かなむらさん、ちょっと質問したいことが:大学生活でやるべきこと

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>はじめまして。春から大学生なのですが、大学時代をどのように過ごせばよいのかわかりません。初めてのことは当たって砕けろだとは思いますが、少しでも豊かな暮らしをしたいので、知っておいて得したことや、やっておきたかったこと等何でも教えてください。

 新生活おめでとうございます!

 さて、大学生活とひとことに言っても、専攻によってカリキュラムが違えば生活に要する時間も違いますし、大学の雰囲気も違いますし、ひとり暮らしをはじめるかどうかでも違ってくると思うので、「大学生」みんなに通用する「これをやっておくと最高になる」という種類のことはないと思うのですが、自分の大学生活を振り返って良かったことを書いておこうかと思います。

 わたしは日本文学専攻で実家から二~三時間ほどかけて通っていました。教職課程を取らなかったのでカリキュラムはさほどきついものではありませんでしたが、通学にかなり時間を取られたのと、レポートの提出が多かったので、自由になる時間がめちゃくちゃ多いというほどではありませんでした。


 大学生活を通じて、よかったなと思うことは以下の通りです。基本的には「人と触れ合う」「本を読む」の二点です。


・(講義内容・人格ともに)好ましいと思える先生を見つけ、先生の研究室に遊びに行ってはいろいろな話を聞いていた

 これは校風によるのかもしれませんが、わたしの大学では研究室に遊びに行くことはかなり奨励されていたので、ちょくちょくお邪魔してはお話を聞いたり本を借りたりコピーを手伝ったりしていました。

 好きな勉強したい勉強について近くで話が聞けて捗るのはもちろんですが、大学は高校までのクラス制のカリキュラムと違い、個人で判断する必要がかなり増えてくる場所なので、孤立するとまあまあしんどいというか、孤立しないようにしておくといろいろ楽です。友達を作ろうねと言うのは簡単ですが作ろうと思って作れるかと言われれば微妙な話ですから、せめて先生に命綱を握ってもらうのはありだと思います(学生間で命綱を握り合ったほうがより安全なのはそれはそう)。


・高校までの狭い社会とは離れた場所で会ったことのない人と話ができる

 人間関係を作っておいたほうがモアベターという話としては(でも無理しなくていいと思いますが)、「世の中にはいろんな人生があり、いろんなものの見方があって、いろんな生き方があるんだな」と思えるという点があります。

 高校まではたいていの人は同じ地域からほとんど出ないと思いますが、そこには地域的な偏りがやっぱりあるもので、ほかの地域から来た人や、あとやっぱり「大学で先生をやる」という人生は一般的にはこれまでなかなか触れる機会のない人生ですから、いろんな人生をできるだけ摂取しておくといいと思います。

 「人生というのはいろんな側面があるんだ、こう生きなくてはならないということはないんだ」ということを認識することは、その後の人生をかなり楽なものにします。


・たくさん本が読める

 これも大学によりますが、いろいろな学部がある大学の場合、学部の種類だけ図書館の本の種類が多いので、いろいろな分野の専門的な本に触れることができます。もちろん自分のカリキュラム以外の本は読んでもろくにわからないのですが、自分のカリキュラムに疲れたら別の分野の本をちょっとかじってみるのも楽しいものです。

 また、わたしの大学の近くには本屋や古本屋がたくさんあり(そして古本屋には授業で使うテキストが循環しており)、そちらでもずいぶんお世話になりました。大学生協で割引で本が買える人もいるかもしれませんね。本をじゃぶじゃぶひたすら読めるというのは大学生の特権ではないかと思います。もちろんそれは「本をじゃぶじゃぶどうにかして読み通しつづけなくてはならないカリキュラム」として、特権どころの話ではなくなる人もいると思いますが……。

 わたしが大学でお世話になった先生は「学校なんか休んでもいいから長編小説(カラマーゾフの兄弟とか、源氏物語とか、そういう長さをここでは指します)を一週間家を出ずに読むとか、そういうことをしなさい」と言っていました。わたしは実家暮らしで別に落ち着いて本が読めるとかいうことはなかったのでやったことはないですが……。

 「大学生はとりあえず何を読むべき」というものはとくにないので、なんでもどんどん読めばいいと思います。ただ、時間が取れないとなかなか読めないようなもの(細切れに読んでも内容が理解できるものではなく、長くて難解なもの)を若いうちに読むと、歳を取ってから読み始めるより難易度が下がるのはたしかです。でも歳を重ねてからでも別にいつでも読めますし、精神状態として「このタイミングで読んでよかった」という本は何歳になってもありますから、今読みたい本を読んでいればいいと思います。

 もちろん読書以外にも気になることがあればいろいろチャレンジしてみましょう。高校生までと比べて時間の裁量がある程度自由になるということ自体に対していろいろなチャレンジをしてみてください。サークル活動をしてもいいし、長い旅行に行ってもいいし、新しい趣味に打ち込んでもいいのです。これも別に勤めはじめたらできなくなるということはない(しづらくはなる)し、大学生だからといって時間が有り余っている人ばかりではないとも思うんですが、大学以降の生活は「自分の責任で時間を管理することが(ある程度は)できる」と思いますし、大学生活というのは「生活というのは自分で組み立てるものである」ということを学びに行く場所ではないかという気もするので……。


・精神状態が悪くなってきたらきちんと休む

 大学生活は高校までのカリキュラムとはずいぶん違いますし、前述のとおり人間関係がものをいう部分がけっこうあります。また、自分で生活をコントロールしなくてはならない部分が多く生活リズムを崩しやすかったり、自由な時間が増えたため遊び方のバランスが狂ってしまったり、与えられた課題が自分の能力と釣り合っておらず苦しんだりすることもあります。

 精神状態が乱れてきたな、最近体調が悪いなと思ったら、無理をせずしっかり休む必要も出てくると思います。休学する必要が発生する可能性もあります。自分はいつでも休むことができるのだということを念頭に置いて、無理しすぎず、自分にとって適切な大学生活を組み立てましょう。

 というか、休学を親に許してもらえるかどうかという点が(わたしのところに相談に来てくださる大学生の方から話を伺っていても)かなりでかくなってくるので、しんどくなったらまず誰かに相談しましょうね。わたしのところでもいいですよ! 

 というか親も含め本当に人間と人間が支え合う必要がたくさん発生する場だと思うんですよね、大学……。でももちろん「ぼっちは即詰む」というようなことはないので(連絡をいつもきちんと確認しており、疑問点があれば先生や事務に確認していれば大丈夫だと思います、逆に言えば結構煩雑なので漏らしやすいというだけです)みんな楽しく学生生活を送りましょう~。


 あと一人暮らしを始める人も多いと思うのでそっちも軽く触れておくと、

・レンチンでいいし毎日する必要はないし特に上手になる必要もないので、最低限の自炊ができた方が、精神的に摩耗したり買い物に行く暇がなかったりするとき便利。「力尽きた時のための簡単レシピ」さんをご覧になってください。

・食材を最も安く、かつ移動効率良く買える場所を確認しておく。移動圏内の適切な距離にスーパーがない場合はコンビニでいいので、コンビニの冷凍野菜・パック野菜の存在を認識し活用する。遠くに買出しができなかったり外食する余裕がないときも野菜食いましょう。


 いいですねえ大学生。もう一回なりたい。

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