収まりきらなかった診断SS①

「急に雨だなんて信じらんない」

こんなの、口を尖らせない方がどうかしている。
なにせ今日は河原でスケッチしながら青空の下でお弁当を食べる筈だったのだ。折角亜門さんに準備してもらったのに、肝心の太陽はそっぽを向いてしまったようで。
湿気に負けないくらいジトリとした恨みを込めながら 雫の滴り続ける窓を睨み付けていると、亜門さんはくすりと笑った。

「ですが紗夜さん、サンドイッチと食後の葡萄がなくなったわけではありませんよ」

でも、と反論する前に「そうだ」と彼は手を合わせる。そうして身を屈ませると、別にパパには聞こえやしないのに、まるで内緒話みたいに囁いた。

「今日だけチーズ挟み放題にしてしまいましょうか」
「…!……ふふ…」

ああ、信じられない。なんて卑怯な使い魔だろう。そんなの、口元が緩まない方がどうかしている。

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貴方はあもさやで『悪天候はむしろ、好都合』をお題にして140文字SSを書いてください。
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