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おとうとのいないわたし
私には弟がいて、お姉ちゃんになった時期がほんの少しだけあった。
でも私は弟の記憶がなく、小さい頃に父が弟の事を話してくれたのだけは覚えている。
『心臓にはお部屋があって、分かれていなきゃいけないお部屋がつながっていて、生まれてすぐに死んじゃったんだよ…』って言う感じの話だったと思う。
今となっては私も40代半ばなんで、薄っすらとしか記憶にない。
共働きだった両親。
父は長距離運転手、母は家から離れた場所にある靴を製造する工場で働いていた。
父が日帰りの仕事の時は、母は仕事を、私も保育園や小学校をズル休みし、父の運転するトラックに一緒に乗って着いて行った。
サービスエリアのあたたかくてふっくらとした竹輪や、ちょっと古びた食堂で食べる豚汁など、父のすすめる食べ物はどれも美味しかった。
父も母も忙しくしていたけど、私のためにちゃんと時間を作ってくれていたから、ひとりっ子になった私は寂しいなんて思った事はなかった。
でも、歳をとるにつれ、もし弟が生きていてくれたら…と思うようになった。
歳をとっていく父と母の事、相談したい事もあるし、コレってお姉ちゃんが間違っているのかな…とか、ちゃんと意見を言って欲しいけど、そもそも弟が生きていてくれていたとしても、そんな話が出来るほど仲良くいれただろうか…とも思う。
おとうとよ、
知っているとは思うけど、
今でもお母さんは癌と闘っています。
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