらいたいことを箇条書きにしておきます。

【伝えるべきこと】

・アンソロジーの内容(ジャンル、カップリング、全年齢or年齢制限)

・そのほか、禁止項目などがあれば伝える(パラレル不可等)

・発行予定日

・締切予定日

・予定サイズ(A5が一般的)、決まっていれば印刷所等仕様も

・提出方法(ギガファイル便など、ストレージサービスを使用するのが一般的)

・漫画の場合アナログ可不可とデータファイルの種類の指定(印刷所を見て判断)、小説の場合テキストファイルかWordファイルでの提出を求めるのが一般的だが字数・行数などはどう仕上げる予定か・参考 楽描堂

・原稿以外の提出物に関して(コメント欄等、小説参加者はコメント欄が画像だと扱えないことがあるので文字入れ対応すると伝えた方が無難)

【聞くべきこと】

・参加する形式(漫画、小説、その他イラストや詩歌、評論など)と提出予定のデータ形式

・連絡手段(メール、TwitterのDM、pixivメッセージなど、一番連絡が密に取れる連絡先を聞く)

・献本の際(参加者さんに一冊献本が一般的)の渡す手段、頒布イベントに来てもらえるか、いらっしゃらない場合住所を後程伺うことを伝える(住所を聞くのは原稿受理後のほうが無難)

・内容かぶり等を気にした方が良いアンソロジー(オールキャラアンソロジーで登場人物がばらけたほうがよい等)の場合、内容の事前チェックのための情報共有をお願いしたほうがよいこともある(あまり一般的ではなく、精神的ないざこざもあり得るため、はじめてのアンソロジーではやらないほうが無難)


3、原稿を集める算段をつける

その1 知り合いに声をかける

 アンソロジーの内容に沿った人が集まりそうならこちらから声をかけて作るのが無難です。誰が「誘われなかった」みたいな話になると非常にアレですので、Twitter等で声をかけるより、メールやpixivメッセージ、TwitterならDMを使うのが無難です。無視されたらくじけず迅速に水に流してなかったことにし、断られたら次のワンチャンを祈って機嫌よく引き下がり、わたしなんか呼ばない方が……という人の退路を全力で断ち追いすがり足にしがみついて「あなたの原稿がないと本出ないんですううううううううう」と喚きましょう。

その2 公募する

 ホームページを立ち上げ(最近はtumblerなどブログサービスを使っている人が多いようです、tumblerはおしゃれなデザインに変更もできるし。pixivに告知を上げる方も多い)、メールフォームを設置しましょう。わたしフォームメーラー使ってるけど便利だよ! メールフォームに上記の質問を用意した上でホームページにメールフォームを設置して、座して待ちましょう。

その3 身内の靴を舐める

 原稿を巻き上げることができそうな友人知人に片っ端から声をかけ、土下座をし、なんでもすると誓い、読んだことがないからという向きには読ませ、貸し、なんなら送りつけ、全力の布教を行いましょう。なおその経緯で友情がロストしても当方では一切の責任は負えないものとします。

その4 増える

 自分の名前を10人分くらい作り、連絡を密に取り合う必要もなく、意のままに動いてくれる仲間が9人増えました! やったね! あとは10人分の原稿を用意するだけだ!


4、発行までの間の主催としての対面を保つ

 不安なら自分の個人Twitterには鍵をかけましょう。それでも不安なら身内垢を作りましょう。主催の個人Twitterは参加しないカップリング者ジャンル者もアンチも見ています。本が出る前に炎上すると参加した作家さんの経歴にちょっとしたシミ程度でも汚点を残すことになるという自覚を持って、ジャンルとカップリングと参加者さんのすばらしさを讃え、元気よくきびきびと主菜業務にいそしんでいる顔だけを表に出していましょう。裏垢では愚痴ってもいいので。

 心労のあまり連絡がつかなくなるのはやめましょう。原稿辞退をされていたことに気付かず、フライヤー(フライヤー作成は任意)に作家さんの名前が載っているようなことがないようにしましょう。


5、フライヤーについて

 作成は任意ですが、フライヤー配布を頼むサークルさんの申し込みがあった場合、個人的な好き嫌いを言わずに並列に処理しましょう。あそこには頼んだけどあそこには頼みたくなかったので断ったとか、あとあと遺恨が残るもとです。遺恨を残さず楽しく爽やかに本を出しましょう。

 また、余ったフライヤーの処理について等、事前に連絡しておく方が無難です。返送用封筒を同封して送るのもスマートです。


6、原稿受理について

 受理の際は一言でも目を通した内容に関するコメントをお伝えしたほうが無難ですし、褒めちぎりたいときは遠慮なく褒めちぎりましょう。でも全員公平な量のコメントをお返しした方が無難です。特別扱いはどこから漏れるかわからないものなんだ……。アンソロジーに載せた原稿の直接の感想は意外ともらえないものなので、下手すると主催が読んで返してくれたコメントが最後のコメントになりかねませんので、お預かりした謝礼の気持ちを込めましょう!


7、編集について

 頑張って。

 掲載順に関しては最後に主催を持ってくるのが一般的です。


8、部数について

 思っているより多めに刷ったほうが無難です。意外と「記念に」とか言って買ってくれる方がいらっしゃいます。


9、謝礼について

 500円~1000円分の金券を同封するのが一般的ですが、原稿料として正直相当微妙な額では? ということがわたしは超個人的にですがめちゃくちゃひっかかっており、クッキーでも渡した方が気が利いているのではという気がしています。ご参考までに。

 献本だけのところがほとんどですし、それで不満が出るということも特にないと思います。


10、初頒布お疲れ様でした!

 参加者への取り置き全部ちゃんとできてますかor渡せましたか!?

 アンソロジーは書店委託があったほうがベターです。部数の時にも書きましたが、意外と欲している人がいるものです。めちゃくちゃマイナーでも意外と欲している人がいるものです。


 思いつく限り書きましたがまだあるかもしれません。いずれにせよアンソロジー主催は大変だけれどやりがいのあることです。けんとうをいのる!


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