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バーガーキングの成功戦略

はじめに

バーガーキングのユニークなマーケティング戦略が、多くの消費者の心をつかんでいます。この記事では、バーガーキングがどのようにして競争の激しいハンバーガー業界で成功を収めているのか、その秘訣を探ってみましょう。結論として、バーガーキングの成功は、斬新なアイディアと消費者との親近感を大切にする姿勢にあると感じています。

直火焼きの100%ビーフパティを使用した看板商品「ワッパー」がメイン

バーガーキングとは

1954年にフロリダ州マイアミでジェームス・マクラモアとデビッド・エドガートンによって設立された、世界的に有名なファストフードチェーンです。最初は「Insta-Burger King」としてスタートしましたが、翌年には現在の名前「バーガーキング」に変更されました。

初期の成功の一つに、独自の焼き方である「炎で焼く」という調理法があります。これは他のファストフードチェーンとの差別化要因となり、バーガーキングのシグネチャーとなりました。また、顧客が自分の好みに合わせてバーガーをカスタマイズできる「あなたの好きなように」(Have It Your Way)というコンセプトも導入し、大きな成功を収めました。

1970年代には、バーガーキングは国際展開を開始し、現在では世界100カ国以上で約18,000店舗を展開しています。しかし、成長の過程で多くの挑戦にも直面してきました。競合他社との激しい競争、所有権の変更、経営戦略の転換などがそれにあたります。特に、マクドナルドとの競争は長年にわたり続いており、バーガーキングにとって大きな課題となっています。

2000年代には、健康志向の高まりという新たな課題に直面し、メニューの多様化に取り組みました。サラダ、フルーツ、低脂肪のオプションなど、より健康的な選択肢を提供するようになりました。

2010年には、3G Capitalという投資会社によって買収され、その後もいくつかの経営改革が行われました。2014年には、カナダのコーヒーショップチェーンであるティム・ホートンズとの合併を発表し、「レストラン・ブランズ・インターナショナル」という新しい企業を設立しました。この合併は、バーガーキングとティム・ホートンズの世界的な成長を加速させることを目的としています。

バーガーキングの歴史は、革新と適応の歴史であり、ファストフード業界における重要なプレイヤーとしての地位を確立しています。

奇抜なマーケティング

バーガーキングは、競合他社に対してユニークなアプローチを取ることで注目を集めています。例えば、マクドナルドをさりげなくいじる看板やポスターを設置し、消費者がそれを発見してSNSで拡散するという手法です。これは、消費者にとって「発見」の喜びを提供し、自然な形でブランドを広める効果があります。

引用:https://getnews.jp/archives/3396518

SNSでのバズり

バーガーキングは、SNSを活用したキャンペーンでも成功を収めています。例えば、2023年1月にバーガーキング公式アカウントが投稿した「空き物件を紹介してくれたら10万円支払う」という内容のツイートは、大きな反響を呼びました。この投稿は1万1000回以上リポストされ、応募数は7万8000件を超えました。このようなキャンペーンは、低コストで高い広告効果を生み出すことができます。

引用:https://app.burgerking.co.jp/bkad/createyourstore/index.html
https://x.com/BURGERKINGJAPAN/status/1748355696763322540

ゲリラ戦術

バーガーキングは、ゲリラ戦術を駆使して話題を集めることにも長けています。例えば、2020年に東京・秋葉原で行ったポスターキャンペーンでは、マクドナルドが閉店するタイミングに合わせて「22年間たくさんのハッピーをありがとう」と感謝を示すようなポスターを掲げました。しかし、このポスターには隠れたメッセージ「私たちの勝チ」が縦読みで含まれており、SNSで話題となりました。

広告効果の最大化

バーガーキングの大胆なマーケティングは、広告効果を最大化しています。例えば、渋谷センター街店の向かいに設置した屋外広告では、マクドナルドの客席から見たときにのみ綺麗に見える仕掛けを作り、「正面から大勝負!」というメッセージを強調しました。このような工夫により、広告効果は3億円にも達しました。

消費者との対話

バーガーキングは、消費者との対話を大切にしています。例えば、下北沢店の開店準備中に消費者のSNS投稿をガラスに大きく印刷して張り出すことで、消費者とのつながりを強調しました。また、渋谷センター街店で行った「WIND BREAKER」とのコラボ企画も、消費者に楽しんでもらうことを第一に考えたものでした。

価格戦略

価格戦略でも、バーガーキングは競合他社を意識しています。マクドナルドが値上げを発表したタイミングに合わせて、バーガーキングは特別価格のキャンペーンを実施し、売上を大幅に伸ばしました。このような迅速な対応力も、バーガーキングの強みの一つです。

スマホアプリで割引されているバーガーキングのハンバーガーメニュー

まとめ

バーガーキングの成功は、「リアルの場」で行う斬新なマーケティング戦略と消費者との親近感を大切にする姿勢にあります。これらの戦略は、他の企業でも再現可能であり、特に低コストで高い広告効果を狙う企業にとって参考になるでしょう。

リアルの場で行う広告企画において成功した事例

リアルの場で行う広告企画において成功した事例は数多くありますが、その中でも特に印象的なものをいくつかご紹介します。

1. キットカットの「試験合格祈願」キャンペーン(日本)

キットカットは、日本固有の文化「試験合格祈願」を活用した広告キャンペーンを展開しました。キットカット(KitKat)と「勝つ」を意味する日本語「きっと勝つ」が響きが似ていることから、試験を控えた学生に向けてポジティブなメッセージを送りました。特別パッケージや郵便で送れる商品などが開発され、大きな話題となりました。

2. レッドブルの「空からの挑戦」(レッドブル・ストラトス)

レッドブルは「レッドブル・ストラトス」というプロジェクトを通じて、極限のスポーツイベントを実施しました。2012年にフェリックス・バウムガートナーが高度39キロメートルの成層圏から地球に向かってフリーフォール(自由落下)を行い、音速を超えるスカイダイビングを成功させました。この挑戦は世界中でライブ中継され、驚異的な注目を集め、レッドブルブランドの冒険と極限を求めるイメージを強化しました。

3. イケアの「アパートメント展示」(フランス)

イケアはフランスの地下鉄駅内に実際に住める小さなアパートメントを設置しました。このアパートメントには一般人が一週間生活し、イケアの家具や製品を使った生活がどのようなものかを体験し、その様子が実際に公開されました。この斬新なアプローチは、製品の実用性と魅力をリアルタイムで展示し、大きな注目を集めました。

これらの事例からわかるように、リアルな場で行う広告企画の成功には、消費者の関心を引きつけ、記憶に残るような独創的なアイデアが重要です。また、そのブランドや製品の特性に合わせ、ターゲットとなる消費者層に合わせた施策を打つことが成功の鍵となります。

引用:2024/05/24 日経MJ(流通新聞) 1ページ


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