マガジンのカバー画像

小さな物語。

53
掌編・短編集。
運営しているクリエイター

2015年2月の記事一覧

白い腕


いつも一番後ろの窓際の席に座っている、長瀬君の左腕にはいつも白い包帯が巻かれていた。まだ一緒の中学に入るその1、2年前から、噂によると包帯が巻かれてあったそうなので、かれこれ3年以上は巻かれたままである。その包帯は手首から肘にかけて巻かれてあるのだけれど、ブレザーの袖にすっぽりと隠れてしまうので、制服を着ている分には目につかない。体育の時間になれば着替えなければならないし、夏になれば衣替えがある

もっとみる