護身柔術

道場に行く途中の道すがらで会員さんと出会い一緒に道場に行きましょうと雑談の中で、トライフォース本部の「理念」のページには「最高の護身術としての柔術」とある一方で、ベーシックカリキュラムのページに「護身術的なアプローチは行っておりません」とあるのはなぜなのか、と超ハードな質問をくらい、うーんとうなりましたが私が一秒うーんというときはすでに答えがある問題なんだけどどの順番で話せば伝わるのかなあという意味でのうーんなのです。

↓最高の護身術

↓護身術的なアプローチは行っておりません

ついでにいうと私は会員さんたちには常々、柔術には、打撃あり、セルフディフェンス、スポーツ、の三要素があり、トライフォース志木ではスポーツを教えますと言っていてその流れでの質問なのでしょう。

さてベーシックカリキュラムのレッスン1の1番、マウントポジションからブリッジで相手をひっくりかえすロールエスケープ、あなたもベーシック検定の2級合格時にやったあれですが、あれはおそらく本当なら馬乗りになった相手が両手で首を絞めてくるような状況からのエスケープですよ、そうすると相手の腕を直接握ってひっくり返す技法をベーシックで、相手の道衣を握って同じ動きをするスポーツ技法をアドバンストで習得する意味もわかってきますよね。そしてベーシッククラスで練習仲間の首を絞めたらそれはそれでとんでもなくつまらないクラスになることも想像していただきたい。たとえばベーシックカリキュラムのレッスン2の1番のクローズドガードからのストレートアームロック、あの重心は明らかに右手で相手の首を抑えつけて左手で相手の顔を殴打する人に対するカウンターを想定していますよね。でももちろん普段の練習では決して顔を殴るといったことは口にすら出さないし出してはいけないわけです。たとえばレッスン4なんてのはセルフディフェンスそのものです。

なので、トライフォースのベーシックカリキュラムだけでコンペティションに勝てるとは言えないのと同じくらいの意味でベーシックカリキュラムをやったからと言って柔術の護身術をやったとは言えません。しかしベーシックカリキュラムを極めさえすれば柔術において必要な考え方や体捌きが身につくと言えるのと同様にベーシックカリキュラムをやれば将来別の護身術系柔術道場に行って戸惑ったり悲しい気持ちにはなりませんと、志木駅から徒歩一分(不動産屋の公称)の超絶駅チカ道場トライフォース志木に歩く道すがらにつらつらっと語りました。

質問してくれた会員さんと認識のすり合わせをしたところ、英語版のベーシックカリキュラムと「護身術的アプローチしておらぬ」の一文は同時期に見られるようになったようなので、おそらくたんなるディスクレイマー・免責事項的に書いてあるだけなんじゃないですかね、そもそもトライフォースは企業案件で護身術を教えに行ってるし早川先生は護身術の本も出してるし本部では百年に一度くらいの割合で護身術クラス(たぶんインストラクションを練りたいのだろう)をやってるし相当護身術系の道場だという認識ですが柔術に幻想をいだいたアメリカ人やブラジル人から護身術護身術って言われても面倒くさそうですよ、とも補足。

うーんと一秒唸ってから立て板に水の口上。私にはよくある。
自分が白帯の20代の白帯会員だった場合、貴重な練習時間を護身術の時間に充てますと言われたら相当悲しい気持ちになるから志木ではやりません、とまとめました。

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