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心の奥底から好きでたまらない!…との向き合い方。

私は焼菓子を焼く人です。
だいたいBitteという焼菓子店の厨房にいます。

以前、心底から好きなことがありました。
それで身を立てられるなら、さぞや幸せなことだろうと、
妄想した時期が長くありました。
若かった頃のことでした。

しかしその妄想は呆気なく潰えました。
まるで突然、シャボン玉が破裂するかの如く消え行き、
その代わり、そこに残されたのは夢も希望も見えない「現実」でした。

夢見る時間まで取り上げてしまうなんて、現実とは何と酷いことか。
そうなんです。
時間は有限なんです。

それからの私はグレーな毎日でした。
夢見る時間があるなら、現実を直視せよ。
兎に角「現実に則した人生設計」をするよう…それはまるでマインドコントロール。
時は、大学進学を控えた頃でした。

突然の進路変更に、教師、友人、周囲の多くの人から疑問の声を投げかけられました。
言うに言えない言葉の数々を、ひたすら胸に封じ込め、頑なに口を閉ざす日々。
先ずは、明るい明日も希望も、何も見えない暗闇の高校生活でした。

「現実が見えたんだ」なんて、言えない…。

それがダメなら、これがある、このような考え方も選択肢も見つからなかった。

それからの私の人生、特に考え方に於いては、大きく変わりました。
それを「成長」などと、認めたくもないけれど、
大人の目には、そう映ったに違いない。

今、思う。
好きなことほど職業にせず、好きな気持ちは心の奥にしまっておいて、趣味にする生き方を選ぶ方が、幸せなのかも知れない。

これまでにも、仕事仲間、同僚、先輩etc.
色んな人から「何でも好き過ぎるって逆に危険よ〜。好きなことを仕事にすると、追い詰められて〝せっかくの大好き〟が嫌いになっちゃうかも知れないわよ〜」
よく聞くセリフだった。

ここで余談。
テレビ番組なんかでアベックに質問する…
「好きなところはドコですか?」
「全部です」
これこそ嫌いになる時は「全部」
これに似てるなぁ〜。
余談終了。

皆それぞれに、心のどこかで折り合いをつけて来て、今に至っていたのだろう。
そして私も。

とってつけるようだが…今の〝菓子焼き業〟が、私にとっての〝二番手、三番手〟ということではない。

ただ「好きで好きで止まない」こと、「三度の飯より好き」なことを、敢えて職業にしない選択。
こんな幸せもある。


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