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【ミックスアレンジ分析】Wage War - Pressure (2019)【全曲レビュー】

Wage Warの3rdアルバム『Pressure』全曲を聴きながら、注目したポイントをメモしていきました。※2ndアルバム編はこちらから

今作からプロデューサー/エンジニア陣が交代しており、Drew FulkとJeff Dunneになっています(最近のFit For A KingやCrystal Lakeでお馴染み)。

ただし7曲目の"Low"だけ、Jeremy McKinnonとAndrew Wadeの1st-2ndチームによるプロデュース。またミックスも仕様が異なり、先行リリース(PV)時の"Low"はDrewではなくMark Lewisがミックス&マスタリングでクレジットされています。

以下redditにWage Warが降臨したときのスレッドから引用。

The original “Low” was mixed by Mark Lewis, and we love it. However, Drew Fulk mixed the entire record and we wanted everything to sound cohesive so Drew re-mixed it!

作品としての統一感のために、アルバム版の"Low"はDrewが再ミックスしたようですね(サウンド的にどこが違うのかは後ほど)。


それではさっそく1曲目から。

1.Who I Am

0:00 
メインのリフ以外に、最低でも4種類くらいの音域からフェードインが聴こえます。

0:25-0:29
センターあたりからフェードインして消えるギターエフェクトがカッコいい。この後、似たような音が右にポジショニングしていき0:33でまた一瞬フェードインしてくるのも上がります。

1:10
ボーカルのモノラルディレイ。

1:16
1回目の同セクション(0:25-)と異なり、ちょっと高めの音域でフェードエフェクトが鳴るのが絶妙。

1:24-1:32
パパパパパ…と均等なリズムで鳴り続けるハーモニクス?が、最後バッキングギターの波形切りリズムとも合流(1:32)するのがストーリー性あって痺れました。

2:09-2:17
また「パパパパパ…」音登場。薄くですが、ここらへん~前後のパートでずっとスクラッチっぽいエフェクトも鳴っている気がします。


2.Prison

0:31-0:33
遠くで鳴るクリーンボーカルのディレイが、直後のサビとの距離感を作っていてカッコいい。0:17~のAメロでも声にちょいラジオっぽくなっているのは、あえての引きなのかなと。

1:15
1回目のサビ前と同じくボーカルディレイがありますが、フェードインはなし。代わりにドラムフィルでの展開。

1:32
「prison」でシャウトだけになるのがアクセントに。1回目(0:50)ではクリーンVoも「This is my prison」と全部歌っています。

1:49-1:58
0:50~にもありましたが、ここから四分の表拍に手拍子みたいなエフェクトが追加。

1:54
ここのミュート最強。めちゃくちゃ良い。

2:04
3回目は低い音域でのボーカルディレイ残し+シャウト乗せ。サビの入り方が3回すべて違い、バリエーションの豊富さにうなります。

2:36-2:40
少しだけアレンジが入るドラム!、隙が無い。


3.Grave

メタルコアでは珍しいドラムビートが印象的な曲。

1:00-1:02
サビ前にLからRへ移動するエフェクト。

2:35-3:06
このクラップ音(?)が今作からの新たな要素の1つ。


4.Ghost

0:18
Rギターのリフハモりが面白い。

1:31- 
リードのハモりがくると、1st~2nd感が増しますね。

1:59
ソロ終わりは大胆に音量デカめの波形切り。2周目の2:03も同じ処理をすることで、悪目立ちしないようになっているのではと。

2:12-2:27
歌を抜くのが興味深い。


5.Me Against Myself

0:31-
ドラムへのフィルター、使い方が巧み。

1:05
タンバリンも効果的に作用。細かい音符で鳴る楽器があると、リズムが締まりますね。

2:52 
4つで波形切るの好き説。

3:14-
一瞬のシンバル(リズム)ワークが良い! 「タツツタツツタツ」って感じのアクセントの。


6.Hurt

1:02
ギターボリューム上げからのカットでシーン切り替え。

ちなみにメンバー(Seth)はメタルバンドと並んでDan+Shayをフェイバリットに上げていましたし、今作で歌の比重が増したのも理解できます。


7.Low

■オリジナルバージョン(Mark Lewisミックス)

0:18-0:22
ここのキック音量が抑えめになっていて、直後のバンドインからデカく(規定?)になる。

0:23
おそらく瞬間的にベースのアタック側トラックを激上げ。モノラル感(中央)が強いので、リズム隊を軸にボリュームを動かしているのではと。逆に2:32や3:02あたりのインパクトは、ステレオ感強めで鳴っています。

1:40~
このパートは基本スネアのリバーブ感が強くなっていますが、1:50のフィルで入るスネア2打(タタ)だけリバーブが切ってあります。ドラムだけが鳴っている「ターン"タタ"ドン」のところ。

ドラムのフィルインでショットが細かくなるときは、リバーブ感がカットされることが多いです。連打がボヤけるのを防ぐためかと。


2:55~
ラスサビ入り直前のクリーンVo。歌詞でいう「It feels like I’ve lost it all」の最後、「all(2:59~)」で声が奥に遠ざかっていきます。そして直後のラスサビ一声目から距離が戻って、クリーンVoが再び近くで鳴る。

3:01~3:30
「アーーアーーアーーアーー」って感じの長いバックコーラスがずーっと鳴っているような。1~2回目のサビにはない気がします。



■アルバムバージョン(Drew Fulkミックス)

0:14~
Lギターが若干ステレオ気味に(オリジナルはもっとLRに振り切りを感じる)。

0:19-0:21
ピックスクラッチが消失。0:21のボーカルブレイクに合わせて後ろで鳴っているシンセも止まるので、その兼ね合いでカットしたのでは、という推測です。

0:22
「ヴェア」のディレイ回数がオリジナルより多い。

1:25
「Hard to think」のthinkがモノラルディレイ気味に?

1:46-1:48
「Bury me」にモノラルディレイ追加?

2:15
バッキングギターのボリュームオートメーション(一瞬音量が上がっていく)が分かりやすくなっている。

2:24-2:31
オリジナルにあった空間埋めの上物ギターが無い(もしくは小さい?)

2:32
「I’m one step from the edge」のedgeにかかったディレイのリズム変更。

3:01~3:30
サイドで鳴り続ける「アーーアーーアーーアーー」って感じの長いバックコーラス(アーというかオー?)が聴こえやすいような。

3:21
「save myself」の追っかけがモノラルでフィルター気味。

3:30
最後のシャウト「Save me」のステレオディレイ追加(もしくは音量上げ?)


アルバムミックス側は、サウンド全体の質感も変わっています。ベースの音色がオリジナルよりもっとディストーションっぽい感じに。シンバルやキックも派手に聴こえます。

ちなみにYouTubeにあるストリーム動画はオリジナルミックスのようです。自分はApple Musicユーザーではありませんが、iTunesでチェックした限りではSpotifyと同じくアルバムミックスでした。ディレイやピックスクラッチで比べるのが分かりやすいかと思います。


8.The Line

0:08
歪みを混ぜたシャウト。

0:40-0:42
このドラムフィル時とデカいビート時で、スネアの音色(レイヤー?)を使い分けているのが確認できます。

1:54-2:11
ベースのアタック音が印象的。この曲は全体的にベースが聴きやすい気がします。


9.Fury

1stを彷彿とさせるアグレッシブさに上がる1曲。

1:44
1:48
1:51
やはりこうしたエフェクト音は振り切ってデカく出すと映えますね。

2:49-
大きいビートの上で細かい音符フレーズ(シャカシャカ?チャカチャカ?)を入れる鉄板のアプローチ。


10.Forget My Name

0:25-
ベースのバキり具合が炸裂。

1:16-
キックが入ってきますが、1:28~のために音量を抑えていますね。

1:48-
ボーカルメロディとトラック処理の組み合わせから、なぜかEvanescenceの1stを思い出しました。

2:33-
0:59-1:06でもあった、鼓動のようなキック音二打がここでも登場。

3:03
イントロとの連携性を考慮してか、コーラスよりもタッピングギターをハッキリ聴かせにきてる感じがします。


11.Take The Fight

0:31-
L側から、お得意のウネウネ上物ギター追加。

1:37-
「I see PAIN I see RAGE」のPAINとRAGEにディレイ的なアプローチで空間埋め。サビの「I Know/Cause I know」のknowも同じく。この曲はいたるところで同種の追っかけディレイが確認できます。


12.Will We Ever Learn

1:20
微妙にバッキングギターがボリュームアップしてからドラムフィルへ。

2:46
2:53
高いハモりがカッコいい。

3:09
スネアリバーブがデカくて最高!

3:54
終わりもギターボリューム上げ。シンバルだけ残した意図を知りたい。


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というわけで、以上12曲分お届けしました。
よりアルバムを楽しむきっかけになったら幸いです。

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それではまた🙆!


▼1stアルバム『Blueprints』編

▼2ndアルバム『Deadweight』編




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