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【日記】苦悩/2022年12月14日(水)

 午後から横浜の大橋ジムで井上尚弥の一夜明け会見。その前に、加茂佳子さんとお茶をすることになり、ジョイナス内のドトールコーヒーで待ち合わせをしたのだが、例によって彷徨う。Googleマップも見、構内表示も丹念に見ているのだが、さっぱりわからない。まるで迷路のような地下、しかも巨大な有隣堂内を行ったり来たり。30分もうろついて、やっと辿り着いた。
 加茂さんもたいがい方向音痴なのだが、自分はそれ以上。お店を出て、左に行こうとしたら、「本間ちゃん、右だよ(笑)」と。入るとき出るときで自分の向きが変わると方向がまったくわからなくなってしまうのである。めちゃめちゃ優しい加茂さんも、さすがに呆れたはずである。

 ジムには5分前に着いたのだが、すでに満員すし詰め状態。「こりゃ入れんわ……」と一瞬焦ったが、なんとか人の合間を縫ってかき分けて、スポンサーボードの後ろ側に陣取った。
 全体会見、撮影の後、新聞各紙の撮影、テレビのインタビュー数社。その後に、記者用の囲み会見。
 全体撮影の際、新聞社のカメラマンが、用意してきた「4」をかたどったピンク色のビニール風船を持たせようとした。すると「いやぁ、これはやめときましょ」といったんは拒んだ尚弥だったが、「あとで、新聞の撮影のときにしましょ」とすかさずフォロー。パッと起点が利くし、気遣いができる。こういうところだ。
 記者用囲みの前は、「それじゃ、お疲れさまでした!」とお決まりの帰るボケで場を和ませる。
「いま、このまま(ボクシングを)辞めてしまえば最高の終わり方。でも、この先も挑み続けていきたいから」
「ただ勝つだけならこんなに苦しくない。内容も問われるから。それは本当に苦しいこと。だからみなさん、あんまり内容のことを言わないでくださいね(笑)」
 世界中の期待を一身に背負う男の、光と苦悩。井上尚弥にしか見ることのできない景色がある。

 ずっと直立不動でいたせいか、足が異様に痛くなった。たまには屈伸を入れないと、血流も悪くなるのだろう。ふらふらしながらようやく家に着き、バタリと横になる。久しぶりの取材等の4日間が終わり、こっちの気も抜けたのだろう。だが、井上拓真の試合レポートを書かねばならぬ。
 ちょいと休憩し、取りかかる。疲労がとんでもない。なんとか書き上げて、食事を摂りながらテレビをつけるが、つけっぱなしのまま、落ちる。


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