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詩集「いのちの芽」から

一九五三年、らい予防法闘争のさなか刊行された本書は、全国八つのハンセン病療養所から七三人が参加する、複数の療養所からなる合同詩集としては初めてのものだった。今年は刊行から七〇年目にあたる。この間、一度も再刊されたことがなく、幻の詩集となっていたものである。

解説『いのちの芽』復刊に寄せて  より

今日はとりいそぎ、この「いのちの芽」から
詩を一編引かせていただきます。

師の回復を祈って。



青空 |   志樹逸馬

青空には
永遠につらなる人間の生命のつぶやきがある

じっと見ていると
それはしずかな輝きを増してくる
──果しない深みの中に
人間の 汗や よろめきや 悶えが
皆んなここで濾過されて
澄んだほほえみや涙になってかえってくるような
 気がする

多くの人の希いも手と手を握る温味も
青空は いつも見ていてくれている

天はまねき 地はささえる
生きとし 生けるものを
私の十字架も
青空の瞳の中に かかっている。

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