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【前編】堅田の地で200余年、ストーリーを大切に日本酒を仕込む ~浪乃音酒造~

びわ湖花街道オリジナルの日本酒『湖の花』をつくって頂いている、大津市本堅田にある創業200年を超える老舗・浪乃音酒造さん
小さな酒蔵だからこそできる小仕込みの丁寧なお酒づくりで、地元のみならず全国にファンを持っていらっしゃいます。

今回は『湖の花』の2020年秋版開発に合わせ、十代目蔵元である社長の中井孝さんを当館へお招きし、秋の会席料理を召し上がって頂きながら、お酒とのマッチングをしてくださいました!
料理と日本酒の関係性から酒蔵のことまで、幅広くお話も伺いましたので、前編と後編の2回に分けてお届けします。

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↓↓↓開発中の酒蔵訪問の様子はコチラ↓↓↓


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それでは前編、どうぞご覧ください!!


和食を供する『旅館』との関係性

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中井さんは日本酒と料理の関係性についてこう話します。
「あくまで主役は料理。料理が日本酒を美味しくするわけではなくて、日本酒が料理を美味しくする。それが日本酒の役目。」
「そのためには、日本酒は『脇役』ではダメで『準主役』くらいの位置にあるべきです。」

中井さんの蔵では、仕込む段階でどんな料理に合うかを想定してお酒を仕込むということはないそうです。
むしろ、できたお酒がどういう料理に合うかをマッチングしていくのが楽しいと、今回の来館もとても楽しみにしてくださっていました。
また中井さんは「『料理を食べて、それぞれに合うお酒をその都度出す』というやり方も面白いだろう」と話していらっしゃいますので、そういう意味合いでも旅館という業種との取り組みは、より効果を発揮するはずですね。
親和性は高いと感じています!
料理と日本酒を存分に愉しんで頂けるよう、どんどんと皆さんにおすすめしていきたいと思います(^^)/

ちなみに中井さんは鱧や鰻などの長いものが好きだそう。
浪乃音酒造直営・6月~9月のみの季節限定の料亭『余花朗』のメインで鰻をお出しになっているのも納得。(残念ながら、2020年度はコロナウイルスの影響でやむなくお休みをされています。。)

「本当はフレンチをしたかったんやけどね」という、意外な答えも返ってきましたが、開業からもう17年になる名店です。
なかなか予約は取れないかもしれませんが、機会があれば皆さん一度は訪れてみて頂きたいです。


秋の味覚にマッチする『湖の花』

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今回の『湖の花(2020秋)-銀杏-』の特徴は、料理に負けないしっかりした味になっていること。
秋の味覚に合うことを前提として選んだお酒です。
ともすれば、あまり香ると邪魔になるということもありますが、今回のお酒は決してそうではなく、料理に絶妙にマッチし引き立てるようなものに仕上がったといいます。

そしてもう一つ重要なのは、今回使っている酒米が滋賀県産の『渡船6号』であること。
100年以上前からあった米を約50年ぶりに復活させた復活米で、幻の米とも呼ぶべき品種の本当に貴重なお酒!
米自体には割れも多いものの、お酒にするととてもおいしく、溶けやすいこともあって、ふくらみのある美味しいお酒に仕上がるようです。
中井さんが「決して作りやすい米ではない」と言うように、浪乃音酒造では『渡船6号』のタンクは40本のうちたった2本
「『渡船』の安定生産ができるようになれば…」と中井さんは切に願っておられました。

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9月の会席料理で”是非これと一緒に飲んでほしい!”というとすれば、焼き物の「奉書包み焼き」
「奉書包み焼きの鰆はよく合いますよ」と、中井さんのお墨付きです!
そしてまた、付けダレの「ゆずみそ」が抜群に良いとのこと。
仕事柄よく飲むというわけでもなく、意外にもあまりお酒は強くないという中井さんですが、『料理と合う=香りが引き立つ』ということをポイントに考えておられ、このゆずみそや鰆と今回のお酒はそれが抜群に良いのだといいます。

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また、肉料理やごまだれも相性バッチリとのこと。
ゆずみそ・ごまだれについては「売ったらいいのに!」仰るくらいにお気に召して頂いたようです(*^-^*)


湖族の末裔である中井家

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浪乃音酒造は現当主の中井孝社長で十代目、創業は1805年という200年以上もの歴史をもっています。
屋号の浪乃音は比叡山の高僧が名付けたもので、創業した当時から変わっていません。

「元々うちは湖族で、私のその末裔なんです。」
湖族とは、海賊の湖版のようなものといわれ、『堅田衆』という名前でよく知られています。
その堅田衆は水軍のような軍事力を備えていたり、琵琶湖の漁業権を持っていたりと、長きに渡って湖上交通の要衝でもあるこの地を治めていました。
閉鎖的な面もありますが、権力を持った自主国として各時代の為政者からも認められており、堅田のまちは歴史の息づく土地と言えます。

中井家でも網元のような役割をされていたために農民からの年貢が上がってきており、そのお米を使ってお酒を造っていたのが創業以前の酒づくりだそうです。
”堅田の地で長年愛されてきた酒蔵”なのだろうと思いました!(^^)/


3兄弟のお酒づくり

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中井さんが酒蔵を継いで約20年。
浪乃音酒造は、3兄弟を中心としてお酒づくりに励んでいらっしゃいます。

「単に兄弟でというのはあると思うが、『3兄弟』となると珍しいはず」。役割としては長男の孝(たかし)さんが「釜屋」兼営業、次男の均(ひとし)さんは「杜氏」、三男の快(やすし)さんが「麹屋」を担当されています。
3人ゆえの苦労を伺いましたが、そんなことはほとんどないそうで、むしろ安心感など3人いるからこそのメリットばかりだと仰います。
それぞれの担当はありますが、それ以外の役割もできるように修行されていらっしゃるため、「弟に任せたりすることもできるからありがたい」と話していらっしゃいました。

お酒づくりをしている時期は、朝4:30には起きて仮眠を取りながら一日中世話をするといいます。
素人からすればとても大変そうに感じてしまいますが、中井さんに言わせると「習慣になれば大丈夫」。

逆に最も嬉しいことは、なんといっても「お酒が搾れたとき」
もろみの段階で味見をしても実際にどんな味に仕上がるかは搾れるまで分からず、想像通りの場合もあれば、それ以上の味わいのものができることもあるそうです。
出来上がるまで分からない、予定通りにできるほど簡単ではないというのも、日本酒の魅力のひとつかもしれないですね。


能登杜氏の流れをくむ『蔵元杜氏』

家業を継ぐという意識について「蔵元としてはなんとなくあったが、まさか酒をつくる側になるとは思ってもいなかった」と中井さんは話します。
初めは使命感から入ったそうですが、取り組むうちにおもしろさにも気づくこととなり、今の『蔵元杜氏』浪乃音酒造があります。
過去、九代に渡っては杜氏を招くことでお酒をつくっていたようですが、十代目にして初めて、蔵元自らがつくることとなりました。

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ご兄弟3人が酒造技術を学んだのは、能登杜氏であった金井泰一(かないたいち)さん
中井さん曰く「めちゃめちゃ優秀な方」で、米を磨く割合を大きくせずとも、その他の酒蔵と対等に渡り合い1位や2位を獲得するだけの技術を持っていたそうです。
また金井さんが福井県に赴いた1年目にはその酒蔵が連続して金賞を取るようになり、それをきっかけとして現地で能登杜氏の評判が広まり、福井にどんどんと能登杜氏が呼ばれるようにもなったとのこと。

そしてもうひとつ、金井さんの腕の良さや評判がわかるエピソードが、中井さんが初めて能登杜氏組合の会合に出席したとき。
「いろいろな杜氏さんから『いい人に習っているんやからしっかり勉強しなさい』と声をかけてもらえた」ということがあったそうです。

その、とびきり優秀な金井さんの元での修業期間は約7年。
蔵に招いたときにはすでに70歳を迎えておられたのもあり『5年で覚えてくれ』と言われていたそうですが、いざ実践してみると大変に難しく、結果として延長で7年となったそうです。
それでも、職人の世界でよくある『見て盗め』ではなく、金井さんは『丁寧に教える』方法を選ばれたようで、これに関しては「ラッキーだった」と中井さんはいいます。
見て盗む形では「20年かかっても覚えられへんかった(笑)」と笑っておられました。
腕はよかったものの、もともと人に技術を教えるタイプではなかったとも仰っておられ、金井さんはとても苦労されたのではないかな、と中井さんは回想されていました。

自身の技術を伝承することを最後の仕事に選ばれた金井さんの丁寧な指導を受けて誕生した、能登杜氏の系譜を継ぐ『蔵元杜氏』
まだ少し早いとは思いつつ失礼ながら次の代について伺ってみると、もうすでに息子さんが杜氏として修行中とのこと。
「継ぐと言ってくれているし、ありがたい。」
こうして技術と文化が脈々と継がれていくということは本当にかっこいいことだなと、羨ましさとともに、なんだか胸が熱くなってしまいました。


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と、前編はここまで。
とても興味深いお話ばかりですが、後編もまだまだおもしろいです(*^-^*)

是非お楽しみに!!!


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 【浪乃音酒造】アクセス
公式HP // Facebook // Instagram
住所:滋賀県大津市本堅田1-7-16
電話:077-573-0002
営業時間:9:00 〜 17:00

 **情報は2020年8月末時点のものです**

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