キッズ柔術で目つぶしを教えるべきか否か

自分の娘が私にアメリカーナアームロック、プロレス技でいうV1アームロックを仕掛けている動画が出てきました。ちなみに彼女の柔術全盛期は8歳のときでした。天才的でしたが13歳になったいまでは完全に省エネ柔術家となっています。のったりと足回しをしてひっくり返してズーンと相手に乗って時間をつぶす柔術。コンペティションを一切目指すことなく育て続けたらどうなるだろうと見守っていたらこうなりました。ある意味セルフディフェンス。ケガすることは絶対ないだろうがたぶん護身に特化しすぎてつまらないのではないかと思います。ゲームとしてのリスクが無さ過ぎです。

8歳からのアメリカーナアームロック。

Posted by 早川 光由 on Wednesday, October 24, 2018

上の動画では、左の耳を相手の肘にくっつけなさいと導く私の姿も映っています。キッズに柔術を教えるときは打撃や目つぶしの概念を明確に教えることが役立つと考えています。ゲームとしての柔術や柔術のコンセプトはわかりやすいようでわかりづらいので、この重心の取り方は目つぶしされちゃうからやっちゃだめだよ、とか、この状態だと相手に殴られちゃうから逃げようね、とか、この状態なら相手がテイクダウンの使い手でも受け身さえ取れれば殴られることはないね、とか雑談しながら導いていくと、結果的にブラジリアン柔術のコンセプトやIBJJFルールに沿った動きになっていきます。

子供たちは、殴ったりけったりかみついたり目つぶししたり髪の毛を引っ張ったり指を折ったりするのはダメ、ってのはわかっているけど結局何をすればいいのよ、ということになってるらしいです。
トライフォース志木のキッズに入門する場合、親御さんたちには念には念を入れて、うちの道場は大会で勝てませんよ、かけっこクラブと勘違いしている子たちすらいます、そもそもブラジリアン柔術の名称を知っている子もいませんよ、それでもいいんですか?と聞くようにしています。あるいみ歴戦のつわものだけが残ります。こっちとしても月額2200円通い放題のキッズクラスにコンペティションでの勝利まで期待されても難しいところがあります。コンペティション的には激よわかもしれないけれど、私の目から見たら数年通うとかなり強くなっているので不思議です。

上述のナツミ、幼稚園のころからさんざん柔術をやらされていたナツミ、8歳の時は柔術が楽しくて楽しくて仕方なかったけれど中学生になってからは柔術がいやでいやで仕方がないナツミ、は黄帯の帯授与式のスピーチで、林間学校で不良にタイマンしようとからまれたエピソードを話してくれました。テイクダウン、パスガード、マウントという理想的なIBJJFルール準拠の動作のあと圧力をかけてバックテイク、最後はチョークをしかけたところで周りの子たちが止め、互いに無傷でおわれたから柔術をやっててよかったなと思いました、とスピーチしていました。私にはわかりますが、あれはうけを狙っていたスピーチです。中二病。しかも事実。なお、不良とはけんかした後なかよくなったらしいです。さすが少年ジャンプ好き。友情と努力と勝利です。誰の英才教育を受けたのか、彼女はチャンピオンとジャンプが好きらしいです。私も好きです。ジャンプとチャンピオンだけは11歳から43歳になったいまでも毎週読んでいます。ジャンプのすごいところはおじさんになると本当にその良さがわかりづらくなるところですね。徹底的に少年の心に向かい合っているのでしょう。

余談ですが、はるか昔、トライフォース浅草橋の山田先生のアメリカーナアームロックを初めて見たとき、重心を下げるために耳ではなくおでこを相手の肘についていたと記憶しています。しばらくすると耳を付ける目つぶし対応モードになっていました。おでこを付けたのはなにかの別の事情があったのか、それとも早川先生に調教されたのか、これは柔術的にどうでもいい動作なのか、私の見間違い記憶違いなのか、これもまた真相は藪の中。


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