見出し画像

ツールに頼りすぎるのがダメな理由

最新ツールが出れば、ためして
いち早く取り入れて活用して…

ちょっとお疲れじゃないですか?

ツールはビジネスをする上で
助けになれど
頼りきってはダメなんですよ。


その理由をご紹介する前に
私の経験をお話しします。


iPhoneが出る、はるか前
Appleにスティーブ・ジョブズさんが戻ってきた頃

もう25年程前になるけれど
ニューヨークでテキスタイルデザイナーとして
毎日デザイン画を描いてました。

1日のノルマはだいたいA3の大きで5枚。

水彩絵の具で色を混ぜて指定の色を作り
流行のデザインを量産する毎日。

ある時、会社にMacが導入されて
幾何学模様のデザインをCGでやるようになりました。


美大で習ってたおかげでMac担当に・・・

仕上がりの速さは比較にならないほどで
とにかく感動したのを覚えています。

(プリンターの色調整は大変だったけどね)


幾何学って同じパターンの繰り返しだから
コンピューターの方が効率がいいんですよ。


ところが…


Macで作った美しく並んだ幾何学よりも
手描きのちょっと歪んだデザインの方が
売れたりするんです。


なぜだと思いますか?


その答えがここにあります。

『王様の仕立て屋〜サルト・フィニート〜』

王様の仕立て屋

大河原 遁 著
4巻 「order20 手縫いの価値」より
https://amzn.to/3kTKS7F

イタリア・ナポリが舞台。
主人公は名仕立て屋に認められた日本人の弟子、織部悠。

ミラノにある弟弟子が運営する服飾教室で
ミシンvs手縫いジャケットの挑戦を受けます。

服飾学校の生徒はミシン
主人公はナポリスタイルの手縫い。

学校側は裏で画策して主人公をこき下ろしますが
弟弟子はそんなことを知らず
手縫いジャケットの方を褒めるのです。

その理由は・・・

手縫いはプレタボルテやパターンオーダーより
ずっと高価で時間がかかるのに
世界中から求められているのはなぜかというと

ミシンは綺麗で丈夫だけど
布にガッチリ固定してしまっているのに対し

手縫いは縫い目が柔らかく
布が移動する遊びがあるので
数年着込んだときの着心地は歴然としているから。

トドメにこんなセリフを言うのです。

「ミシンはあくまでも
ハサミや針糸と同じ
職人の手足に過ぎん
職人がミシンの性能に頼り切りでは
ミシンの人工知能に
座を奪われてしまうぞ」


先出の私のデザインのお話に戻ると
デザイナーに頼むなら
手描きでゆがんだ線やムラのある色の方が
味わいがあっていい、ということなのよね。

Macで作ったデザインは速さを優先して
クリエイティビティを疎かにしてしまったんですね。


だからといって全部がダメなわけじゃない。

使いどころがあるってことなんです。

今もMacでデザインしているけれど
タブレットで手描きの揺らぎも取り入れることで
私だけしか描けないものを作っています。


あなたもPCのシステムやツールに頼って
オリジナリティや味わいを失っていませんか?

たまにはメールの代わりに直筆の手紙とか
SNSのメッセージの代わりに電話をかける

そんなことが相手の心を感動させたりします。


最新ツールの性能にワクワクすることもあるけれど
マニュアルの味わいも楽しみながら
お客さまへ対応してみませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?