幼児活動研究会__1_

四季報でも独特の存在感を放つ「幼児活動研究会」。調べてみると超キャッシュリッチの優良企業だった!?

皆さんは会社四季報を読んでますか?私は四季報が出るたびに上場3600社が書かれた全ページに目を通すのですが、その中でひときわ目を引く会社があります。その名も、

2152幼児活動研究会です!!!!

おそらく四季報を読む方なら誰もが一度は目にしている(はず)のこの企業。圧倒的な名前のインパクトがあり、一体何をしているのか色々な想像がかきたてられます。名前から子供向けのビジネスをしていることはわかるので、「少子化だと厳しいんじゃないの?」という先入観もあり、今までなんだかんだリサーチをして来なかったのですが、今回財務諸表を分析してみると意外なほど優良企業であることがわかりました。

幼児活動研究会は何をしているのか

結局のところ、幼児活動研究会が何をしている会社なのでしょうか。HPの事業紹介をみてみましょう。

「私たちは、園の保育の一環として、学年別の体育授業を指導する講師を派遣しています。」(幼児活動研究会HPより)

幼稚園や保育園などと契約し、体育指導ができるカリキュラムと体育指導員をセットで提供しているようです。契約した幼稚園や保育園は、保育時間内のカリキュラムとして園児に体育教育を施します。これを、「正課体育指導」と呼びます(下図は幼児活動研究会の決算資料より引用)。


●週1回
●3クラスまで(月額) 49,680円(税込) (幼児活動研究会HPより)

値段はだいたいこれくらいで、基本は契約する幼稚園や保育園の数が増えるほどストックビジネスのように積み上がっていきます。

また、保育時間外に園児に対してスポーツクラブやサッカー教室を提供する「課外体育指導」というカリキュラムも提供しています。こちらは加入する園児が1人増えるごとに、入会金や月謝を数千円ずつ積み重なっていくビジネスモデルです。

さて、ここから幼児活動研究会の業績推移をみていきます。03年から増収を続けており、経常利益率も常に10%以上を維持していることがわかります。

この安定性の要因は、これまで地道に積み重ねた保育園・幼稚園の顧客基盤にあります。教育プログラムは一度導入されてしまえばそうそう打ち切りになることもありません。また、多少景気が悪くなったからと行って、子供が通っているスポーツクラブをやめてまで節約する家庭もあまり多くはないでしょう。数値を見ても、毎年着実に顧客層が積み重なっていることがわかります。

少子化とはいえ市場環境も意外と悪くない

また、マクロを見てみても、確かに少子化は進んではいるものの、一人当たりにかける教育コストの高まりや、体育教育の普及率の向上によって、幼児向け体育教育の市場規模はわずかに拡大しているようです(下図は2010年3月期の決算説明会資料から引用)


また、幼稚園・保育園の経営者としても、周辺の競合に対する差別化カリキュラムの提供意欲は今後も強まっていくでしょうし、東京オリンピックによるフィットネス意識の向上もこれから幼児活動研究会にとっての追い風になるかもしれません。

積み上がったキャッシュは70億

基本的にこのビジネスは、カリキュラムと人さえいればできるので、固定資産への投資があまり必要ではありません。その結果、キャッシュインこそあれどキャッシュアウトがあまりなく、幼児活動研究会のネットキャッシュ(現金、有価証券、投資有価証券などの換金性の高い資産から有利子負債を引いたもの)は70億まで積み上がっています。

11月22日現在の時価総額が107.5億なので、時価総額の70%弱の現金を持っていることになります。毎期10億の経常利益を稼いでくれると思うとかなり割安ですね。

人件費の高騰・教室中の事故などのリスクや、株主還元の甘さなどの課題もありますが、引き続き幼児活動研究会の活躍を見守りたいと思います。

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