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「もう、怖いものはない。次の扉を開けにいく」。岩佐亮佑、不退転の決意

写真_山口裕朗
Photos by Hiroaki Yamaguchi
@FinitoYamaguchi
@finito22

☆10月25日・後楽園ホール
62.0kg契約10回戦<メインイベント>
○岩佐亮佑(セレス)元IBF世界スーパーバンタム級チャンピオン
●ゼネシス・カシミ・セルバニア(カシミ)日本フェザー級18位
TKO4回1分46秒

 小刻みに体を揺すって拍子を取るセルバニアに対し、岩佐はいつもどおり悠然と構え、緩やかな雨を降り注いだ。一見、スローにして力強くもない。それをセルバニアは両腕の上でガッチリと受け止める。打つポイントを細かく変えているのだが、なかなかダメージングポイントには届かない。いや、岩佐が敢えてその上を叩いていたのだった。

 一時的な豪雨より、長時間降り注ぐしとしと雨。その効力が上回ることを、“イーグルアイ”は熟知しているのだ。

 これが岩佐亮佑のやり方なのだ。マスボクシングのように、感覚を楽しんでいるかのよう。かといって、相手の動きには過剰に反応しない。セルバニアの細かい動き、反応にも全くつられない。いつでも、誰と対峙しても、岩佐は岩佐のリズムを貫く。そして、脱力したブローだからこそ、連打が利く。ガードを釘づけにさせたまま、手を出させない。セルバニアは武器とする右を、2分30秒まで1発も出せなかった。

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