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昭和のおっさんから抜け出し、仕事の生産性を上げる仕事の考え方

先日、クライアントさんの話を聴いていて、昭和の人というのは本当に仕事を長時間することがいいことだという価値観が染みついていて、残業だの休日出勤を誇らしげに語るけど、最近の若者は合理的だから、それを見ながら批判的なことを言って逆らいはしないけど、自分はああはなりたくないって思っているだろうねーという話になりました。

みんなが不必要だと思っていたけれども、年配の方がずっとやってきた会議があって、その方が退職された途端、無くしましょう、という話で合意が取れたそうなので、こういうことって日本の組織に蔓延しているんじゃなかろうか、と思います。

で、思いついたことがあって、それは、良く語られる仕事についての3つの輪の話。いわゆる、WILL、MUST、CANの話。この3つの輪の重なり合う仕事が良い仕事、という価値観が流布されているように思います。

WILLは、やりたい、という意思だし、MUSTは、やるべき、という役割とか義務感、そしてCANはできる、という能力を示していて、一見、まともそうに見えます。

WILL、MUST、CANの3つの輪(よくある奴)

しかし、さっきのおっさんの会議の話にあてはめてみると、その困った状況がこの輪にばっちりハマってしまうことになることがわかります。おっさんはやりたいのだし、やるべきだと思っているし、やれるから開催していたわけです。

ここで思い出したのが、ハーズバーグの二要因論です。引用します。

ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)とは、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論。人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなくて、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものであるとする考え方。

ハーズバーグの二要因理論 – リーダーシップインサイト

カンタンに言うと、「満足」の反対が「不満足」、という考え方は間違っていて、「満足」の反対は「満足が無い」、「不満足」の反対は、「不満足」が無い、である、という考え方。1つの要因のありなしではなく、2つの要因のありなしなんだよ、という考え方。

これに基づいて、顧客や従業員の満足度調査だけではなく、不満足度調査も必要だよ、という話もあります。

それはさておき、上の3つの輪について、これは「満足」要因、すなわち、「動機付け」要因だけを扱っているな、と思ったのです。

ということは、逆に「不満足」要因の方もあるはずだ、と。

WILL、MUST、CAN → WILL NOT、MUST NOT、CAN NOT

ということで、こうなります。

WILL NOT、MUST NOT、CAN NOTの3つの輪(筆者考案)

考えてみれば、ドラッカー先生も『経営者の条件』の中で、

集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。(中略)もはや生産的でなくなった過去のもののために資源を投じてはならない。(中略)昨日いかに懸命であり、勇気があったとしても、その決定や行動は、今日になれば問題、混乱、愚かさとなる。(中略)前任者や自らが昨日行った意思決定の後始末のために、今日、時間とエネルギーと頭を使わなければならない。(中略)したがってそれらのうち、成果を期待できなくなったものを捨てることによって過去への奉仕を減らしていかなければならない。

『経営者の条件』P.142

古いものの計画的廃棄こそ、新しいものを強力に進める唯一の方法である。アイデアが不足している組織はない。創造力が問題なのではない。せっかくのよいアイデアを実現すべく仕事をしている組織が少ないことが問題である。みなが昨日の仕事で忙しい。だが、あらゆる計画や活動を定期的に審査し、有用性が証明されないものは廃棄するようにするならば、最も頑強な官僚組織においてさえ創造性は驚くほど刺激されていく。

『経営者の条件』P.146

と書いています。

仕事を生み出すとき、始めるときのポジティブな3つの輪の有用性は、もちろん、あると思うのですが、逆に、通常の仕事をするにあたっては、ネガティブな3つの輪を思い出してみると良いでしょう。この3つの輪に書かれている「やりたくない」「やらないべき」「やれない」仕事は確実に、人のやる気を奪い、生産性を下げています。

ということで、こういう仕事を廃棄していけば、きっと生産性も上がるんではないでしょうか、ということを思いついたので記事化してみました。使えそう!と思った方はどんどん使ってみてください。

現場からは以上です。

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