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【ものづくり】過熱蒸気ってなに?どんな時に使われる?

はじめに

「焼く」っていうのに火を使わない、水を使って「焼く」っていうオーブンレンジ、聞いたことがありますよね。「水で焼く」技術が「過熱蒸気」です。

ヘルシオだけの「水で焼く」とは・・・(シャープ)

過熱蒸気は100度Cで水が気化し、蒸気になったものをさらに加熱した蒸気のことです。これを使って加熱したり、焼いたり、焙煎したりすることができます。この技術、水で焼くオーブンレンジだけでなく、滅菌、金属の表面改質、さらには廃棄物処理などでも利用されているんです。

過熱蒸気はどうやって作る?その特徴は?

過熱蒸気を発生させるには100度Cで水を沸騰させ、気体にします。これが飽和蒸気という状態です。ここからさらに加熱して100度Cを超えると、それが過熱蒸気という状態になります。

この過熱蒸気は空気を熱した場合と比較して、熱容量は6倍から13倍、伝熱性や乾燥力も高い、水の分子だけの低酸素状態などの特徴があります。

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過熱蒸気で何ができる?

過熱蒸気ができるのは「加熱」「洗浄」「乾燥」「表面改質」「リサイクル・廃棄物処理」「減菌」「溶解」「脱脂」「化学反応」など。

過熱蒸気が使われている一番身近な例は「水で焼く」オーブンレンジですね。家庭用で使われるくらいなので、大型の過熱蒸気発生システムを使い、焼いたり、蒸したり、乾燥させたりといった食品の熱加工処理に使われているのはわかりやすい例でしょう。

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しかし、産業界ではもっとさまざまな分野で利用されています。例えばアルミニウムを溶解させる際過熱蒸気は低酸素状態であることから、表面に酸化被膜を発生させません。その他、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をプレス加工する際には短い加工時間で均一に加熱処理することが可能であり、熱によるCFRPの変質を最小限に抑えることができます。

過熱蒸気はものづくりの効率化を図ることができる技術の一つといえるのではないでしょうか。

過熱蒸気は安全な廃棄物処理やリサイクルにも

過熱蒸気はものづくりだけでなく、廃棄物処理の現場でも利用されています。注射器などの廃棄物の減菌、減容処理です。高圧蒸気や特別なガスを使用しないため、安全に、しかも短時間で行うことができます。

また、樹脂成形で用いられる金型の表面にはゴム・樹脂が付着してしまいます。無酸素状態で高温のため、この清掃に過熱蒸気を利用すれば、樹脂の溶融や昇華によるスピーディーな洗浄が可能です。

一方、プリント基板の廃棄物処理、リサイクルに用いた場合、基板を過熱蒸気で熱処理することによって、樹脂部分を炭化し、さらには減容化させます。レアメタルなどの金属類を容易に取り出すことも可能になります。

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