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数字は平気でウソをつく!

問題に気づいたり、現状がどうなっているか知るために、数字の分析をする場面ってたくさんあると思います。

ロジカルシンキングやコンサルティングの場面では、ファクトベース思考と言って、数値データに基づいてロジカルに分析することで、論理的に問題点を導くことができると言われています。

しかし、現実はそう簡単には行きません。
数字は平気でウソをつくからです。

一つ、実際にあったお話をしましょう。

製造業の企業では、製品を納期どおりに届けることが必須になっています。

ちゃんと納期どおりに届けているかを測るモノサシとして、「納期遵守率」、つまり、全ての注文数のうち、納期どおりに届けることができたのはどれだけの数だったのかを数字データで計算する指標があります。

私がコンサルティングで伺ったある企業で分析をしたところ、納期遵守率が100%と出たのです。

素晴らしい!!

これほど良いことはないのですが、納期遵守率が100%の会社なんてまずありません。

お客様の中には「すぐに欲しい」と わがままを言うこともあるし、会社の中のアクシデントがあれば生産が遅れることもある。
超優良企業であっても99.9%のように100をちょっと切るぐらいの数値になるのが普通です。

では、なぜその会社は100%だったのでしょうか。

よくよく調べていくと、その会社はお客様と頻繁に納期を調整していたことが分かってきました。
にもかかわらず納期遵守率が100%なんて、やはり おかしい。

その会社、実は、最初に約束した納期が全然守れず、いつも納期を遅らせてもらっていて、データ上の納期をその遅らせた納期に書き換えていたのです。

つまり、製品を届けた日がデータ上の納期になっていたということ。

だから100%なんです。

しかも その企業ではその処理が当たり前だったので、ヒアリングしても「納期は守れていません」と言う人は誰一人いない。

納期遵守率に限らず、この話のようなことはよくあって、数字データだけ見てても問題に気付くことはできない、ということを示してくれます。

この企業のその後ですが、社長からは「我々にとっては当たり前で気づかないことだが、外部の視点で診てもらうと確かにおかしいと思うよね」と お話しされ、顧客満足に向けて改善活動を始めました。

問題に気付くためには「この数字データは何かがおかしい」と、数字データの結果を見抜くことも必要なんです。
俗っぽい言い方をすると経験とか勘というものですかね。

だから、日ごろからいろいろな数字データを見て隠れている秘密を解いてみる。

そんなことも楽しいかもしれませんよ。

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