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#10 実家を継いだ4代目 Soul Talk!

花火の季節ですね。
今回は静岡県島田市の手持ち花火製造会社「井上玩具煙火」さんの4代目で、若手跡継ぎとして奮闘する井上慶彦さんをお招きしました。
よろしくお願いします。

1.都会でみつけた「家業を継ぐ」”きっかけ”

寺田:
井上さんは、島田市で間もなく創業100年を迎えられる手持ち花火製造会社「井上玩具煙火株式会社」の4代目として、覚悟を決めて実家に戻ってこられて今年で5年目になります。
その間に、新しい挑戦もされていて。
これからの飛躍が期待される、新進気鋭の若手跡継ぎというポジションかと思います。

井上室長:
井上玩具煙火の井上慶彦と申します。
島田市で育ち、島田高校でずっとサッカーをやってきました。
文系・理系の選択時には、「多分花火屋になるのかな」と理系を選び、東京の大学で化学の勉強をしました。
大学卒業後は全く別の業種をいろいろ見てみたいという想いがあり、地元のスルガ銀行に就職しました。
静岡県内で3年半ぐらい勤務し、その後東京で1年半働いていたときのことです。
ある日、訪れた都内の量販店で実家の花火を見つけたんです。
そこにいた家族連れのお客さんがその花火を手にとって悩んでいる姿を見て、なんだかすごく胸を打たれて。

5年ぐらい外で働いたし、今後について家族と話してみようかな、というきっかけがそこで生まれ、その後実家を継ぐという決断をし、今に至ります。
この2年間で、寺田さんと一緒に「義助(よしすけ)」「結華(YUKKA)」という花火を世に出したり、会社のホームページもイチから一緒に考えて制作したりしましたね。

寺田:
広報パーソンとして素晴らしい自己紹介ができていらっしゃいますね。
銀行で勤務されていたときに違う世界を見てみたいと行動する中で、心に期するきっかけがあって。

お会いした時は島田市に戻ってきて2~3年目くらいでしょうか。
企画室長という役職はあったものの、当時は社長であるお父様、職人さん、年配層の社員の皆さんの中でどのような役割や存在感を示していったらよいか、いったい何ができるのか、など模索していらした時期かなと思います。
徐々に育んでいきたい、任せてみたいという思いがあった社長にも、しばらくご苦労があったのではないかと思います。
そういう時期にご縁があって、ご一緒することになりました。
島田に戻ってきた当時、どのようなことを考えていましたか。

2.継承当時にみた原風景と、自社商品への想い

井上室長:
帰ってくるまで花火業界のことを全然知らなかったし、銀行で働いている時は実家のことを気にしたこともなかったです。
たまに商品を見かけて「うちの花火だ」と気にかけることはありましたが。
国内で販売されている花火は9割方が海外製の花火で、うちがいくら頑張ってもなかなかアピールできないという点にすごくわだかまりがありました。

職人さんたちが夏の暑い中、冷房もかけないで、冬は寒い中、暖房もかけないで外で一生懸命作っている姿を1年間ちょっと見てきて、これはもっとアピールして、いろいろな人の手に取ってもらいたいという想いが自分の中で広がって。
それなら自分のやるべきことは、商品のPRや会社内部のことを外にどのように発信するべきかを考えるのが一番いいのでは、と考えるようになったんです。
しかし、なかなか自分だけでは行動に移せず悩んでいたのですが、そんな頃に寺田さんと出会い相談させてもらいました。
「そんなんじゃダメだよ」と𠮟咤激励を受けながら、「自分でこういうことを発信していきたい」「こういう商品をみんなに届けたい」という思いをぶつけて。
商品開発や自社のPR広告などをどのようにやっていくべきか、一緒に考えていただきました。

寺田:
実家に戻ってきて、肌身で感じて。社長や社員さんの背中を見て、それが室長にとっての原風景になったのですね。
よいものを作っているし、国産花火の製造会社としてのプライドを持って仕事をしたいけれども、大入り袋で売られているのはほとんどが中国産で。

花火の輝きは中国産のものとは間違いなく違うという強みがあるのに、一緒くたにされてしまって。
中国産に比べて高いというだけで問屋の方に敬遠されるという構造的な課題も感じていらして、たくさんの苦しみがあった時期かと思います。
課題を突破しようと、最初の打ち合わせで室長なりにお考えになったプロトタイプを見せていただいたりして。

それはデザイン的に足りない部分があったかもしれませんが、自分なりに考えてみたものを提示したことから動き出しましたね。 自らこじ開けたというか。
突破口を開いたという行動は、これから井上室長のスタイルになっていくのではないかなと予感した瞬間でした。

相談の中で、創業90年の会社として初めての自社商品を作りたいというご意向がありまして。
どんなものが今求められているのか、花火という商品を通じてお客様に何を表現し、どのような時間を共有していきたいのかを考えながら、プロジェクトを進めていきました。

本当にいろいろな試行錯誤を続けましたね。
商品のサイズ、パッケージから、コンセプトから。
市場分析をしたり他の様々な業界の動向を探ったりするなど、一緒に奮闘させていただいた期間でした。

結果として2020年には「義助」、そして2021年には「結華」という商品ができたのですが、メディアで取り上げていただく機会が多かったので、リスナーさんの中には見たり聞いたり、いただいたりしたことがある方がいらっしゃるかもしれません。
室長からも、本当に苦労されて生み出した2つの花火「義助」と「結華」のご紹介をしていただけますか。

3.花火の概念を覆した「義助(よしすけ)」「結華(YUKKA)」

井上室長:
2020年に初めて、自社ブランドとして発信する商品「義助」を開発して販売しました 。
特にこだわったのは商品の名前です。

今弊社の花火は全国で販売されていますが、自社から商品を発信するということを一切やってこなかったんです。
都会で働き島田に戻ってきた私は地元が大好きで、「商品を通じて島田市のことを発信できたら、それに越したことはない!」と考え、「義助」という名前は刀をイメージして、「結華」は島田市の花である薔薇をイメージしました。
「義助」は昔ながらの黒色火薬を使って現代的な燃焼の彩りを表現した花火で、「結華」は義助とは全く違った燃焼をする赤・白・ピンクの火の色に現代的な花をイメージさせるような色付けをしました。

金額については、手持ち花火は大入り袋に100本ほど入って「いっぱい入ってますよ」という感じで売られているのが一般的なので、これは5本で3,300円(義助)、3,800円(結華)と、花火にしては少し高いなというイメージを受けるかと思います。
「義助」と「結華」を通じて、職人たちが1本1本丁寧に作り上げていること、「1本作ることは大変なんですよ」ということをお客様にアピールしたくて、勝負に出ました。

振り返ってみると 「義助」はお中元などで毎年頼んでくださる会社さん、リピートしてくださるお客様がいらっしゃったり、「結華」も初めて女性のお客様から「○○(新聞やネットなど)で見たので買ってみたいです」と、ご来社いただいたりしました。

静岡駅前の松坂屋さんで催事を出店した際に、「結華という花火を買いに来ました」と話しかけてくださった女性のお客さんが、とても印象に残っています。やってきたことにはすごく意味があったのだと。
自信を持って作っている私たちの花火に価値を見出してくださる方がいるのだと、お客様と直に接したことで初めて実感できました。

寺田:
ひとつの成功体験を「義助」「結華」という商品を通じて作ることができましたね。
「B to B」「卸し」というように、言われたものを作る業態が長い会社さんにとって、自社の名前で商品を作るのはかなりハードルが高かっただろうと思います。
企画から何からゼロイチでしたので、どういうふうに作って、どうやって売ったら買ってもらえるか、伝えていけるかっていうのはすごく手間がかかるし、正解がないし、ロールモデルが会社の中にいないので社員さんを説得して、取引先にも説明をして。
各方面に説明を繰り返し、理解をお願いしながら開拓してきた期間だったと思います。

会社の皆さんに理解していただいてからは、応援してもらって。ご家族の皆さんで梱包していましたよね。
「本当にこれで売れるのか?」「こんな高いの売れないよ!」と職人さんがおっしゃることもあって、説得するのが大変なことも多かったと思うんですけど、蓋を開けてみたらありがたい結果になりましたね。
ファーストチャレンジだったこともあって、日経新聞や静岡新聞、地元の各社テレビ局だけでなく、テレビ東京のワールドビジネスサテライトさんの取材もありましたね。
その後も夏の企画で取り上げていただいたり、イベントに呼ばれたりしたこともありました。

「2020グッドデザインしずおか」で「義助」が金賞を受賞、続いて「結華」の発売と、とても目まぐるしかったと思いますけど、たくさんの実験ができた快進撃だったんじゃないかなと思っています。
振り返ってみて、商品を発信する・伝える・PRすることをやってみて実感されたこと、難しかったこと、思わぬ反響があったことなどをシェアしていただけますか。

4.コロナ禍と”とっておき”の手持ち花火

井上室長:
2020年に「義助」を販売すると決まった時に新型コロナの時期に直面し、花火業界として大打撃を受けます。人々の中に『花火が見えない・見れない夏』という印象が残る2年間になりました。
この時期に「義助」を買うお客様は、孫にとっておきの花火を届けたい、家族と一緒に花火を楽しみたいなど、「大切な人に贈りたい」というご希望が多かったです。創業90年の花火屋さんが国内にあるなんて知らなかったという反応もありました。
ちょうど「こういう時期だからこそ、おうち花火をやろう」と言える時期に発売となったので、お客様から「すごくよい花火で、やってみてよかった」「買ってみてよかった」などのうれしい反響をたくさんいただきました。

今まではB to Bという取引だけで、お客様の声は一切私たちには届いておらず、開発しても自己満足になってしまっていました。
それが「義助」で払拭されたんです。すごくよいタイミングで世に出せたかなと思います。

メディアで何度も取り上げていただきましたし、県内の方から「静岡県に唯一の手持ち花火屋さんがあるなんて知らなかったよ」っていうお声もたくさんいただいたので、「義助」からまず第一歩を踏み出せて本当に良かったです。

「結華」は、男性から女性に贈るシーンや、飾っても美しい花火、私が人に贈りたい花火などをイメージしてつくりました。
花火を飾るなんて今まではイメージがなかったと思うんですけど、初めての試みということもあって「インテリアにして、少しは置けるんだね」「デスクに飾って置いてみたよ」とSNS で取り上げられたり、「燃やしてみたら花が開いてるようで美しかったよ」という感想をいただいたりしました。これまでになかった、1本をじっくり楽しみながら価値を感じてもらえる花火を 2 つの商品でアピールできたかなと実感しています。

「義助」がグッドデザイン賞の金賞を受賞したことを聞いた打ち上げ花火屋さんから「井上さんたちのように、私たちもグッドデザイン賞に挑戦してみたよ」というお声もいただきました。
自分たちが地道に頑張ってきたこと、寺田さんや皆さんと一緒に取り組んできたことを、2020年に発信することができて良かったです。

寺田:
ご説明ありがとうございます。
コロナ禍での生活が長くなってしまって以前の状況が思い出せないですが、この事態が一体どのぐらい続いてどれぐらい広がって…というような得体も知れない時期の商品開発でしたので 、撮影などでとても気を遣いましたね。

商品ができあがるまで、この時期に皆さんは花火を楽しんでくださるんだろうかとか、今求められてる花火ってどんなものなんだろうと長さ・本数・色など検証を重ねて、侃々諤々でやっていただきましたね。

井上花火さんは国内最大手の手持ち花火製造会社ですが、打ち上げ花火や仕掛け花火も手掛けていらっしゃいます。
歴史もあるし腕もある、量も作れるという珍しい会社さんですよね。
手持ち花火の業界ではいかに長く燃焼するか、いくつ燃焼が変わるかといったところの記録を競うだとか、原色を使ったパッケージやビビットなフレーズでわかりやすいものが席巻していた中で、「義助」はミニマムな境地というか、ダンディーな風格を漂わせたパッケージです。
日本のクールビューティーを表していると、海外のバイヤーさんには評価していただいているとか。

室長は、シンプルなパッケージのものを作っていきたいと考えていらしたのですよね。

井上室長:
おっしゃる通りです。
どうしてもパッケージで差別化できないというのが、流通のうえでの悩みだったんですよ。
国産と表示しても他社製品と棚に並べられるとパッケージで負けてしまう。
いいものを作っている意味って何だろうと、ずっと考えてきました。
新商品の開発時に、それなら逆にシンプルして、今までとは違うパッケージでアピールしていきたいと思ったんです。
シンプルかつちょっと男らしさというか、「俺が作ったんだ」ということを表現したパッケージになっています。

寺田:
「義助」を手にする方は年齢を問わず、男性の経営者さんやお医者さん、デザイナーの方など粋なことをされている職業の方が多いんじゃないかなと感じています。
このダンディズムに共感して値段をあまり気にせず、よいものだと認識して評価しているお客様の存在は、室長をはじめ社長や職人さんなど社員さんたちを鼓舞したのではないでしょうか。

5.社内の反響

寺田:
2つの商品を発売してみて、社内の反響はいかがでしたか。

井上室長:
社内でお披露目した時に、1本700円という価格に対して女性の社員さんから「そんなに売れないんじゃない」と言われ、「それを売っていくんですよ」と説得しました。
それが今では、その人は「遠く離れた人にこの花火を贈りたい」と嬉しそうに言うのです。納得してくれたんだなと実感しました。
多くの社員さんが購入して「これ、うちが作ってる花火ですよ」と周りの人に贈っているようです。
そんな風に社員の皆さんが自信を持って言えるのは、これまでやってきて一番誇らしく、よい機会になったと思っています。

寺田:
2つの新商品で井上玩具煙火さんのプライドを形にできたことは、とても象徴的だったと思います。
花火業界をはじめ、問屋さんや小売店さんで話題になったり、消費者の声が井上花火さんに届いたり。
ひとつの壁を突破した印象を受けます。
室長が最初の第一歩を踏み出したことが大きいですよね。

振り返ると、室長とプロジェクトを進める中で、なかなか一筋縄にはいかない方だなと感じていました。(笑)
「これをやったら?」という提案をそのままに受け取らず「それはどうなんでしょうか?」と疑問を持たれることが多くて。
認識をすり合わせるのにとても勉強させていただきました。(笑)

室長は言葉にできていない想いや迷いがある方かなと思ったので、私から話して、受け取ったリアクションを言語化していくという方法でひとつずつ課題に取り組んでいきました。この方法はPRや広報の根源ではないかと、改めて勉強させていただきました。

いろんな場に行って話をしたり、売り場でコミュニケーションを取ったりしている時に、意識していることやヒントがあったら教えていただけますか。
「自社の商品をPRしていかないといけない」「今後伝えていかなければいけない」「商品開発していきたいんだけどどうすれば」という方にも参考になるかと思います。

6.当事者意識を持って、伝えることを諦めない

井上室長:
今までやってこなかったことに挑戦するのはすごく難しかったです。
これまでは黒子に徹していて、「井上玩具煙火の花火です」という言い方は一切してこなかったんですよ。
それを90年間ずっと続けてきたので名前を出してアピールしていくのはとても大変だったんですけど、曲げたくない想いはしっかりと持っているつもりでいました。

想いを言葉で伝えるのはあまり得意ではないのですが、それでも「井上慶彦」という人間を少しずつ知ってもらえるように努力していたんです。
皆さんの意見を聞くと「そういうことなんだ」「そういうことだったんだ」という気づきが多かったです。
それを自分で調べてみて、間違いないと実感しないといけないなと思っていました。
周りの意見と自分が思い描いていることがマッチしているのか、イメージをすることが大切ですね。

寺田:
当事者意識がないとゼロイチのプロジェクトは絶対にうまくいかないので、どうしたいのか、どういうものを作り上げたいのか、わかりやすい言葉で表現できなくても、伝えることは諦めないでほしいと思います。
しっかりコミュニケーションを取り続けたのは、商品が形になるための儀式みたいなものだったのかなと思っています。

7.商品から伝わる個性とメッセージ

寺田:
室長がこのプロジェクトに挑戦されたのは20代の後半でしたが、30代で経営者になるための経験を積んでいくという時期に、今まで手応えを感じた出来事をZ世代などの若い人たちに伝えていってほしいです。
今回、若い職人さんたちと新しいチームを作り、室長がハブ役になって社内だけではなく外のチームとも商品を創り上げていくという経験ができましたね。
私も、お互いの趣味嗜好や考え方、思考の癖やパターンも理解していたほうがプロジェクトを進めやすいなと勉強させていただきました。

室長にはいろんな趣味があるんですよね。プロレスとかファッションとか。
私の頭の中にはなかったことをたくさん教えていただいて。
「これだけは、寺田さんより俺の方が勝ってますから」というような世界を紹介してくれて、おもしろかったです。
商品づくりに興味関心のある領域を近づけていくと、アウトプットが磨かれていくのを実感しました。実は大事な要素なんですよね。
今の趣味はなんですか?

井上室長:
ヒップホップやアンダーグラウンド、総合格闘技が好きです。
私には家業がありましたが、ゼロから成り上がってる人たちってかっこいいなと思うんですよね。
格闘技を見ていると、ここまで来るのって大変だったんだろうなと思わされます。
一昨日も井上尚弥さんの試合を見て、日本を元気づけるために頑張っているなあと感じました。
格闘技って熱を持っていますよね。そういうところに惹かれるんだと思います。

寺田:
趣味に対する熱量や想いが直接商品に表現されなくても、共通項がある方には感じ取ってもらえるんですよね。そこはすごく大事なことかなと思っています。
室長の趣味には、新しい世界の扉を開かせてもらったような気持ちで、毎回検索して、なるほどと。にわかでいろいろと勉強しました。(笑)
根底には反骨精神や不屈の精神などがメッセージとして入っていてかっこいい領域ですし、そういうものが伝わる商品は生き生きとしてきます。
強烈な個性や想い、趣味嗜好などを室長が持っていたことに「これはよい商品ができるかもしれないな」と予感がありました。

サラリーマンのときはそういう自分を出すような場はなかったかもしれないんですけど、家業に戻ってきて自分のオリジナリティとは何か、差別化がつく商品って何だろうとすごく考えたのではないでしょうか。
そういう経験をする方が増えてくるといいなと思っています。

「義助」と「結華」や、バラエティ豊かな各種の手持ち花火は井上玩具煙火さんのオンラインショップでお買い求めいただけます。
他にはどんなところで購入できますか?

井上室長:
静岡県内だと静岡市の匠宿さん、島田市内のKADODE OOIGAWAさんに花火を卸しているので、ホームページを見て興味を持っていただけたらぜひお出かけください。

寺田:
井上玩具煙火さんは、商品に関する質問や発送について丁寧に対応してくださるので初めて購入する方でも安心です。
ホームページのお問い合わせフォームをご利用くださいね。
最後に、今後どのような夢を、でっかい花火を上げていきたいかを教えてください。

8.今後打ち上げていきたい夢(花火)

井上室長:
自分の中のSOULっていうか、ちょっとヒップホップみたいな感じになっちゃいますが。
花火って唯一火薬を楽しめる遊びなんです。
火薬って戦争で使われていますよね。人を殺すのが戦争。
当たり前ですけど。その当たり前がなければいいんですけど。
「火薬で人々を魅了し、火薬を見て綺麗だなって思わせるのが花火なんだ」って自分を奮い立たせ、「花火の魅力ってそういうところなんだ」と思いながら日々仕事に励んでいます。

世の中にはいろいろな悲しい出来事があるし、電化が進んで火を身近に感じられなくなってきていますよね。
火の美しさと怖さを身近に感じ、楽しみながら知るという文化がどんどん衰退してきていると思うんです。
それは自分たちや業界全体の責任でもあるんですが、唯一火薬を手に持って遊べるのが手持ち花火の魅力ということを若い世代にもっと知ってもらいたいです。
彼らに響くような花火を作っていきたいし、エンターテイメントの要素も加えていきたい。

気軽に花火を楽しめる世の中ではなくなってきてしまっているかもしれませんが、できる場所を増やすなど地道な活動を続けることで、日本の花火は守られていくんじゃないかなと思っています。
地道な活動になりそうですが、いろんな人に興味を持ってもらえるようなコンテンツを増やしていきたいです。

寺田:
ありがとうございます。胸に熱いSOULが響きました。
慣れないことを言ってしまいましたが。(笑)
花火や火薬に触れなくなってきている現代からこそ、その可能性や魅力を伝えていく責任がありますよね。
同時に美しい日本の花火は、未来への贈り物だと思います。
室長がどんどん挑戦されていく様子を、これからも応援していきたいと思っています。

今日は室長の話を聞かせていただきましたが、今度は同世代の同郷の方と3人でクロストークもできたらおもしろいかなと考えています。
そちらも楽しみにしていただければと思います。
今日は貴重で熱いお話をしていただきましてありがとうございました。






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