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#8「株式会社Otono 青木真咲さんをお迎えして」

こんにちは。
寺田望です。
それでは、始めていきます。

本日は、特別なゲストをお招きしております。
株式会社Otono 代表取締役の青木真咲さんに来ていただいております。
よろしくお願いします。


1. 青木真咲さんとの出会い


寺田:
青木さんがゲストに来てくれるなんて、なんだかとても嬉しいです。
私が最初にお会いしたのは、青木さんが日経新聞の記者さんで静岡の支局に来てくださっていた時です。

トップの経営者に鋭く切り込んだり、ローカルからも時事のいろいろな記事をバンバン書いてくださっていた時期でした。
取材の現場をご案内したり、弊社(ビズホープ)も運よく取材していただいたり。

そのような経験を積ませてもらっている中で、青木さんとも取材先から帰る車中をご一緒しながら、道中いろいろな起業のよもやま話を聞いていただいて。

そのようなことが影響したのか、していないのか?!分かりませんが、その後青木さんは日経新聞をお辞めになって、なんと静岡で起業されました!
元々ゆかりがあったわけではなく、仕事で赴任した静岡の地でいろいろなご縁があったということで。

現在は、起業して3年が過ぎ、4年目を迎える株式会社Otonoの代表取締役という肩書で、またこの音声メディアでご一緒できるなんて、素晴らしい!
出会いの交錯があって、また立場が違って成長した姿でお話できることをすごく楽しみにしていました。今日はよろしくお願いします。

青木さん:よろしくお願いします

寺田:
ではでは、わたしのほうからイントロをお話してしまいましたが、青木さんのほうからも、ぜひご自身のことですとか会社のことを、初めましての方も多いと思いますので、お話していただけますでしょうか。

2.株式会社Otonoについて


青木さん:
改めましてよろしくお願いします。
株式会社Otonoという会社をやっております、青木と言います。
当社が今やっていることは、音声、その中でも観光というシーンに目線を当てた音声のコンテンツの企画制作配信を行っています。

音声ガイドを作る会社というところでスタートしたのですが、今ご紹介いただいた通り、私自身が静岡という街に惚れ込みまして、この町におとなしく眠っている実はいいところ、たくさんある素晴らしいところを知ってもらいたいという想いがありました。

音声を作っているうちに、音声だけでは物足りなくなってきてしまい、2年前からは小売事業ですね、世界遺産三保の松原という場所を拠点にミュージアムショップの運営ですとか、ちょっとした体験ブログラムの提供をしています。

今年は本社を三保の松原に移転しまして、地域の人づくりや人の交流を生みだすような場づくりに取り組んでいる観光の会社です。
簡単に言うと会社としてはそんな感じですね。

寺田:
ありがとうございます。
ルーツは都内や関西ということで、静岡に来ての印象を今振り返ると、眠っているいいところがまだあることや「地元の評価」が思っているより低いことがもったいないとおっしゃっていましたが、今改めてみると静岡の魅力って、青木さんにはどう映りましたか?

3.静岡の魅力「豊かさとやさしさと温かさと」

青木さん:
そうですね。
もともと関西出身で、大阪と京都で生活して、そのあと東京で就職して。ある意味地方都市は初めてだったのですが、静岡に降り立った時の記憶は今でも忘れていなくて、すごくいい意味で驚きの連続でした。街がすごくきれいで。

いわゆる地方都市の駅前って、大手のショッピングモールがあって、車しか通っていなくて、商店街は全部閉まっていてみたいな。若者もいなくて活気がないというか。

そんなことをイメージして来たのですが、
たまたま私が赴任させてもらった静岡駅前は、石畳が続いていて昔ながらのお茶屋さんがあったり、おもちゃ屋さんがあったり、八百屋さんがあったり。

子ども連れの家族や地元の大学生とか、もちろんお年寄りも含めて、幸せそうに歩いている街の姿があって、すごく平和で豊かな街だな、という印象が強かったんです。

実際に記者をしながらいろいろなことを知っていく中で、いろいろな人とお話する中で、静岡という街全体にあふれている豊かさ、やさしさ、温かさみたいなものが奇跡のようだな、と日々驚きの連続でした。

こんなに押しつけがましくなく、普通に豊かで幸せな街って世界中探してもなかなかないんじゃないかな、っていうのが今も変わらない私の静岡に対しての印象ですね。

やはりもともと自然環境が豊かというか、立地、海もあって山もあって温暖で、っていうような自然環境の良さがルーツにはあると思うのですが、昔からの歴史があったり、独自の文化があったり、産業を生み出したり、文字通り豊かな街なんですよね。

だからこそあまりガツガツせずとも独自のストーリーがたくさん生まれている、たくさん持っている場所で、それを一つ一つ知ることによって魅力を一つ一つ発見していくというような、楽しい日々を送らせていただいておりました。

寺田:
ある意味強烈なファーストインプレッションが駆け抜けていたということですね。いろいろと都内で大企業さんを追いかけていた中で、ふと降り立った静岡という街の豊かさとやさしさと温かさに魅了されて、とおっしゃっていただいて。なんか歌になりそうですね(笑)

静岡県民はわりと地元が好きで地元を愛していて、住み続けている方が多いと聞きます。そうすると、そのような環境が当たり前になってしまうので、ことさら敢えてそれを外に言うまでもなく、となってしまいますね。

あと「競う・争う・奪い合う」とは別次元にいる県でもあると思います。
そこに惚れ込んで定住して、仕事まで作っちゃおうっていうことは、仕事でも静岡で役に立てる、力になれる分野を見いだせたことも起業したきっかけの一つだったりしましたか。

4.ゆかりのない「静岡の地」で起業したきっかけ


青木さん:
そうですね。本当に一番大きいのは私が静岡いいな、と思ったことなのですが、やはり先ほどおっしゃっていたように、地元の人はそんなに良く思っていなかったり、地方都市ならではの課題というものもたくさんあったりして。

いろんな方から「静岡なんて課題もたくさんあるし、東京・大阪の方がいいでしょ?」みたいな話が出てくる一方で、取材をさせていただくと寺田さん含め一人の力でコミュニティが生まれたり、動きが変わったり、目に見える形で一人とか一つの会社の存在で街が変わるみたいなシーンを拝見させていただいて。

東京だとなかなかあり得ないようなシーンにすごく感動して、課題のたくさんある地方都市であれば自分自身も少しは役に立てる部分があるのではないかと。

社会をよくする一つの一助になれたらいいなという想いと、自分自身がここで生活しただけで幸せ度合いが増すので、この街で自分で仕事をしない選択肢はないんじゃないかな、と落ち着いた感じです。

寺田:
来るべくして来てもらったというか、引き寄せられるような。
三保の松原に事務所を移転されたとおっしゃっていましたが、羽衣のように月に返ってしまわないように、地元の人が引き留めたい人材になってらっしゃるのかなと。

さっき青木さんがお話されていたみたいに、地方ではよそ者でも若者でも、誰か一人が一つ動くことでいろいろな意味で皆さんが影響し合って、波紋がどんどん広がっていくというか。それがいい連鎖であればつながっていくし、3年ほど岩にかじりつく想いでその場でやっていくと、ある程度みなさんも認めてくださいます。

最初の受け入れからのやさしさや温かさもそうですが、ある程度年数を経てくると老舗の方々も目を向けてくださって育もうとしてくださる企業風土もあるんじゃないかなと私は実感しました。

青木さんはどうですか?
起業生存率で3年生き残れるのは8%とも言われますが、まずそこの山を越えることが一つの目安だと青木さんにお伝えしたこともありました。

自分で会社を育む、1年目の創業期も無我夢中駆け抜けるという時期もあったと思うのですが、3年を経て青木さんなりの実感値、この3年はご自身にどんなインパクトを与えたと思いますか。

5.起業後3年を経て思うこと

青木さん:
そうですね。一つは静岡自体が普通にベースとして優しいので、外の人間や新しく始める人間を排除するようなことがありがたいことに一つもなかったな、と今も思っています。

記者時代にお世話になった方々に助けていただくシーンも多かったのですが、それプラスアルファで新しく関わるようになった方々に話してみると、意外と受け入れてくださったり快く支援の手を差し伸べてくださったりといったことが本当に多くて「動けば変わる」とはこういうことかと。

一方で自分が動かないと何も変わらない。創業して間もない頃は、そもそも自分の会社や自分のことを知っている人なんて本当にいないので、外部要因でどうのこうのというよりは、毎日自分の会社を続けさせるということが一番難しいと感じていました。

一方で毎日会社をおこした意味とか自分のやりたいこと、成し遂げたいことを日々積み重ねていった結果が3年というところにたどり着いた要因になったのかな、と。

もちろんコロナなどの外部要因はあったのですが、結局自分たちがその時何を考えて明日も会社を続けるのか、みたいなところの積み重ねなのかな、と思ったりします。

寺田:
青木さんがまず立ち上げて、それを応援してくださる方がいて、今はパートさんも含めてミュージアムショップも経営していらっしゃるので、いろいろな人と関わって何かチームを作っていて。

青木さんの会社は副業OKでパラレルキャリアな方もいらっしゃって、新しいスタートの走り方をしていたのかと思いますが、青木さんとして組織チームでこんな要素を大事にしたいとか、こんな要素が外せないと実感したことがありましたら是非教えていただけないでしょうか。

6.チームで大事にしていること

青木さん:
今、当社を作ってくれているパートの方たちが6人いて、あとは業務委託という形で東京に社員がいます。
社員以上の結びつきの中で、一緒に会社を作ってきてくれている方、役員ですが他の会社と兼任している方、あとは学生ですがずっと関わっているインターン生みたいな方たちがいて。普通の会社とはちょっと違うと思います。

私自身が社長らしい性格でもないというか、社長になりたいと思ったこともなくて。人前で何かを話して、人を従わせて、人に対してビジョンを示してついてこさせることといった「カリスマ性」のようなものは全くない人間です。

私のようにリーダーシップを元々持っていない普通の人間が、組織を運営することができるのかっていう実証実験みたいな感じでいつも取り組んでいる部分もあって、逆に関わってくださっている方にも、Otonoっていう箱を使って今まではできないと思っていた挑戦をしてほしかったり、自分を尊敬してほしかったりしています。

スタートのときはミュージアムショップのレジ打ちの仕事で採用したパートさんにも、結局それ以上のそれぞれのできる経験をたくさんしていただいています。人によってはExcelで業者さんに報告するフォーマットを作って送ったり、POPを作ったり商品開発をしたり。

それは私ができないことをやってもらっているだけなのですが、所詮パートだから意見を言うべき存在ではないということではなくて、ご自身の経験や視点を入れていくことで、会社が良くなったりお店が良くなったり、今の地域にプラスを増やすというような組織になるといいなと考えて取り組んでいます。

寺田:
いろいろな方がそれぞれの属性を活かしながらも挑戦できる舞台を作るということですね。本当に社長業って裏方というか。
みんなが自分の得意分野で踊ったり歌ったり演技したり、そういったパフォーマンスをにこにこ発揮できる場を作るために見えないところで必死に汗かく、泥をかくみたいな。


そういう業務を日々頑張っている、全ての経営者さん本当に尊敬します。
そんな中で、先ほど青木さんが人前に出て話すのはどちらかというと苦手とおっしゃっていましたが、プレゼンやピッチを素晴らしく淀みなく終わらせていくっていうイメージがあります。

今開発しているプロジェクトを伝えるために取材してもらう、もしくは伝えるためにメディアさんとのつながりを持つ、そういった広い意味での広報はなかなか外せない要素であると思いますが、青木さんが経営者側に立ち、事業を送り出し手になった時に広報の伝え方で何か意識しているものはありますか。

「こんな悪戦苦闘があった」「これから何か始めよう」「自分でも何か挑戦できたらいいな」「うちの会社ちょっと新しい方向に舵切っていこうかな」ということを「いざ自分の口で伝えなければならない」「その想いを電波にしなければならない」といったときに、メディアさんやお客様に伝えるにはどうしたらいいのでしょうか。

「自分から動かなければ何も変わらない」とさっき示唆してくださいましたが、そういうところをどんなふうに乗り越えていったのか、Tipsも含めて教えていただけたら嬉しいと思います(笑)


7.広報の伝え方で意識していること

青木さん:
Tipsは何もないかもしれません(笑)が、もともとメディアで記者をしていた立場から、熱が入る記事というのは、その人自身を「すごく応援したいな」とか、「この人すごく素敵だな」と思う経営者さんなどに合った時の企業の紹介だったり、そんな場所の紹介だったりということでした。

その方が語られるストーリーが、本当に自分自身が共感できたりなど、やはり感情で動く部分がすごく大きいなと思っていました。
もちろん戦略とか手法、マメにやり取りをする中で関係構築するのももちろん大事だと思うんですが、最終的には結局そのコンテンツ次第なのかなということはすごく感じてまして。

そのコンテンツというのは、会社のサービスの良し悪しというところはもちろんなのですが、やはりそれをどういう思いで開発して何をしたらいいのかということをその時その時に正直に伝え、メディアの方に取り上げていただいたりとかいろんな形で解釈していただいたりって言うことの結果のつなぎ合わせなのかな…

というふうにはある意味現実的だと感じてまして、もっと戦略的にやらなきゃいけないフェーズとかもあると思うんですけれども、まずは株式会社Otonoという人格を好きになってもらい応援してやろうと思っていただくことが一番大切な方法なのかなと感じています。

寺田:
ありがとうございます。
記者さんも人で、バックにメディア会社があるとしても目の前に対峙しているその人はその人の人生があって感情があって人間であって。一人の人として対峙でできるかって意外と難しいんですよね。

まずどうやって出会うかというのもありますが、その方の琴線に何かしらお邪魔させていただくっていうか、そういうところはやっぱりそのプロジェクトコンテンツに対する思いと、かけてきたことをいかに伝えるかっていうことがあるかなと思いますね。
私も音声メディアに挑戦し始めてまだまだよちよちなんですが、音声の可能性とか音の可能性を青木さんなりにどう思っているかお聞きしたいです。

観光や色々幅広いプログラム、ミュージアムショップとかもやりつつも、やっぱりOtonoって言う名前を会社に関している中で、耳から伝わる音声っていうものにはとりわけあの可能性を感じているんじゃないかなっていうふうに勝手に解釈しています。私も音声メディアいいなぁなんか追及したいなぁなんて思っていて。

青木さん自身がその音声メディアに携わりながら、新しくローンチしたサービスをすごく伝えたいっていう気持ちでもいらしたりすると思うので、今推しているサービスがありましたら教えていただきたいですし、音声メディアについてどんな可能性を感じているかを話しいただいていいですか。

8.音声メディアの可能性

青木さん:
そうですね。
いろんなきっかけはあったんですが、私自身は、やはり記者をやらせていただく中でその人たちから聞いたことでその会社やサービスのストーリーやその場所のストーリーを知ってすごく好きになり、こんなおもしろい街だったんだとか、印象が変わる事っていうのがたくさんありまして。

そういう中で聞いたり知ったりするとすごく変わるなっていうような現体験を、町という町と接する中でももっと増えればいいなというのがありました。

観光っていうシーンにおける音声に関しては、インスタとかが流行る中でどうしても視覚的に刺激の強いものに流され人が集まりがちではあるんですけれども、その場所に行って感じる印象とか空気間とかは一番リアルだったり一番の思い出になったりすると思うんですね。

そういう中で、目とか食感、触覚とかっていうところはあの最大限リアルを楽しんでいただきながら、でも知ると面白いその街のストーリーをその場所でちゃんと提供できると、その場所にいる体験価値っていうのは飛躍的に上がるんじゃないのかなっていうことを考えました。

それを実現できるようなサービスを地方都市全部広げていきたいなっていうことがもともとのきっかけです。

特に立て看板やパンフレットで何かこう文字が書いてあって説明が書いてあるということはもちろんあるんですけど、ずーっと文字を読み続けるって面倒くさかったり、文字が小さくて読みにくかったり、その場所に行ってそのものを見ながら聞くって言うところの一体感でもって体現価値が完成するみたいな部分はすごくあると思うんですよね。

世界遺産の三保の松原であれば、そこの羽衣の松の前で羽衣伝説のストーリーを聞くことで、自分自身のイマジネーションが広がります。三保の松原の駐車場でパンフレットを読んで羽衣の松を理解するのとはちょっと違う体験なのかなと思っていて。そういうところでの音声可能性を感じていますね。

もう一つは、人の声っていう部分に関しては、人柄とかその時の温度感や感情が最もリアルに伝わるのが音声なのかなと思っていまして。

動画だと目に見えるもののインパクトが強すぎてあまり最初の声色とかっていうところに気が行かなかったりします。例えば電話をしているとき、ああーこの人なんかほんと凹んでるんじゃないかって意外と伝わったりすると思うんですよね。

それと一緒で、音声だからこそ伝わる湿度感みたいなものっていうのはすごくリアルだなと思っています。

9.音声観光サービス“おともたび”について

青木さん:
そして、今を取り組んでいるのがその「地域の人」というところに地域の魅力があるよねっていう原体験から、地域の人の声をガイドにして楽しめる音声観光サービスみたいなものを今年の4月からリリースをしています。

「おともたび」という名前で売ってるんですが、地域の人がお供しながら歩いてくれているような、体験を楽しみながら街を周遊できるといったコンセプトです。

その場所その場所でその場所にまつわる地域の人のよもやま話や地域の人ならではの観光スポットとかグルメ、秘話みたいなものが楽しめる、そんな音声ガイドを作っています。

寺田:
「おともたび」っていい響きですね。
コロナじゃなくても持続するビジネスモデルだなというふうに思います。逆にそのコロナで失われてしまった雑踏の会話に何げなく入ったような、ファミレスで聞く話とか、電車の中の会話とか、なんかそういうのが今一様にマスクの中で閉じられてしまっているなか、耳に心地よく入ってくるそういうお話みたいなものに癒されるっていうのか。

音が中にふんわり入ってくるっていう体験ってなんかすごく知的好奇心をくすぐるのかなとも思いますし、地域に住んでいる人の生声が、実際のその人たちがその時の記憶を取っておいて、それがまた再現できますね。
音の玉手箱のように、その時取っておいて、またスマホで開くこともできる。

ペーパーレスの時代だから、資源とかゴミ問題とかに関しても、とてもエコでいいなぁと思います。今更にしてですが、ほんと音声って可能性がありますね。

どうしても視覚情報とかが一時的に入ってきますけどやはりどうしても情報過多ではあるのでとても疲れてしまう。情報の洪水の中で、柔らかくリアルに耳に入る言葉がかえってその人の琴線に触れるっていうのがあるかもしれないですよね。

おともたびではどんな人が話をしてるんですか?

青木さん:
リリースしているのは、三保半島の30~50スポットぐらいで地元の人たちが待ってまして、そこの場所に行くと、そんな人のお話が始まるよというものなのですが、色々な方がいます。

例えば、松の専門家的の方が、松がどうすごいかとか松をどうやって愛でれば良いかとちょっとマニアックに話したり、三保でマリンスポーツをされている方が、夕焼けの三保ってこんな風になってるんだよとか、ここから見る風景ってすごくいいから夕方をぜひ見てくださいね、といった話だったり、60年以上の方に住んでる方の老舗のグルメ情報を見たいな話だとか。

神の道という松並木のフォトジェニックな場所で結婚式とかあげたことのある人達の、当時の話とか。その場所に居合わせなくても、そこで結婚式挙げるんだよという話は「へぇーそうなんだ」みたいなところと、実際そこで挙げた人の話を一緒に体験できるような。バラエティー豊かなラインナップがあります。

寺田:
通な感じですね。
アナウンサーさんの耳心地の良いとても訓練された声もいいですけど、たどたどしくとも嘘がない言葉で話された地元の情報ってちょっとレア感もありますしね。

隠れた裏街道を行くような、正規ルートで得られる情報だけじゃないコソコソ話みたいな。移住してきた方に向けても、非接触型で伝言板みたいな形で使えるかもしれないですし。

ビジネスの面においてももしかしたらそういう商談のアプローチのほうが、山のようにDMを送りつけたりとか、マーケティングするよりも結構心にささったりするんじゃないかなーなんて音の可能性を聞きながらそんなふうに思ったりしています。

青木さんは音声メディアに自分が声として登場したことであったりするんですか。

青木さん:
今日が初めてかなと思います(笑)。

寺田:
すごい!じゃあこの音声は残しておきましょう!
いい声してらっしゃるから、隠れ音声担当としてエキストラ出演してもいいんじゃないかなと。バーチャル体験もでできますしね。実際に見ながらその風景とか劇団員さんが語るとかもやっていらしたかなぁなと思うのでそれも楽しいですしね。

こんなところでも使ってもらいたらいいな、など、将来的な部分でもいいのですが、何かOtonoのサービスで、こういうふうに広げたいなっていうのはあったりしますか?


10.今後のOtonoのサービス展開について

青木さん:
そうですね。やはり知的好奇心に対してアプローチのしやすいメディアだと思うので、聞けばおもしろいストーリーのある場所なら本当にどこでもマッチするのかなと思っています。

例えば城跡公園とかみたいな場所で、300年前にこういうことが起こったんだよ、みたいな話だとか、ガイドさんがついていれば話してもらえることがあるけれども、なかなかそれが叶わないような。歴史街道みたいなところとか。視覚とのマッチングという話で言うと、フラワーガーデンや動物園とかそういうような場所も。

今やっているのは、動物園で、飼育員さんの声を聞きながら巡れるようなものを第2弾として準備中ですが、その飼育員さんのウラ話のような話って実はなかなか聞けなかったりしますし、そういうようなところで展開が広がっていくといいなと思ったりしています。

寺田:
すごい面白いですね!
動物園とかってまだ文字の読めないお子さんもいますし、他言語の場合は優しい日本語で話してくれれば理解できる方もいたりすると思いますし、これから知的好奇心が広がっていったりすると思うので、とても可能性があるし、面白い展開が色々できそうですよね。

今後こんな風に歩んでいきたいな、とか未来に対して思うことについて聞いてみたいと思うんですけどいかがですか。


11.将来に対して思うこと

青木さん:
そうですね。
今まで振り返っても、いろんな縁とタイミングとその時の勢いとかで進んできた部分があるので、この年でこうするみたいな話を自分自身で立てるのが多分できないなと思うんですが、会社として三保の松原という場所を一つの拠点にすることですごく変わった部分があるので、そのまず1つめのこの三保地域を、静岡市内に住んでいてもずっと来てないっていう方もたくさんいらっしゃると思うので、地域の方も含めてこの場所すごくを好きになってもらい、また来たいと言って、関わっていただきたいような方が増えていくきっかけを提供できる会社を作りたいなというふうに思っています。

自分自身のキャリアみたいな話で言うと、起業するときってめちゃくちゃに頑張らなければいけないとかそういうイメージの中でこう自分も頑張ってきた時期もあるんですけど、やっぱりサラリーマンをしていても経営をしていても仕事というのは自分の人生の一部でもあるので、自分の構成するすべてでもって自分自身がその時に幸せだなぁと思えるような形で自分の中で納得感を持って一つ一つを進めていくっていうことを大切にしたいなと考えています。

静岡に住ませてもらっていること自体がすごく幸せなので、何かその幸福感をちゃんとこう自分自身がかみしめながら仕事と生活とをきちんと満喫しながらという仕事の仕方をしていきたいなというふうに思っていますね。

寺田:
幸福度が高い仕事を日々されているんだなという風に感じますね。
静岡での幸せに心惹かれて、気づいたら自分も静岡で幸せを見出すような仕事をしていたなんて、ちょっとポエムチックですけど、それって大事ですよね。

自分の中に幸せの根っこみたいなものがないと、なかなか色々なヤマ場に向き合うときに、その根底でどういう選択をしたら自分にとって納得感があるかとか、会社により良い方向に進むかって、全部正解がないから。

選んだ末がまたその正解っていう感じかなと思うんですけども、実際やってるビジネスモデルが面白いし可能性もあるし、かつなんか楽しそうで、それにみんなも惹かれていくのかなと。

音声はまだまだ発展途上、開発の余地ありのグループだと思いますし、私もちょっと音声かじってみてこれは面白いなと。
視覚情報に頼らないでいい楽さって言うんですかね発信者側も。

想像する、イマジネーションする余地を与えられることって幸せなんだろなぁって。全部を作り込んですべて埋め尽くすんじゃなくて足りないぐらいが丁度いっていうか。

そうすると勝手に想像したりイメージしたり妄想してくれるから、なんか余白っていうんですかね。Otonoは余白があるサービスなんだろうなっていうふうにも思ったりもするので、ほとんどいろんなエリアに広がっていったりつながりあってくれるといいかなって思います。青木さんが幸福度が高い仕事をされていて、すごい幸せなことだなって感じます。

ですので、今ここ、を私も一緒に応援していければなぁと思っています。
ラボには創業を考えている方や、法人立ち上げたという方もいますし、あとは何かしてみようかなという方もいます。

創業期のフレッシュなあの熱い魂を持った方々とお会いできるのもこのラボの魅力かなと思ってるのですが、そういう方々に、青木さんなりに、同じ走っている同志にお伝えできることがあれば、声のメッセージをお願いできればと思います。

今日の放送を永久保存版として残しておいて、そうすると青木さんが5年後とか何年後かに巡り合わせがあったときに、きっとそれも思い出の玉手箱になるのかなと。


12.青木さんからのメッセージ

青木さん:
楽しそうな仕事だと言っていただいて、本当にその通りで、すごくありがたいなって思っているんですが、創業して会社をやるっていうのは正解がないことを生み出すことの連続だと思っています。

自分がやるんだから自分が全部答えを探して決断していかなきゃいけないっていうことの連続っていうのはすごくつらいですし、先が見えない不安とか、正しいのかどうかわからないけど選ばないとどうしようもないみたいなことって本当に日々そういうことの連続だと思うんですが、まだたった3年なんですが、すごくモヤモヤとかしんどい思いしてでも一歩一歩進んできた結果、あとから振り返るとあの時にしっかり悩んで納得いく方向を選んで良かったなとか。

まあ逆ももちろんあって、やっぱりなんとなく選んでしまったとか何となく納得感がない中で選択をした時っていうのは、結構後になってからやっぱり違ったよね、というふうになるし、逆にその軌道修正ができることが本当にちっちゃい会社だったり自分が創業者であることのメリットだったりすると思うので、なんていうか一つ一つ悩むのってすごいしんどいですし、大変なんですけど、その一つ一つがすごくそれが正しいっていう風に自分自身にも今すごく言い聞かせてますし、せっかく創業っていうことをチョイスでした方であれば、その答えのわからない辛さみたいなものを楽しんで、1ミリでもいいから前に進んでいくっていうその過程を一緒に満喫できたらいいなっていうふうに思ってます。

寺田:
ありがとうございます。
プロセスを味わって醍醐味にできてそれがすべて糧になりますからね。
無駄なことは何もないと。

自分の行動・アクションは巡り巡ってくるっていう。
さっきも言葉にあった「しっかり悩む」とか「納得感を自分の中でも持つ」とか「自分のチョイスを信じる」「辛さも味わう」っていうか、それが創業のならではの醍醐味ではあるし。

いやーすごい噛み締めてますねー
ますますプロジェクトが楽しみですし、おともたびもしかり、青木さんがこれから出会うご縁がどんな風にいろんな人と繋いでいくんだろうなっていうのは、「音」ということをひとつ核にしながらも可能性を感じました。

ありがとうございます
ぜひまた機会があったら、折々お話を伺えたらと思います。

本日は株式会社Otonoの代表の青木さんにお話を聞きました。
ありがとうございました。



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