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2020.3.24 草木花の夢

  前触れなく、というよりはふわりと常考しているような気もする。ふだんは深いところに置いてあるこの気持ちが、なにかの折に触れて表面をぷかぷかと漂うようになるというか。この日は風の強い春の夜だった。

このときの「嘘だったらいいのにな〜」は決してネガティブではなく、「死にたい」「消えたい」と生を手放したいわけでもない。ただ穏やかに、この世界の非実在を望んでいる。私の目を通して見ている世界(社会、生活、人生、そのほかすべてのもの)がすべて、自分ではない誰かの夢であったらと願うような、そんな夜は突然訪れるのだ。

胡蝶の夢でもいいけれど、静かに、誰にも見つからないように眠る草木花の見る夢だったらどんなに素敵だろう。微睡む春の日よ、あと少し暖かくなったら眠りから覚めましょう。

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