見出し画像

病歴と身体所見と検査は何が一番大切か?

 このシリーズで一番最初に書いたのが↓でした。

 学生時代に読んだフィリップ・A・タマルティ著の「よき臨床医をめざして 全人的アプローチ」という本に,ハッとさせられる記述がありました。ジョンズ・ホプキンス大学でウィリアム・オスラーの流れをくみ、患者中心で、病歴や診察所見を非常に大切にされることがうかがいしれる著書です。その中に以下のような一節があります。

「病歴の方が身体所見よりも臨床的手掛かりの源泉として重要であるとか、身体所見の方が検査データやレントゲン所見より貴重な情報源であるといったことを論ずるのは馬鹿げている。ある特定の患者の訴えを理解するための鍵となる情報は、こういう手掛かり集めの術のいずれかによってはっきりさせられるはずである。臨床医はこういう手掛かり集めの術のすべてを同等に使いこなせるようでなければならない。それがいかなる方法で収集されたにしろ、臨床医にとって大切なことは事実であり、あらゆる手段によって事実を集めるべきであろう。」

よき臨床医をめざして―全人的アプローチ

 病歴を無視して検査を絨毯爆撃しても結局検査の解釈に困る,解釈のしようがなくなるので,検査だけで解決できることは多くはありません。ただ,患者に関する情報は病歴,診察,検査を問わずどれも重要です。優劣をつけるのはあまり意味がないのではないかなぁと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?