見出し画像

【ボクシング】大差判定は「?」も、フィゲロア“テイスト”発揮しマグサヨ下す

☆3月4日(日本時間5日)/アメリカ・カリフォルニア州オンタリオ・トヨタアリーナ
WBC世界フェザー級暫定王座決定戦12回戦
○ブランドン・フィゲロア(アメリカ)1位
●マーク・マグサヨ(フィリピン)2位
判定3-0(117対109、117対109、118対108)

 頻繁にサウスポーへのスイッチを繰り返しながらにじり寄っていく長身のフィゲロアを、左フックのカウンター、右クロスで迎え打つマグサヨ。左右へのフットワークも使いながら、要所でパワーパンチをヒットさせ、フィゲロアの右目上を早々に腫れあがらせた。

 3ラウンドには、やや焦り打ちを示したマグサヨだったが、入ってくるフィゲロアに対し、左ボディカウンター、近距離では右アッパーを決めるなど、印象的なパンチでは明白に上回り、前半は制していたと思う。

 だが、ここからがフィゲロアの真骨頂だ。右からの左ストレートなどハードヒットを浴びても決して怯まない。非常に地味ながら左ボディアッパーをコツコツと刺す。しかも、右腕でマグサヨを押さえ込んでのそれは、マグサヨに苛々を募らせるもの。マグサヨも、フィゲロアの胸に頭を押しつけてそのまま押し込んでいくなど、レフェリーに見えないところでのダーティテクニック合戦を始めた。

 精神的に揺さぶられ始めたマグサヨ。元来力みが強く、スイング傾向にあるブローはいっそう力がこめられる。そうして余計なスタミナを使ってきたマグサヨは、フィゲロアのボディブローに加え、上からの押さえつけに体を畳むような姿勢になることが増える。8ラウンド、11ラウンドとマグサヨはホールディングでそれぞれ減点1を食らってしまう。しかし、いずれもそこまであからさまなものでなく、フィゲロアが腕を伸ばしてそれを取らせるのがうまいように見えた。片腕で押さえつけてボディを打つフィゲロアのほうが、よほど露骨な反則に見えたものだった。

 8ラウンド、マグサヨは渾身の左フック4連打をヒットしたが、やはりフィゲロアは前進、密着をやめない。これぞ“フィゲロア・テイスト”を発揮する。

 発表されたスコアは3者とも驚くほど離れていた。特に前半のマグサヨのパフォーマンスをあっさりと打ち消すもの。別の試合を見ていたとしか思えない評価だった。

 元々繊細にピンポイントで当てる能力を欠くマグサヨは、その大雑把さを同じく大雑把なフィゲロアに打ち消された形だ。フィゲロアは、相手のボクシングを潰し、辟易させることだけは相変わらず長けている。持ち味を発揮したという点では評価されるが、この日はジャッジに恵まれた印象が強い。2度の減点がなければ負けやドローもあったと思う。

☆3月4日(日本時間5日)/アメリカ・カリフォルニア州オンタリオ・トヨタアリーナ
ミドル級10回戦
○アルマンド・レセンディス(メキシコ)
●ジャレット・ハード(アメリカ)
TKO10回5秒

 1年9ヵ月ぶりにリング復帰した元王者ハードを、レセンディスは見事に絡め取った。
 上体を右へ傾かせながら右へ右へと動くハードを、レセンディスは接近戦に巻き込み、左右ショートアッパーから左ボディを決めていく。ハードも長い右アッパーで対抗し、強打を打ち返していくのだが、心の余裕を徐々に奪われていった。
 接近戦でのレセンディスの頭の位置が巧かった。ハードの左肩に必ず乗せて、左ショートフックを上下に集める。対してハードのそれは、頭が邪魔になるために、どうしても遠回りして大きく開く。レセンディスはそこへアッパーを集めるのだ。
 このアッパーカットでハードは口を大きく裂傷し、大量出血。10ラウンド開始と同時に、リングに入ったコーナーインスペクター(女性)の指示により、ドクターチェック。進言を受けたレイ・コロナ・レフェリーがストップをコールした。

☆3月4日(日本時間5日)/アメリカ・カリフォルニア州オンタリオ・トヨタアリーナ
ミドル級10回戦(WBCラテン・タイトルマッチ)
○エライジャ・ガルシア(アメリカ)
●アミアカル・ビダル(ウルグアイ)WBC9位
KO4回2分17秒

 速いテンポで強打を放つビダルと、スローテンポからの緩急で攻めるサウスポーのガルシア。ビダルの入り際に左ボディアッパーを狙うガルシアの巧みさも目についた序盤だが、それ以上にシャープなビダルの攻撃が目立った。
 接近戦で左右アッパーを浴びせたビダル。それによって鼻血を大量に流すガルシア。しかし、ガルシアは緩急だけでなく、強弱も混ぜた上下攻撃を丹念に続け、4ラウンド、ビダルの左打ち終わりに右フックを炸裂。これで効いたビダルにロープを背負わせて右アッパー、左フック連打と一気に強打。ヒザから崩れ落ちたビダルを見て、ジャック・リース・レフェリーが両腕を交差した。
 弱冠19歳のガルシアは、その若さに似合わない渋いボクシングを展開した。スローテンポをベースとした緩急、強弱は、セレス小林を思い出させた。

《SHOWTIME BOXINGライブ視聴》

ここから先は

0字

観戦した国内外の試合開催に合わせ、選手、関係者、ファンに向けて月に10回程度更新。

ボクシングの取材活動に使わせていただきます。ご協力、よろしくお願いいたします。