今はもうない沢 #旅する日本語 #大童
飛行機で1時間、車で2時間、見渡す田んぼと点在する民家。
夏休みは祖父の家に行くのが定番だった。
ゲームはないが、祖父は山を持っていた。
祖父は沢蟹を取ろうと言う。
車で1時間、祖父の山に到着。
しばらく歩くと沢だ。
僕は沢に手を突っ込む。ヒヤリとした水の感触。
僕は沢に入る。魚を追いかけたり、苔に足を取られたりと大童だった。
祖父は、手のひらほどの石をひっくり返す。小さなカニがいた。
祖父が掴んでバケツに入れる。それを見て、僕も一緒にカニをとった。
その日の夕飯は沢蟹の唐揚げ。
自分で採ったものだと思うとすごくおいしかった。
今はもう祖父はいない。
中学生になってからは部活に夢中で山に入ることがなくなり、祖父が亡くなってから山は手放され、どこにある山かはわからなくなってしまった。
夏になると、今もたまに祖父のことを思い出す。
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