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絡む糸を組む。

 ある事に抜擢されて、結果的に断った案件がある。
わざわざ、自分を選んでくれたという事は嬉しくないわけじゃなかったが、
一対一で、話していく中で、違和感を感じてしまった。ここで社会人ならばとか、大人としてならばとか、対応の仕方は幾らでもあったのだろうけど、

 それは丁寧で親切な言葉に含まれている棘。
「此方が選んであげているのですよ?貴女以外にも希望している人なんて沢山いる。悩む必要ないでしょう?貴女には得することしかないんだから。だってウチは大手の知名度ある会社なんだから。寧ろ有り難く思いなさいよ」
という驕りを隠そうとしない雰囲気に、正直辟易してしまった。

「お腹一杯」ごちそうさま。

 キチンと分かっている。世の中はそういう部分を持ち合わせているから成り立つものだと。世渡り上手は長いものに巻かれていればいい?巻かれたら、巻かれた先に、また巻かれ続ける状況が続く事を知っている?キャリアアップだから?
時に、健全さを失う事もある。
自分の歩む道の目の前に、通常ルートとワープルートと2つがあったら、わたしは迷わずに通常ルートを選ぶ。急がば回れ!ばかりじゃないのも充分分かっているけど、やはり着実にマイペースが一番の近道だと理解しているから。(一か八かで、ワープする時もある)勝負は嫌いじゃない。

 物事は表裏一体。自分にとって本当に必要なものかを考え、的確に、迷いながら選択する事は重要で、その行為こそが、人間の内面の精神の根っこを太く強くしていくものだと、つくづく思う。

 惜しいと思うより、帰りのビルの雑踏を歩く、夕日の眩しさに、目を霞めながらも、爽快感で身体も足も軽かったのを覚えている。手には重いバッグを持っていたにも関わらず。

 やっぱり、生きている感覚、自分が心地良いと思えるものを純度高く選ぶ事は苦しい面もあるが、これからの自分にこそ大事だと思っている。


#エッセイ #急がば回れ #自分の生き方

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