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抹茶の未来を切り開く

抹茶は今、世界中で大きな注目を浴びています。特に欧米市場での人気が急上昇しており、その結果として日本国内の抹茶産業も活気づいています。この記事では、鹿児島県での新たな工場設立を中心に、抹茶輸出の現状と未来について詳しく見ていきます。

抹茶輸出の現状

2023年の日本の緑茶輸出額は291億円と過去最高を記録しました。そのうち約4分の3が抹茶を含む粉末状のもので、抹茶ラテや抹茶チョコレートといった製品が特に人気を博しています。東京都のカフェ「THE MATCHA TOKYO」では、訪日外国人客が連日列をなし、特に欧州や米国からの観光客が多く訪れています。

THE MATCHA TOKYO ONLINE STORE hp

鹿児島の取り組み

抹茶向け茶葉の主要産地である鹿児島県では、輸出拡大に向けた新たな動きが見られます。志布志市で抹茶用茶葉を栽培するなべやまは、輸出用茶葉の栽培を行っており、4月には新たな加工工場を稼働させました。この工場の設立により、輸出量の増加が期待されています。

有限会社なべやま hp


有限会社なべやまのポリシー
第三者機関の審査により認証されるGAP認証

成功のポイント

抹茶輸出の成功にはいくつかのポイントがあります。まず、輸出先の農薬規制基準に合わせた栽培が求められます。これは非常に難しい課題ですが、なべやまでは少ない農薬での栽培に取り組んでおり、これが成功の鍵となっています。また、地域の生産者との協力も重要です。なべやまでは周囲の生産者から茶葉供給の協力を得ており、地域全体での活性化を目指しています。

輸出先の農薬規制基準に合わせた栽培に対応するためには

以下のステップを踏むことが重要です。

  1. 情報収集: 輸出先国の農薬規制に関する最新の情報を収集します。これには、使用が許可されている農薬の種類、最大残留限界(MRL)、使用方法などが含まれます。情報源としては、輸出先国の政府機関のウェブサイトや国際的な農薬規制データベースを利用することができます。

  2. 農薬の選定: 収集した情報を基に、使用が許可されている農薬を選定します。輸出先国で認可されていない農薬を使用すると、輸出商品が拒否される原因になります。

  3. 栽培計画の見直し: 使用する農薬に基づいて、栽培計画を見直し、調整します。これには、農薬の適用時期や方法、使用量の調整が含まれます。

  4. 従業員の教育: 栽培に携わる従業員に対して、輸出先国の農薬規制に基づいた使用方法や安全管理について教育します。

  5. 記録の管理: 農薬の使用記録を正確に管理します。これは、輸出先国の規制当局に対して、農薬使用が規制基準に適合していることを証明するために必要です。

  6. 定期的な検査と分析: 収穫物に残留する農薬の量を定期的に検査し、規制基準を満たしているかを確認します。必要に応じて、第三者機関による検査を受けることも検討してください。

  7. 輸出前の確認: 輸出前には、再度、輸出先国の規制が更新されていないかを確認し、必要に応じて対応を調整します。

これらのステップを踏むことで、輸出先の農薬規制基準に合わせた栽培に効果的に対応することができます。また、規制が頻繁に変更されることがあるため、最新の情報に常に注意を払うことが重要です。

他社へのアドバイス

他の会社でも同様の成功を収めるためには、以下の点に注意すると良いでしょう。まず、輸出先の規制に厳密に対応すること。これには、農薬の使用量を抑える技術や知識が必要です。また、地域の生産者との強固な協力関係を築くことも重要です。これにより、安定した供給体制を確保できます。

抹茶の未来

抹茶の輸出は今後も拡大が期待されています。日本国内の人口減少に伴い、国内市場だけでは成長が見込めないため、海外市場への進出は不可欠です。特に、健康志向の高まりとともに、抹茶の健康効果が注目されており、需要がさらに高まることが予想されます。

世界で飲まれる抹茶

抹茶は世界中で飲まれており、アメリカ合衆国、ドイツ、台湾が輸出国として上位にいます。また、2021年には海外向けの抹茶製品の出荷量や売り上げが国内向けを初めて上回り、売り上げでは全体の53%を占めるようになりました。輸出先の内訳は、米国が6割、欧州が3割、東南アジアが1割を占めています。

抹茶が海外で人気を集めるようになったきっかけは、日本限定商品だった抹茶キットカットやスターバックスの抹茶ラテなどが海外で販売されるようになったことかもしれません。また、美容と健康効果にも注目されており、オーストラリアでは健康志向の人々によく飲まれています。

結論

抹茶の輸出拡大は、日本の茶産業にとって大きなチャンスです。鹿児島県の取り組みは、その成功の一例であり、他の地域や企業でも参考にできるポイントが多くあります。今後も抹茶の需要は増加する見込みであり、輸出に向けた取り組みがますます重要になるでしょう。

引用: 2024/05/20 日本経済新聞 朝刊 11ページ
サムネイル写真:キットカット抹茶味 ネスレ公式サイトより

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