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【ものづくり】ダイカスト?ダイキャスト?

はじめに

金属の材料を溶かして、それを型といわれるものに流し込んで、冷やして、目的の形状に固めるのが鋳造という技術です。目的の形状にするための型にはさまざまな素材があります。砂でできた型を使うのは「砂型鋳造」、熱に強い耐熱鋼を使う「金型鋳造」、ロウを使う「ロストワックス鋳造」があります。「ダイカスト」あるいは「ダイキャスト」も鋳造方法の一つ。ローマ字で書くと「Die Casting」なので、「ダイカスト」「ダイキャスト」と表示されています。どちらも間違いではありません。

産業界では「ダイカスト」表記が多い

どちらでも間違いではないのですが、産業界では「ダイカスト」と呼ぶことが多いので、ここでは「ダイカスト(ダイキャスト)」と表記することにします。

さて、その「ダイカスト(ダイキャスト)」ですが、高温でも軟化しにくいだけでなく、圧力にも耐えられる靭性がある熱間工具鋼などで作られた金型に、加熱して、溶かして、液体状になったアルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金、銅合金などを素早く、そして高圧で流し込み、急速冷却をします。

このダイカスト(ダイキャスト)は寸法精度が高く、また鋳造された表面、鋳肌というのですが、滑らかという特徴があります。また、強度にも優れています。ですから、金型の精度が高ければ、かなり精度の高い製品を作ることができますし、鋳造した後の仕上げ工程の機械加工も少なくて済みます。

ダイカスト(ダイキャスト)で作られているものは?

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このダイカスト(ダイキャスト)で作られているものにはどんなものがあるのでしょうか。

自動車やオートバイの部品などはダイカスト(ダイキャスト)で作られています。とはいっても、普通には目にすることがない部品でしょう。例えばエンジンのシリンダーブロック、フライホイール、トランスミッションケース、コンバーターハウジング、それにロッカーアームなど。普通では聞かない部品ばかりのはずです。こういったエンジン周りの部品はアルミ合金のダイカスト(ダイキャスト)が利用されています。

また、ラジエーターグリルのカバー、ドアハンドルでは亜鉛合金、オイルパン、シートフレーム、ロッカーカバーなどはマグネシウム合金のダイカスト(ダイキャスト)で作られています。もちろん、今は素材技術が向上して、必ずしも、亜鉛合金が使われていないケースもあります。

ダイカスト(ダイキャスト)の金型

ダイカスト(ダイキャスト)を使って部品を作ると、高精度でなおかつ鋳造後の後処理も少なくて、良いことずくめのはず・・・なのですが、ちょっとだけ課題もあります。

ダイカスト(ダイキャスト)で利用される金型ですが、この金型にコストがかかるということです。熱間工具鋼を加工するためにはマシニングセンターや放電加工機という工作機械を使い、硬い金属の塊を切削します。金型の精度がダイカスト(ダイキャスト)製品の精度に直結するため、高い精度が要求されます。そのため、ダイキャストの金型のコストは通常の金型よりも高コストになります。しかし、これもその金型を使って生産するロットを増やせば、金型のコストは下がることになります。

子供の頃から身近なところにあったダイカスト(ダイキャスト)製品

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1970年に発売されて以来、今まで新しいモデルが発売され続けているミニカーのトミカ。トミカは亜鉛合金のダイキャストで作られています。子供の頃にトミカで遊んだ、トミカを集めたという人、いるのではないでしょうか。

ダイカスト(ダイキャスト)製品、意外と身近なところにあったのです。


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