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兵頭彰

ご存知の通り、兵頭彰は9月いっぱいで引退いたします。
ここ数年、退団者を出してはいましたがちゃんと引退するのは石川晋也さん以来ではないかと思います。少しだけ湿っぽく振り返らせてください。

練習生時代

彼が入ってきた当初、加藤拓歩、石川勇希との3人でいることが非常に多かったため、一括りに見ている時期がありました。その中でもやはり身体ができていた兵頭はデビューも早いんじゃないかな、と思っていましたが、見た目よりも気弱な印象でしたかね。石川も強張った表情をしていたので印象的には社交的な加藤、常に緊張しているような表情の固い石川、兵頭って感じでしたね。

ただ、のちに入ってくる佐藤も含めて社会人生活を経験している彼らには一定の安心感がありました。この頃から練習生と話す機会が増え始めたかなぁと記憶しています。当然リング上でのアドバイスは出来ませんが、プロレスラーになる意味とか、なんのためにやるのか、道場の生活への不満や先輩から言われて嫌な気持ちになることがあればそれを忘れずに、同じことを下にはしないよう、焦らずいつか訪れる機会の為に準備しておけとか、そんな何気ない話をした記憶があります。

デビュー

本来石川と同日デビュー予定が怪我で見送られることに。悔しかったんじゃないかなと思いました。でも菊田も森廣も同日デビューを怪我で延期してるんですよね。それもあって焦る必要ないよ、と言ったかな?ちょっと曖昧です💦

彼がデビューした大会は「江戸川ライジング」。
今回彼が引退セレモニーを行うことが出来るのはこの主催者である吉田純人さんのおかげです。たまたま時期が重なったことで、彼のストーリーに素晴らしいエンディングを用意していただきました。

吉田氏との関係性もいつか書きたいなと思っておりますが、めんどくさいのでたぶん書きません😅

コロナ禍

意外とデビューしてしまうと、接点が少なくなりがちではあるのですが、コロナになり配信という新たな接点が生まれはじめました。

あの頃の道場長は兵頭でしたので、配信で使用させてもらう際に声をかけたりする機会が増え、彼がTwitterなどで出していた #大日道場飯 が評判良かったのでアンケートをとった結果

最初のタイトルは"今日の晩御飯"だったんです。
アンケート結果をもとに兵頭に打診すると、渋々快諾。LINELIVE当初の人気配信になりました。シーズン1終了後の翌週に新番組と銘打って、全く変わり映えのしない同じ配信をするという茶番が許されたのも時代がなせる技か💦

この配信、楽しかったんですが、料理を楽しんでたはずの兵頭が毎週レシピを考えなくてはいけなくなり、苦悶の表情を浮かべはじめたのは誤算でした😅
僕の記憶では「次回、最終回!」と言ってそのままフェードアウトしたんですよね。なんとも伝説的な。最後にやりたかったですけどね…

デスマッチ参入

コロナになってもうひとつの転機はデスマッチへの参入でした。いまだに誤解がある場合がありますが、大日本プロレスでは本人の希望なしでデスマッチをさせることは一切ありません。興行ができない時期が続き、再開しても苦しい状況が続く中でのデスマッチデビューでしたから少し驚きました。
時期を重ねて少し元気がなさそうな印象を受けたので聞いてみると「デスマッチはやりたくてやってます!」と力強く返事してくれて安心した覚えがあります。あまり膝の調子が良くなかったので、それは常に気にしていたとは思いますが。

クラウドファンディング興行

2021年、クラウドファンディング興行の開催を検討していく中で、僕の頭の中には二つのカードが浮かびました。

1つは伊東竜二vs関本大介。
もう一つは石川勇希vs兵頭彰。
そして試合順は石川vs兵頭をメインに。

僕には決定権はないので、何人かに意見を聞いたことがあります。おおむね解答は
「いや、そこは伊東vs関本メインでしょ」
でした。直前の一騎当千でも当たってましたし、まぁそう言うものかなと思いながらもモヤモヤしてましたが、ひとつ問題が起きました。

関本さんの負傷欠場が長引いている。

この時はずっとどうしたらいいのか焦りましたね。出来るのか出来ないのか話が進まない中で、やはり難しいと言う話になった時に押し切らせてもらいました。伊東vs関本はエキシビジョンで事前に発表。それ以外のカードは当日発表で行きたい。当時、新土さんともこの辺り細かく打ち合わせした気がします。普段はカードに口を出すことはないのですが、この興行だけはなんとしても大日本プロレスのターニングポイントにしたかった思いがありました。

2人にも事前に話をしました。
「君たちの試合をメインで見せたい。この興行には未来を見せる必要があるから。」
ご存知の通り2人は俺が俺がと言うタイプではありません。決して「任せてください!」みたいな返事ではなかったと思います。でもあの時にこの2人を選んだのは今でも間違いではなかったと思います。
あの時の個人的な感覚はこちらをご覧ください。

2021年年末

多分、2021年の年末くらいに何人かで食事に行ったんですよね。
その時に悩んでいることは聞きました。
僕も転職は経験していますので「自分のやりたいことが変わるのは決して悪いことじゃない。ただ"自分はいずれ辞めるから"みたいなスタンスで今やっている仕事を適当にこなす奴は軒並みどっかに消えていった。」
そんな感じの言葉をかけた気がします。

彼は真面目なのでそこからの半年間、全て全力で取り組んでくれたと思います。タイトルマッチも、その前後で彼の口から語られた未来に向けた言葉も嘘偽りないものであったのはご理解ください。
むしろ自分の気持ちを打ち破るためにも全力だったと思います。

血液数値異常→引退

6月、兵頭の血液数値異常のことを知らされました。流血無双トーナメントを控えていた矢先のこの事態に兵頭の落胆ぶりは目に余るものでした。おそらく自分が大日本プロレスにいた証を残すためにもこのトーナメントに期していたはずで、自分を奮い立たせていた中、試合ができないこと、発表されていたカードを欠場することに打ちのめされていたように感じます。特にお世話になっていた新太平洋運輸さんの会場で組まれたvs星野勘九郎が流れたのは彼にとって悔しいを通り越した感情だったのではないかとおもっています。

ちなみにこの血液数値の件は彼の引退には関係がありません。しっかりと治療をして完治したことはリリースのとおりです。どっかの誰かがしているような憶測は不要です。これ以外の真実はありません。

北海道ツアーが終わったくらいの時に「時間をください」と言われて2人で飯に行った時に、自分の次のステップに向けて熟慮を重ねたことを改めて打ち明けられ、自分の将来を見据えた決断なら応援するスタンスで行こうと思いました。

僕は過去の経験からも気持ちが薄れていく中で仕事を続けるのは精神的に辛いこともわかってましたし、辞める時の方が仕事を始めるより何十倍も大変なことも知ってます。いろんな人に引き止められ、色んな意見を聞かされ、時には裏切り者扱いされるかもしれない、まともに話を聞かれずに笑い飛ばされるかもしれない。その辛さを兵頭には味合わせたくなかったし、仮にそう言う場面があったとしても僕は兵頭の側に立っていてあげたいと思いました。

でも、そう言う言葉や態度の全てが兵頭と一緒に仕事をしたい人の気持ちなんだと、全て飲み込む覚悟をしっかり持って、関わってくれた方への感謝の気持ちを持つことが出来るであろう彼の辞める決断を支えていこうと思いました。

会見での社長の発言を見ていただいた方もいらっしゃると思います。「家族」という切り口で言うと多分、僕は冷たいんだと思います。辞めるって言ってる人を基本引き止めません。そういう気持ち、兵頭が居なくなることが嫌だと言う感情をぶつけることが出来ないんですから。粛々とどうやって辞めるのが1番良いのか、それしか話さない僕は兵頭からすると頼りなく感じたんじゃないかなと今でも思います。

引退発表

9月10日を迎えるまでの期間、たくさんの話をしました。心配だったのは彼にとっての仲間・友達である熊川、石川、佐藤は納得しているのか?と言う点。お互いの気持ちがどこにあるのかはわかりませんが、それぞれとちゃんと話したようで安心しています。熊川は「理解はしましたが納得はしてません」と言っていました。それで良いんだと思います。

蛇足ですが僕は仕事で繋がっている人を友達と思ったことはありません。仲間だとは思いますけどね。
どこからが友達でどこからが仲間かの線引きは難しいですが、強いて言うなら友達って言えるのはライジング吉田氏くらいですかね💦だからこの4人がそれぞれを【友達】と言える関係性はすごく羨ましいなとは思います。

緊張に包まれた引退発表会見を見て、兵頭には注文をつけました。

「笑顔でいろ」

彼の笑顔は魅力的だと思います。戦いの場にいる選手たちではありますが、その柔らかい笑顔は色々な人に心地よさを与えてきたと思います。
苦々しい顔で過ごすのではなく、笑顔で居続けること。
それだけは引退発表からプロレスラー兵頭彰が幕を引くまで意識し続けるようにお願いしました。

引退セレモニー

江戸川ライジング7の引退セレモニー。
当初兵頭は「挨拶だけになりませんか?」と言っていました。「自分は何も成し遂げてないのでおこがましい」とのこと。
わずか4年の現役生活。人によっては引退とか言う必要ないと思う人もいるでしょう。

夢破れていつの間にかいなくなる。そう言うレスラーの終え方をした人も沢山いたと思います。ただ、彼の場合は次の人生を見つけてプロレスラーを辞めるのですから堂々とするべきだし、わずかだったとしても君の試合を見て勇気づけられたりプロレスラー目指したり、人生変わった人もいるかもしれない。その人たちは兵頭のこれからの人生には関わりないのかもしれない。でもその人たちの気持ちを置き去りにするのは違うと伝えました。最後までプロレスラー・兵頭彰を全うしろと。
リングが埋め尽くされる紙テープに本人の気持ちがスッキリしてくれたことを祈ります。

これからの人生

もうここからは彼の人生です。僕が関わることはきっとないでしょう。個人的に連絡取り合ったりはするかもしれませんが、大きな岐路に立ち会うことはないだろうなと思っています。結婚しようが、社長になろうが、何かに失敗しようがそれは彼の決めたことであり、それも含めて自分の取った決断ですから、頑張ってほしいと思います。心から応援します。

ただ、ひとつだけ約束をしてもらいました。
その約束が実現しないことを願って送り出します。

今まで兵頭彰を応援していただきました皆様。本当にありがとうございました。彼の人生をぜひ応援してあげてください!

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