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九州発の2度目のイノベーションが愛媛県にやってくる

イノベーション=技術革新


と、日本語に訳されることが多いですが、本来は技術に限らず広い概念を持っています。
モノ・仕組み・サービス、組織、ビジネスモデルなどに新たな考え方や技術を取り入れて新しい価値を生み出し、社会に大きな「革新」「刷新」「変革」をもたらす事で、よく発明と混同されますが、単純に新しいだけでは『変化』でありイノベーションではありません。

ではタイトルにある『九州から愛媛県にやってきたイノベーション』の1度目のイノベーションとはなんでしょうか。

わたしは愛媛県土産の大定番である、皆さんも一度は目にした事があるであろうあの菓子が1度目のイノベーションに当たると考えています。

そもそもあの菓子がどこから愛媛県にもたらされたのでしょうか。

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そもそも菓子に欠かせない砂糖は戦国時代終わり頃より、長崎に来航するポルトガル船からもたらされてきました。

この時、砂糖と共に砂糖食文化もポルトガル船によってもたらされ、南蛮料理と共に南蛮菓子も九州各地に伝えられました。
その後、各地へも伝播していきますが江戸時代の初めに長崎で起こった外交事件が、ある南蛮菓子を四国へ伝えることになりました。

1639年、幕府の鎖国政策によりポルトガル戦の来航が禁止された後、およそ8年後の1647年ポルトガル船2隻が貿易の再開を求めて長崎に来航しました。

ポルトガル船を警戒した幕府は長崎警備の当番であった福岡藩(総人数1万1730人)を始めとし佐賀藩、熊本藩他、九州・四国の八大名(総勢5万人)で長崎港を封鎖しました。

2隻の船に対してなぜそれほどまでに警戒したかというと鎖国政策を決めた翌年に来航したポルトガル船に対して船の焼却と乗組員の斬刑を行い諸外国に鎖国の意思と意向を示した経緯もありそれに対する報復を警戒していた為といわれています。

この時、ポルトガル船が退去するまで海上警備の指揮を執ったのが現在の愛媛県である松山藩主の松平定行であり、長崎滞在中に南蛮菓子であるタルトに接し、その味の虜になるほど気に入った松平定行が帰郷の際に製法を学ばせて国もとに持ち帰ったのが愛媛名物であるタルトの始まりといわれています。

松平定行が食べたのはカステラの中にジャムが入っているものだったといわれていますが、そのジャムが柑橘系だったことから四国特産の柚子をアクセントに加え、ジャムの代わりに和の要素であるアンコを取り入れた菓子に変化させたといわれています。

製法は後に久松松平家の家伝となり長い間ごく一部の人だけが知る菓子でしたが、明治以降に松山の菓子司にその技術が伝わったとされます。

これが愛媛定番の菓子、タルトの誕生でありタルトとは諸説ありますが、オランダ語でケーキを意味する「taart」からとする説やポルトガル語でロールケーキを意味する「torta」からとする説があり、いずれもラテン語の焼き菓子に由来します。

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経済学者のシュンペーターはイノベーションの具体例として、「郵便馬車をいくら繋いでも鉄道は生まれない」と説明していますが、イノベーションには常識を変える斬新なアイデアが必要です。

同じようにソニーのウォークマンは「テープレコーダーは記録媒体」という常識を打ち破って録音機能を捨てた話は有名ですが、松山藩(現愛媛県)の菓子司がいかに優秀であっても海外からもたらされたカステラのような異次元なものは生み出せないのです。
海外からイノベーションであるタルトがもたらされ、それを日本流にアレンジし質を高めてきたものが現在の愛媛県のタルトです。

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そして2023年6月、九州から新たなイノベーションが愛媛県今治市に持ち込まれようとしています

一般的なプログラミングスクールであるSUNABACOです。

SUNABACOに関してはここでは語りません。Twitterなどで各地の活動を確認してみてください。きっと興味を持たれるはずです。

イノベーションの第2の特徴は断続的なシフトが次々とより大きな体系を変えていく波及効果にあります。
しかしイノベーションのジレンマという言葉があります。
既存勢力から見た時、新しい技術は未熟なものとして映りますし、さらに既存事業と比較すると小さな市場に見えます。イノベーションは発明とは違い個人や社会が変わらなければ実現しないのです。

異文化であるSUNABACOが今治市に持ち込むイノベーションでどのような化学反応が生まれるのか、わたしは今から楽しみにしています。

それは今治駅近くのイノベーションビルからもう小さな躍動を始めており、それをオープニングから立ち会えることにわたしは大きな興奮を覚えています。

SUNABACO今治は明日いよいよオープンを迎えます。
どのようなタルトが生まれるのか今から楽しみでなりません。

#SUNABACO今治オープンに寄せて書かせていただきました

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