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父のクセが強かった。~知らん女がおった話~

うちの父は【クセが強い】。
最後の最後までクセの塊だった。

ちょいちょい父の話はしてきてはいたけど、深堀り?しては無かったので想像がつきにくかったのでは無いかと思う。
そこで
私が飽き飽きするまで親父のことを書こうとおもう。

多分本人もネタにされるのは嫌いじゃない。そういう性格だったと思う。そんな遺伝子が私にもあるもの。←

さて。物好きなそこのあなたにお届けしますね(笑)

【知らん女がおった話】

私が17歳ぐらいの頃の話。
テレビではアッシーやらメッシーやら貢ぎくんやらと魔性のりな?とかを放送されていた時代。
都会や世の中にはすごい人がおるんだわなぁと思っていた。
たしか、キャバ嬢やホストブームもだいたいこの頃。
なりたい職業でもランクインしていたような気がする。

それに感化されて田舎でも学生なのにみんなブランドバックを通学バックで使うのが流行っていた。VUITTONのボストンやリュックなど。それにポーチや財布もVUITTON。GUCCI、COACHなどなど。彼氏なのかそれこそ貢ぎくんなのか知らんけど持つことがいい女のステータス的に。

今考えるとなんと恐ろしい世界なのか…怖いぜ平成(笑)

そんな中でもわたくしもVUITTONのバックが欲しい人ではありました。しかし、めちゃ可愛いギャルでもないしキャバ嬢でも無いし買ってもらうことやそういう思考が皆無だったのでバイトを一生懸命してコツコツVUITTONのバック貯金をしておりました。

なんだかんだでバタバタした人生を過ごしてきたのでご褒美にとその貯金をもってVUITTONにいったこと今でも覚えてます。

自分の出来る限りのオシャレをして百貨店に行き、店員さんが相手をしてくれなくてなんだか不安になりながら、やっとずっと欲しかった小さなボストンバッグをひとつ買ったのです。

包装されたバックを貰った時の嬉しさや喜びはきっと生涯忘れることがないと思います。
 
 VUITTONと書かれた包装紙バックも大切に持ちクシャクシャにならないようにバスに乗って家に帰りました。

帰りのバスで窓に移る自分の顔が少しいい女に見えた気がしました。

家に帰り、部屋を綺麗にして棚の上に祭壇をつくりました。

VUITTON置き場です。
ここに頑張った印でVUITTONを飾っていくことにしました。

袋もリボンも包装紙も。
そしてそっと開けて 匂いを嗅いだ念願のボストンバッグも。
持つのがまだ恐れ多くて。いつ使おうとワクワクしました。

とりあえず1週間は祭壇に置こう。

朝起きるとVUITTONの祭壇かたまらなく嬉しい。
バイトから帰ってくるとVUITTONの祭壇が嬉しい。
まったくブランドに興味のない姉にも自慢して
帰ってきた父にも自慢して

5日間ルンルンで過ごしたのでした。

ある日です。
それは土曜のお昼頃。
昼のバイトがおわり、夜まで時間があるので1度帰宅をしました。玄関を開けると知らない人のヒールとカタコトの日本語で喋っている声が聞こえました。

は?と思い、リビングを開けると

『アレ?オネーサーン?コンニチワー!』とアジア系なのか、どこの国か分からんけど缶ビールを飲んだ陽気な化粧と香水の濃いおばさんが挨拶をしてくれた。

は?

父は『おー帰ってきたんか!!早かったなー!どや?ワシに似して目だけは大きいんや』と陽気に酒を煽りながらその人に言っていた。

女は『ホントネー!シャチョー ノ ヨウニ カワイイネー!』
そう言って
立ち上がり、親父の禿げたベトベトな頭を撫で抱きしめていた。

 こちらはラーメン屋のバイト後で脂の香りを漂わせていたがふたりが醸し出す香りよりは幾分よかった。

私は『いや誰なんこの人!知らん人家に居れるなま!』と怒った。

父はカチンとした目をして『ここは俺の家や!いやなら出ていってもいいんやぞ!』と言い放ち、『ごめんなー!反抗期なんやって。気にするんなや』と腰に手を回していた。

女も『ダイジョーブ!オトナ ノ ショウコ!オンナノコ ハ ミンナ ナルノ!セイリ ナノ カモネ!』

その異様な光景に 怒りと悲しみ?苦しさ気持ち悪さを感じ
バンっとリビングの扉を閉めて2階の部屋に向かった。

2人の笑い声が響いた。

帰ってこなければよかった。
 よし今日はVUITTONを持って先輩の家でお泊まりしよう!!
そう決めて部屋の扉を開けると


 祭壇のVUITTONがないのだ。

 祭壇にVUITTONがない。

あるのはクシャッとされた包装紙だけ。

包装紙バッグもBOXもボストンもリボンもない。

いつも寝る前と起きたら私を勇気づけてくれた初めてのブランド VUITTONのボストンバッグがないのだ。

机の下やベットしたをみてもない。

どこにも無いのだ。

すーーーーっと血の気が引くのがわかる。
全身が心臓のようにドクンドクンと身体を震わす。

ドクンドクン。

今朝のことから順に思い出す。

姉は昨日から友達の家でお泊まりしているから帰ってきてない…

私は朝七時半にバイトに向かった…その時も祭壇を見ながらメイクした…

窓はしまっている。


!!!!!!!


ひとつのことに気がつく。
親父のヌルヌルのハゲ頭を撫で回していたワケの分からん女の手首にブレスレットのようになにか巻かれていたことを!

わたしは2階の部屋の引き戸をスパーンと開け放ち、転がるように階段を駆け下りて勢い止めず、リビングの扉を開けた!

ふたりは隣同士にすわり イチャイチャしながら アタリメをしゃぶっていた。

2人と目が合う。

じっと見つめ合う。

するとその女の手首に VUITTONのリボンが巻かれていた。


まさかまさか。とわなわな震えて

『それって…わたしの…』と指を指すと

その女が『VUITTON』といい
手首を見せるようにガッツポーズした。

めちゃくちゃいい発音だった。下唇を甘噛みしていう

VUITTON

いやいや

そんなことはどうでもいい。

そして対面の椅子にはVUITTONの包装紙バッグが置かれていた。

『それって…』と恐る恐る指をゆっくりそれに指すと。

『シャチョーサン カラ モラッタヨ!』そう言って女が立ち上がり紙バックの中からガボリと見覚えのあるボストンバッグを取り出した。


 うそやろ?それわたしのやろ?

思考が真っ白になる。

全身にドクドクと心臓音が響く。

『カワイイデショー!シャチョーヤサシイネー!イイオトウサン!ヤサシク シテ タイセツニ シテ アゲナイト 』

そのバックに腕を通してルンルンしていた。

私ですらまだ腕まで通していないのに。
指5本しかその取っ手に触れてないのに。

しかし非現実すぎて それが私のなのかどうなのか理解出来てなくて

大混乱。

エラーである。


私は父に『…え?これだれの?』

と聞いた。


すると父は  『リサの。』と言った。

あーこのおばさんリサって名前なんや。

ってそこじゃない。

私は『いやこれ、わたしのやろ?』
父『リサのや』
くちゃくちゃとアタリメをぼおばる


私の血液が急激に熱くなったのがわかった。

私『私の部屋にあった私のVUITTONやん!!!!なんしとん!?勝手に!!!!ふざけるな!!返せ!!』

とリサの手からVUITTONを取ろうとした。

リサ『ヤダヤダ!コレハシャチョーサンガクレタ!ワタシノ!』

返せま!
イヤヨ!
返せっ!!!!
りさが、

イヤ!!!くぁw背drftgyふじこlp;@:「」! ←多分英語?

と半狂乱になって私を足で蹴飛ばそうとした。

私も蹴り返そうした。

それでも私の手にかかるカバンは離すまいと引っ張った。

すると隣に座っていた父が立ち上がり

『いい加減にしろ!!!』と私とリサの間に入って

私の方を向き フルスイングでビンタしてくれた←


何が起こったか分からずチカチカピヨピヨした視界と叩かれたことの衝撃で へ?となった。

父の顔を見上げると フーンフーン!と息荒く、
『学生の分際で何を考えてるんだ!今すぐ出てけ!!!』

と私に向かって言い放つのだ。

 リサは親父の後ろにピタリとくっついて コワカッタヨ イタカッタヨと言っていた。

なんなんやこの茶番…
なんなんやこの景色…

わたしは呆然と立ち上がり

『それわたしの。返して』とたんたんと手を差し出していった。

 父に差し出した手をスパーンと払われて
『お前みたいなのが持つもんじゃない!これは俺の金で買ったもんや!嫌なら出てけ!一人で生きてみろ!』

そう言って視線をリサに戻し大丈夫か?と心配していた。


わたしはそっとリビングから出て 玄関へ

外へいき自転車にまたがった。

ひと漕ぎ
ふた漕ぎすると

風がひんやりして 頬がピリッとした。

無心で自転車にのりバイト先へ向かった。

無心でバイトをした。
バイト先の店長に なんか頬赤ないか?と言われたけど
ハハ?ソウデスカ?と応えた。

今優しくされたりするとせき止めたなにか溢れる気がして。

もしかしたら帰ったらVUITTONが置いてあるかもしれないと。

親父がお前うるさいからこんなもんいらんと言ってあるかもしれん。

そう少しでもプラスに考えていた。

家に帰った。
リビングには何も無かったし親父もリサもいなかった。

部屋も祭壇に包装紙だけが残っていた。

わたしは布団にまるまって全てが走馬灯のように思い出して泣きに泣いた。

………………

ちょっと胸糞悪い話だったかもしれませんね(笑)
母がなくなってそれから父が脳梗塞で倒れて前頭葉がダメになって、欲だったり感情が我慢できなくなったんです。
でもパッと見はいたって普通で話せるし悪知恵も働く。なんともサイテーな脳梗塞だったんです。
それで飲み屋の女の人を家に入れてた話なんです。

親父の話でほっこりした話はほとんどありませんね。笑

なので飽き飽きするまで書くかなぁ~です。

なんとなくオチはあるんです笑
この話

お店にも通い リサさんを口説いてた父。
それは長く続くことなく…

数ヶ月たったある日

メソメソ泣いてる父がいました。

正直⚫ねばいいと思ってたんですがメソメソ泣いている姿を見ると声をかけずにはいられず…

は?なに?どーした?と聞くと

ワンワン泣いて

リサ結婚したーー!!俺じゃないやつと結婚したー!!!
なんでもしてやったんにーー!!!負けたーー!!と泣いていました。笑

はーぁ。
なんなんやこいつぁーと思ったけど、ワンワン泣いてメソメソ酒飲んでさ。

なんだろうな許せないし憎んでるしまじで嫌いなんだけど…これがうちの親父。

血は水より濃いなぁ…なんて思いながら ヘグヘグ背中を揺らす親父を見下ろしていました。

 ちなみにわたしのVUITTONは?と聞いたんですが覚えてませんでした。

そんなそんな親父も、可愛いところもあったんです。
それはまた今度。笑









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