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本記事を開いていただきありがとうございます。
東京都内で美容クリニックを経営しております酒井倫明(さかいみちあき)です。

前回に続き、「隆鼻術について」を執筆いたしました。

専門的な内容を含むお話になりますが、隆鼻術を検討されている方は是非ご参考にしてください。


①鼻の組織について

解剖学の基礎として、鼻の組織はどのように成り立っているかをご紹介いたします。

鼻は上から1/3程度が鼻骨という骨組織で、またその2/3は軟骨組織で外形が構成されています。骨でできている鼻根部は硬く固定されていますが、軟骨や皮膚、軟部組織で構成されている鼻尖部や鼻柱、あるいは鼻孔縁では、とても柔らかい手触りです。

鼻部の名称は下の図をご参考ください。
一般的には左の写真の部位を覚えてれば十分かと思われます。

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②私がこだわる隆鼻術の条件

前回もこだわりの条件を記述しましたが、改めて私が考案する隆鼻術におていては、以下の条件を満たすことが大切と考えています。

安全性が高いこと。
全ての施術において共通することですが、鼻に関しては美容形成で取り扱う中でも特に血管等が多い部位になっています。このため万難を排する体制であることが最優先にきます。

移植されたインプラント材料は簡単に除去できること。
隆鼻は将来の新しい素材が開発される可能性が高い領域だからです。日進月歩の医療の世界、美容医療も例外ではありません。進化した素材・医療機器ができた場合に問題なく置換できる状態にしておくことも重要です。

美しい形態を表現できること
鼻のお悩みはかなり根強く、患者様によってせっかく施術を受けたにも関わらず、何度もリメイクしてしまう方がいらっしゃいます。これは目のOPEにはみられない、鼻のOPE特有のものです。それだけ鼻における形態表現は難しいということですね。患者様としっかりとデザインのすりあわせをするのが重要です。

長期間美しさを保持すること
いわゆる持続性です。ちょっとした衝撃で鼻が曲がった、という場面をドラマや漫画でみたことはありませんか?デリケートな部位だからこを形状を長期間維持できるように意識を欠かさないようにしています。


③私が推奨するインプラント材料

先述した条件を追求すると、隆鼻のためのインプラント材料として最適なものは柔らかいシリコーンプロテーゼで、鼻尖部に膨らみがないものを選択すべきと私は考えています。鼻尖部の形成を希望する場合は、耳介軟骨と真皮移植で鼻尖形成をおこないます。けっしてシリコーンで鼻尖部を隆起させてはなりません。

そこで、私は柔らかいL型シリコーンプロテーゼの鼻尖部を薄く削り、ここに耳介軟骨と真皮を接着しコンポジット(複合体)を作成しています。これを、上は鼻骨骨膜下に、下は両側の大鼻翼軟骨の間に固定します。鼻筋は上下で固定していますので、変位することはありません。2箇所で固定しているため、プロテーゼがすり落ちることもありません。また、鼻尖部は直組織で作れているため、皮膚が菲薄化したり、組織が破綻することもまずありえないと考えています。

手術では、患者様に移植するコンポジットは体外で作成されるため、手術中の患者様の不快感は極めて少ないことも特徴です。コンポジットを作成することは、とても芸術的で職人技ではありますが、これさえ終われば手術は比較的簡単で短時間で終了します。

しかも、新しい優れた材料が発明されたとしても、簡単に交換ができるので、将来性にも問題は少ないと見積もっています。

(注:肋軟骨は石灰化や変形の可能性、また、移植後に著しい硬さが残ることから適材にはなりにくいのですが、シリコーンプロテーゼが使用できない条件では、移植の対象にはなるかもしれません。)


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上記が実際使用しているインプラントです。推奨される条件全てが該当していますね。


その③に続きます。



酒井倫明(さかいみちあき)







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