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社員の独立を促す経営コンサルタントの仕事は矛盾しているのか?

経営コンサルタントの仕事は会社の業績を上げるための支援をすることです。そのためには、社員さんを戦力にしなければなりません。中小企業の場合は、優秀な人材の採用が難しいので、離職率を下げる提案をすることもあります。

一方で、私は「働くおじさん・おばさん」運動を推進しており、50歳になったら会社を辞めて独立をすることをすすめています。これって、矛盾しているのでは?という話もありそうなので、会社がよりよくなるために、私が目指していることを説明したいと思います。

御社で50歳の社員は、どのような戦力になっていますか?

50歳前後の社員で、何年も同じ役職で同じ仕事をしている人はいたら、少々問題です。その人の成長が止まっています。もちろん、本人だけの責任ではありません。会社の成長が止まっているとも考えられます。会社の成長に関しては、売上推移を見れば顕著でしょう。横ばい、下降は危険でしょう。
他にも問題があります。部下が育っていないということです。こうして、企業は衰退していくのです。


衰退するのは企業だけではありません。

50歳になって、40歳の時と同じ仕事をしていたらどうなるでしょうか?体力が落ちているので疲れますね。翌日に響きます。同じ仕事といっても、スピードはどうでしょう?
どの会社でも10年でシステムは進歩しているでしょうから、仕事のスピードは上がっています。また、システム化できるということは仕事に関わる人数が減っているということでもあります。つまり、体力が衰えた人が若い時よりもスピードを上げて仕事をしなければならないのです。さらに、製品やサービスの単価はどうでしょうか?同じことをしている企業の場合は、単価が下がっているはずです。どんな画期的な製品でも一般化すれば競争が厳しくなります。競争が厳しくなると単価が下がるのは必然です。


では、社員の給料は?

基本的には上げなければなりませんね。会社の業績が悪い場合は下げることもできるし、ボーナスをゼロにすることもできます。しかし、その前に経営者の報酬を下げないと社員が納得しません。ですから、経営者は自分の報酬を下げてから、社員の給料に手をつけます。

ところで、給料が下がっても会社を止めない社員って?

そうですね。他に行くところがない社員です。
その社員は、給料を下げられて一生懸命に仕事をするでしょうか?

経験はプラスにもなればマイナスにもなります。仕事の内容が変わっていない社員にとって経験はマイナスになりがちです。古い手順の仕事に慣れた人は、新しい取り組みに否定的です。こうした場合に新しい取り組みを導入すると、若手の方が、仕事ができるのに、ベテランであるというだけの理由で役職が上で、給料も多くなります。また、新しいことをしない社員は経験を効率的という手抜きに使うこともあります。合わせて、目標を達成しない場合の言い訳に長けてきます。


妖精さん

仕事をしないベテランは会社の制度を、上手に利用します。たとえば、フレックスタイムを利用して午前7時に出勤して、他の社員が出社する9時までの2時間はタイムカードを押すだけで特に何もしません。夕方には外出をして直帰。何をしているのかわからない、どこにいるもかもわからない、時々見かけるということで、こうした社員は、若手から「妖精さん」と呼ばれているようです。信じられない話ですが、特別に珍しい話ではないようです。

あなたの会社にも、若手から「何の仕事をしているのかわからない」と思われている社員はいないでしょうか?

固定費を減らせば利益が出やすい

会社は社員の活躍によって成長度合いが決まります。社員が給料以上の仕事をすれば儲かりますし、給料以下の仕事しかしなければ儲かりません。
この数字が問題で、営業や製造の場合は目標を設定することで明確化できますが、間接部門は数字設定が出来にくくなります。その場合の評価方法は、仕事の量と質です。

量とは、単純にサボっていないかどうかです。部下に適当な指示をするだけで仕事をしていない管理職は会社に必要ありません。また、実務を担当している社員は質を見ます。質とは、若手でもできる仕事をやっていないかということです。こうした先輩がいると、若手社員の意識が低下します。

極端な話、会社が潰れない方法は、固定費をゼロにすることです。もちろん、ゼロには出来ませんが、無駄な人件費は抑えたいものです。

強い会社って?

ここで強い会社について考えてみます。結論から言えば、他にも行けるけど、その会社で仕事をしたいと思う社員がたくさんいることです。彼らは転職をするかもしれませんが、よい条件で転職をするために、会社にいる間は、実績を出すための仕事をします。
必ずしも、長く勤務する社員が役に立つわけではありません。自分の利害と会社の利害が一致する社員が役に立つこともあるのです。

現在の日本企業の賃金制度では、ほとんどの社員が50歳で給料が下降するか、ストップする傾向にあります。こうした状況で、50歳からも活躍の機会を獲得するためには、50歳までにヘッドハントされるような実績を作っておくことが大切でしょう。

他に行かなくてもいい

給料に見合った仕事をしていない社員をどう扱うのかということですが、給料を下げるか、仕事の内容を社員に決めさせることをおすすめしています。

何をするから、この給料という具合に明確にしておくと、人件費のロスを抑えることができます。また、若手を登用することもできます。

会社で出世がストップしてしまった社員は、その後のキャリアは明るいものとは言えません。そのまま下降していく前に、再び自らを成長軌道に乗せなければなりません。

その方法は、成果にコミットした仕事を会社と握るということ。さらには、「独立したらどうなるのか?」と考えるだけでも構いません。フリーランスとして仕事を請け負う場合は、仕事の範囲と期待されている内容が明確になります。フリーランス契約をしたとして、仕事をすれば、価値のある仕事ができる分野を見つけることができるでしょう。価値のある仕事をしなければ、対価はもらえないという当然の状態になります。


今後、50代のサラリーマンの仕事はどうなるか?

50歳で給料が下がるというのは、住宅ローンや子育てが終わっている世帯であれば、ギリギリセーフかもしれません。しかし、寿命が伸びている昨今では、長く仕事をしなければ困る社会になります。こうした社会では、企業は定年を延長することが義務付けられるでしょう。一方で、戦力になっていない社員を長期間、雇用し続けることは中小企業には負担が大きすぎます。

両者の思惑を想定すれば、50歳から企業とのフリーランス契約をすることが主流になってくると思われます。ですから、経営コンサルタントが、社員の独立を促すことは矛盾ではなく、今後の企業と従業員の関係性を先取りしたものだと考えています。



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