Strainerのグロース施策を勝手に本気で考えてみた
業務委託を受けたつもりで勝手にプロダクト改善・戦略を提案する。
追記:有り難いことに採用していただいた!感謝!!
Strainerについて調べて書いているうちに、「こうしたらもっとサービスが伸びるのではないか?」という案が浮かんだ。
もちろんそんなこと誰にも頼まれていないし、実際に妥当な施策かどうかはわからない。サービスの実態はわからず、外から見ているだけなので見当外れに終わる可能性も高い。
だが、自分の頭の体操も兼ねて、たまには勝手に施策起案をしてみるのも悪くない、ということで書いていく。
魅力的なサービスであると同時に伸びしろも大きいと思うが、今回は以下の3つを検討してみたい。
【既存のKPI改善】記事ページの閲覧を増やしてCV増加
【資産活用】優秀なデータベースを活かして特定ターゲットの集客強化
【プラットフォーム拡大】音声メディア展開でユーザー層拡大
1つ目に、今の枠組みの中で主要KPIを伸ばし成果を伸ばす王道のグロースハックを検討する。
2つ目に、実は豊富で利用価値の高いデータベース情報をもっと活用して集客につなげる、資産の有効活用を検討する。
3つ目が、プラットフォーム拡大でサービスの裾野を広げる、新規寄りのチャレンジだ。
それでは1つずつ起案・解説していく
【KPI向上】メインの流入導線にコアコンテンツをあてる
会社DBのページでの記事への導線強化を実施する
「会社ページ」「まとめページ」などDBで生成されているページから記事への導線を強化する施策だ。
これにより来訪ユーザーの情報収集ニーズを深く満たし、Strainerの会員も増やすことができる。
例えばトヨタ自動車の会社概要ページを以下のようにする。
既存パーツを流用できるので、開発工数も少なく、手堅い効果が得られるのではないか。
メインの登録導線への誘導を太くするのがポイント
メインの登録ニーズ・導線は「記事を読みたい」→「閲覧用のメール登録 or 有料登録」だと推定している。
そうであれば、できるだけユーザーが興味を持つであろう記事ページの閲覧を増やし、CVにつなげることがポイントだろう。
記事閲覧ページを伸ばすには、以下の2つの方向性が考えられる
記事ページ自体の流入強化(SEO強化、外部提携・広告施策など)
サイト内からの誘導強化(既に閲覧されているページからの誘導強化)
SEO向上の余地もある印象だが、ここでは即効性と効果確度が高く見込める2について取り組む。
(本施策のSEOの寄与は小さいと思うが、皆無ではないかもしれない)
流入のかなりの比率がDB系ページである
順位チェックツールを使って、以下の2つの特徴を持つキーワード(「会社名」「会社名 決算」「会社名 業績」「会社名 情報」など)の順位を調べる。
サービスと相性が良く
検索回数も多い
すると、記事ページよりも
/company/
で始まる、会社×データベースのページ(以下、companyページ)の方が順位が高いことがわかる。
会社ページはタイトルに該当キーワードが含まれているのだから順位が高いのは当たり前という突っ込みはその通りかもしれない。
一方で、会社関連を調査している人のキーワードで検索ボリュームが大きいのはこれらのキーワードだ。
しかもデータベースは記事のない会社の情報も抑えている。
いずれにしても流入の大半をcompany系ページが占めているである確率は高い。
Similerwebで調べた際のメインの流入キーワードもランキング・業界のまとめページだった。
雰囲気の参考までに調べたKWで検索順位10位以内のものがどのページに対応しているのかのグラフもつけておく。
状況を正しく把握するには、キーワードボリュームや順位の精緻な掛け合わせが必要不可欠だが、ここでは手抜きをして雰囲気が掴めれば良しとする。
会社やまとめページから記事の存在は気づきづらい
現在のcompany系ページから記事にたどり着くには、画面の上のメニューを選択して「特集記事」を選ぶしかない。
だが、大半のユーザーはこの存在に気付かないか、気づいてもタップしないだろう。
スマホユーザーはサイトに来るとひとまず下にスクロールする傾向にある。
Strainerのcompany系ページはシンプルだ。
「ああ、わかりやすいグラフだな」「ああ、数字がしっかり載ってるな」とは思うが、以上である。
キャプチャの都合でPCサイトを記載するが、会社トップページや決算資料は以下のようになっており、恐らく見終わったユーザーはそのまま離脱するのではないか。
こんなに魅力的なサイトに来て、あともう少しで、これだけの記事に触れられるのに・・・勿体ない!
記事への導線は、ユーザーニーズを満たしKPIにも寄与する施策
Strainerに訪問するユーザーは、会社のことを知りたいユーザーだ。
SimilarWebを参考に他に閲覧しているサービスを見ると、会社を深く知るためのサイトが多い。
興味カテゴリも投資が中心だ。
これらのユーザーはただ会社の業績数字を眺めたいだけではないだろう。
むしろ、それを元に会社のことをより理解しようとしているはずだ。
であるならばStrainerの記事に触れないのは勿体ない!
ぜひとも紹介して、ニーズを更に満たし、かつ継続的に情報提供できるようにするのがユーザーのためになると確信する。
会社ページから記事導線を貼ることで、以下のKPIの向上が期待できる
CV関連の指標
記事ページの閲覧数
記事ページのボタンからのメールマガジン・有料会員登録数
ユーザーのサイト内行動指標
ページ遷移数
滞在時間
Googleへのクリックバック率の低下
ユーザーの行動指標はGoogleのSEOの評価指標でもある。
直接的なCVが増えるだけでなく、今後のSEO順位にも寄与してくれるだろう。
付随的にだが、評価されている会社ページから記事への導線を強めると、記事ページのSEOにもプラスなのでは、とも思う。(が、ここはあまり確信はない)
見込む工数や、リスクの割にリターンが期待できる施策だ。
勝手に強くお勧めしたい(笑)
【資産活用】データベースを元に就活生向け業界研究コンテンツを作る
今回、恥ずかしながら初めて知ったのが、Strainerのデータベースの充実度合いだ。
データベース活用はこのままでは多くの人に難しい
例えば、こちらの国内SaaS関連企業の時価総額ランキングのように、業界毎に様々な指標で概要を掴むことができる。
左側のメニューを見ればわかるように指標は非常に充実している。
しかもCSVにしてデータをDLすることもできる(有料会員限定)
うまく使えば、様々な分析を行い、沢山の示唆を得ることができる。
が、問題は、この「うまく使えば」だ。
Strainerの魅力は、「茶こし」によってフィルタリングされた情報を、直感的に把握できる点である。
しかし、このデータベース、色々出来すぎてしまい何をすればいいのか迷う。
目的が明確でそのための手法が見えている人にはいいが、大半のStrainerユーザーには使いこなしきれないのではないか?
目的に合った使い方を示せば利用ハードルを下げられる
コンテンツに工夫をして、編集を入れつつ、使い方を解説していけば、もっとユーザーフレンドリーなのではないか。
データは豊富にある、しかもわかりやすく情報を整理して伝えるノウハウはStrainerのお手のものだ。
これらを掛け合わせることで、
直感的に状況がわかる
更に調べたい場合に何をすればいいのかもわかる
という状態を作ってユーザーの利用度合いを上げられると良い
就活生の業界研究にStrainerはぴったり
そこで、Strainerのターゲットとの相性も踏まえ、「就活生向けの業界研究」が良いと考えた。
就活といえば業界研究がつきものだ。大半の就活生が就活の中で
業界研究向けには多くの書籍やWEBサイトが出ており、各種就職系のナビサイトも情報を提供している。
業界研究で調べる主要項目はなにか?
DODAキャンパスによると、調査項目は以下のようなものだ。
業界名や企業名
業界・企業の規模
仕事内容
業界・企業の特徴・魅力
業界・企業の現状と課題・将来性
業界の企業トップ10
関連した業種
社員の平均年収や平均年収
「仕事内容」あたりは、やや弱いが、他はStrainerのデータベースや記事にかなりの情報が載っている。
特に、先端の企業や海外の情報も掴んで、現状や将来を把握できるのはStrainerの強みでもある。
並の業界研究サイトには、海外の情報はそこまで載っていないだろう。
だが、グローバル化が進んだ現代であれば、むしろ国に関わりなく、最新の情報を習得しておくことこそ、有用な業界研究と言えるだろう。
就活生向けに、データベースとこれまでに蓄積した記事、そして編集力を生かした特集コンテンツ群を作成すれば、業界研究に有用なサイトになれる。
かつ、こう言うと失礼だが、今の各サイトの業界研究ページはさほど作り込まれていない。
Strainerの記事作成力と、DBがあれば、SEO上も追い抜いて、無料の集客もできるようになるだろう。
学生を確保すれば今後の利用が見込める
Strainerでは「学割プラン」を用意している。
通常のプレミアム会員の1/4近い安さで同様の情報を得ることができる。
これなら学生も入りやすい。
そして学生はその後社会人になり、通常料金のユーザーとなる。
もちろん離脱も発生するだろうが、残るユーザーはLTV(ライフタイムバリュー)の高いユーザーとなるだろう。
ユーザーが増える事によるStrainer側の負担増加は殆どない。
早期に接点を持てば、その人の人生のうちより長い期間サービスを使ってもらえる可能性が増えるだろう。
また、「社会人前」というタイミングも重要だ。こちらの資料によれば、54%のユーザーは社会人になってから新聞購読を始める。
新聞購読=ビジネス系の有料メディアの課金と考えれば、その手前のタイミングで接点を持つことで他メディアへの登録を防ぎやすくなる。
学生を獲得するということは、単に登録期間が長くなると言うだけでなく、メディアへの課金を始める前に青田買いをする囲い込み戦略としても有効だ。
就活生×業界研究コンテンツなら集客手法の幅も広げられる
就活生向けの業界研究コンテンツなら、今よりも集客の幅を増やせる。
就活ナビサイトと業務提携して送客を受ける
学生同士の紹介を促せる
などがその手法だ。
就活生は就活のタイミングで多くのナビサイトに登録する。
この登録のタイミングでStrainerの会員になってもらえるよう、ナビサイトと提携することで会員を増やすことができる。
就活サイトの側からしても就活生が有用な情報に触れて就活が成功しやすくなるのは喜ばしいことだろう。
リターンは一定計算できるので、1送客あたりいくら、というお金を支払ってもいいし、ナビサイト向けに特別割引をしても良い。
ナビサイトとしても元々集めている就活生に対して良いものを紹介して追加のアップセルが得られるなら好ましいだろう。ナビサイトからすれば、追加コストが無いので、Strainerに経済的なメリットのある良い座組で組める可能性も十分にある。
また、就活生同士は情報の交換が活発だ。
しかも、「VCが使っている有料のビジネスメディアで業界研究をしている」というのはちょっとカッコいい。
イケてる、しかも他の人にも有用なサービスを広げることへの抵抗は少ないだろう。
例えば、業界研究コンテンツはメルマガ購読をしていればある程度閲覧できる、という形にすれば紹介もしやすいだろう。
紹介をする側の学生にもメリットを作れば紹介は広がりやすい。
既にニュースレターシェアのリワードがあるが、これを更に学生向けにして作れば、積極的に広げてくれる学生はいると思う。
自前で学生を集客できるように慣ればその先のマネタイズも考えられる
Strainerとしてやるかどうかは別の話だが、先々のマネタイズ強化も考えられる。
Strainerに登録する学生は就活の上位層であろうと推定できる。
そして、彼ら彼女らは、新卒採用をしている企業、就活支援サービスからすると喉から手が出るほど欲しい人材だ。
外資就活ドットコムのようなハイレイヤーの就活生を求めているサービスに紹介送客できれば、高単価のリターンが得られるはずだ。
「最高の業界研究のサービス」としてブランド確立ができれば新しいマネタイズができることも就活生向けに展開する魅力と言える。
データベースと編集力を生かした、学生向けの業界研究コンテンツ、アリではないか。
【プラットフォーム拡大】自動読み上げでPodcastに参入する
最後は文字メディア→音声メディアにプラットフォームを拡大する案だ。
先日AmazonとSpotifyがイギリスのPodcast運営会社、「Audioboom」の買収を狙っているという記事があった。
Podcast市場は伸びている。
上のツイートでは、日本では検索数が減っている状況が見えるものの、周囲の肌感としては再度ポッドキャストは来ている。
また、海外で伸びているなら、再度日本も伸びるだろう、という気もする。
音声コンテンツのメリットは何か?
もちろん様々あるが、そのうちの1つは、移動や家事などの時間に「ながら聞き」できることだろう。
じゃあもし毎日朝のちょっとした時間に、その日に最もキャッチアップするべき情報を、タイムリーに、しかも短い時間で効率的に聞き流せたら・・・最高だ!
今は毎朝7時、Strainerのメールが送られてくる。
でも必ずしもメールだけでなくてもいいのではないか?
文字で読みたい人は文字で、聞きたい人は聞く、選択肢があってもいいはずだ。
Strainerには既にコンテンツがある。
しかも、サクっとわかるように、わかりやすいテキストにまとめられている。
あとは、音声化して配信するだけである。
そして最近は読み上げソフトの品質が非常に高くなっている。
こちらのサービス、商用利用のハイクオリティサービスだが、なんと2万円を切る価格だ。
(余談だが、個人的にはこのサービスは買いきりではなくサブスク化した方が良いと強く思う)
試してみるとわかるがクオリティは非常に高い。
そして使い勝手も非常に良い。
Strainer記事やメルマガを読み上げソフトで音声化する→配信する、これだけで十分なコンテンツになる。
個人的にPodcastはStrainerのサービス並びにユーザーと非常に相性が良いと思う。
しかも導入コストは低い。
Pocast経由でStrainerを知り、会員化してくれる人も出てくるだろう。
「未来をつくる人に」テキストだけでなく、音声でも貢献していく、個人的にもぜひやってほしいチャレンジだ。
まとめ
以上、長くなったが3つの企画を提案した。
実際には、見当外れになっているかもしれない。とっくに考えた上で、却下されている可能性も高い。
だが、個人的に見えている範囲からは十分に取り組む価値があるのではないか、と思う内容を記載した。
そして、やってみてわかったが、こうして勝手に考えることはとても楽しい。最高の自己満足である。また他のサービスでもやってみようかと思う。
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