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Ponde
2020年3月31日 19:48
佐波視点—————耳触りのいいその声が、好きだと思った。 「〜♫」 朝。偲が気怠げな身体を這わせてでも布団から出てきたのは、ベッドルームまで漂ってきた焼き鮭の香りに釣られたからに他ならない。ぺたぺたとダイニングまで足を運べば、次第に米の炊ける匂いや味噌汁の香りも混ざり始める。それと同時に、低い、しかし機嫌の良い鼻歌も聞こえてきた。『彼』は少しばかり怖い見た目をしているが、多分