見出し画像

MV制作の流れ


「MV作りたいけどどういう感じで進めていくんだろう?」
「依頼するのがそもそも難しそう…」

という方に、わかりやすく解説してみました。同時にMVの作り方について役立ちそうなTipsを書いてみたよ。MV作りたい人は参考にしてみてね。

解説にご協力承諾頂いたMVはこちら。ちょーかっちょいいよ!
「Vanguard」


使用ソフト

・お絵描きソフト GIMP(無料)
・アニメーションソフト Anime Effects(無料)
・動画ソフト Filmora(年間6,980円課金)

動画ソフトにしか課金しておりませんので、かかるコストは582円/月です。Filmoraでは、ソフト内でかっこいいエフェクトなどが課金制になっていますがなにも課金しておりません。例えばアドビで全部作れるようにすると、Creative Cloudコンプリートプラン10,280 円/月 というのがあるよ(年間でまとめて払うと6480円/月)!高いね!一年支払うとかなりいいスペックのPCが買えそう。音楽機材だって買える!ただアドビはそれぞれのソフトの機能は高いしベクターも扱えるしアドビが用意してくれてる映像コンテンツやフォントなどが使い放題なので幅は広がるかもです。けど、Filmoraでもご覧の通り十分仕事はできます☆

1.楽曲を拝聴。シナリオのご提案、打ち合わせ

 まずは楽曲の作家さん、ニゆツさん(@NYUTU11)との打ち合わせです。ビシャモンの過去作「まっ暗闇で踊るスタイル」みたいなものを作って欲しいとのことでした。嬉しいね!こんな感じでご依頼の前に参考MVをご紹介頂くと「これならこういうイメージでこのくらいの料金でできますよー」とか、ご予算があまりにかけ離れていれば「こういう方法もありますよー」とご提案しますので、ご相談はお気軽にどうぞです!

 曲を拝聴しつつ歌詞をじっくり拝見しつつ、こういう絵が欲しい、こういう効果にしたいなどをざっと書き出して全体のボリュームを掴みます。今回はニゆツさんがビシャモンの過去曲「まっ暗闇で踊るスタイル」を聴いて下さったので、曲の方向性もとても相性がいいなと思いましたし、素晴らしい楽曲なのでぽんぽんとアイディアが浮かびます。曲を元にいくつキャラクターを描けばいいのか、どういうアニメーションを挿入するのかざっくり見当をつけておきます。大事なのは、最初は描きたいものを自由に描いて行くつもりでたくさんアイディアを出すこと。発想を制限してはなりません。自由に発想する。そのあと、ご予算と時間によって優先順位をつけて削って行きます。歌詞で解釈の難しい点などあればここでクライアントに確認したりの作業もします。今回は「十戒」というキーワードが出てきたので、モーゼの十戒をググってお勉強、そのあと映画「十戒」をちょこっと拝見。なるほど、なるほど、自分を戒めているものだけが救われるし、人間は一週間に一日は休まなきゃいけない!!笑

というわけで十戒にちなんで「歩き続けてどこかにたどり着きそうな男」が描かれていましたので、刑務所から脱走している設定だと面白そうです。追われている危機感や、崖の上の孤立した刑務所という設定のドラマチックさを足したいなあとぼんやりと考えつつ、ざっくりのストーリーと設定を文面でご提案しました。ご予算に応じて「キャラクターはこういうポーズの三種類描いてバリエーションで見せて行けたらと思います」とこちらも文章でご提案(最終的にはそれより少し多めに描きました)。ニゆツさんからは「是非それで!」とのことでとてもスムーズにお話が進みます。

過去にはこの時点で絵コンテを描いたり、Vコンテも作ったりしてみたのですが作っている途中にストーリーも練り上げられていくし、楽曲を何度も拝聴して解釈や方向が微妙に変わったりすることもあるので、最初は文面でざっくりのご提案にしています。ここは信頼してお任せ頂けると大変にありがたい。

2.キャラクター考案

 キャラクターのカラーラフを描いていくよー。まず曲調やボーカルさんのキャラクターから等身を考えます。「Vanguard」はかっこいい曲、かっこいいボーカルさんで色気もあるので7.5頭身くらいに決定。MVにおいてのキャラクターはとても重要で、ここが魅力的に描けないと「誰かようわからん人になに言われても興味ない」ってことになってしまいます。なので、冒頭から手錠をかけられて振り向く男、そして刑務所に入る前に撮影する写真、マグショットを描いてみました。この2パターンを冒頭に登場させることで、視聴者の興味をぐっと惹きつけたい。ご提案したキャラクターはこちら。

お絵描きソフトは無料のGIMPですが十分描けます。次に使うならクリスタ(CLIP STUDIO PAINT - クリップスタジオペイント)に課金しようと思っています。パース補助や色塗りのショートカット、重ねて描いてしまった線の処理機能、便利機能がたくさんあるっぽい。

さてさて、キャラクターのご提案をしたところ、ここでもニゆツさんは「是非これで!」。なんといいクライアントでしょう。

3.アニメーションを作る

キャラクターOKが出ましたので、別ポーズのラフも清書して今回のメインである「歩くアニメーション」を作ります。髪だけ別レイヤーで、影入れまですべて終わったイラストをパーツでレイヤー分けします。本体、髪、右手、左手、右足、左足に分けたらpsd.ファイルでエクスポート、Anime Effects(無料ソフト)に読み込ませます。んで、歩く動きをつけていく。アニメーションを作る時間は延べ2,3時間くらいだったかな。一度機能を把握すればそんなに時間はかからない。イラスト描く時間の方が長いです。

アニメーションソフトのAnime Effectsは無料なのにできる子です。しかし、このプログラムは個人プロジェクトで配布されていたようで、現在はサポートもほぼやってないかもなので使い方はYOUTUBEなんかを見て学ぶしかないかも?MOVファイルが貼り付けられないので静止画ですが、これを動かします。


ラストの「手のアニメ」は差分を5枚描いて並べただけなので、Anime Effectsでは並べてどのタイミングで出現、消えるかを設定してエクスポートしただけです。ちなみに「手のアニメ」は自分の手をスマホで動画撮影してそれを取り込んでトレースするというチート技を使いました。

※注意すること:撮影するときは動画イメージと同じ方向から光が射しているように撮影します。そうすると、光の加減、影入れでもそのままトレースできるよ。

とにかく時間との戦いなのでショートカットできるところはどんどんショートカットしていきます。


4.短い尺(1min)の動画を作り初稿としてお送り、確認して頂く。

キャラクターを描いてアニメーションもそろえたらいよいよ動画制作です。

背景素材を揃えざっくり並べてみて、必要であれば色調補正やタッチ補正していきます。今回、冒頭の刑務所は背景の一枚絵を描きましたが、その他の素材は動画や静止画のフリー素材です。検索でとにかくたくさんがーっと見て回って選定して保存したら、カラー、タッチ調整する作業です。ガシガシやっていこう。

エフェクト類は曲が連れてきてくれるので、選ぶというよりは最適なものを見つけて挿入していく感じです。ハイが入ってきたらきらきらさせたり、ジャキっという歪みが入ってきたらひずませたり、音場が広がる部分では広がりを感じるもの、シーンがぱっと切り替わるならホワイトアウトなどなど、これは歌詞や編曲や曲のシーンが連れてきてくれるので半ば自動書記っぽい作業です。ニゆツさんの楽曲中では、この辺り編曲や歌詞で緻密に計算され演出されていたので、それに沿ってエフェクトを挿入するだけでとてもかっこよくなってきた!映像を浮かべながらしっかりしたイメージの元に歌詞を書かれたり編曲されたりしたがとてもよくわかります。この辺りは作家さんのセンスですね~。

歌詞テロップも同じく、曲調にあったフォント、サイズ、演出というのがおおよそ決まっているので、自分でクリエイティブを発揮しなくても大丈夫。作詞をじっくり拝読して、作家さんの意図をどういう方向に広げて見せていくのかを考えながらやっていきます。

短い動画をお送りしたら「導入部の見せ方や、タイトルやフォント」「全体の色調や動画の切り替わりのタイミング」などをご確認頂きます。ビシャモンはこの時点での修正は無制限(※当初のご依頼と違う場合は有料の場合もあります)で受け付けておりまして「ご遠慮なくお伝え下さい!」とお送りしていますが、ニゆツさんからは「是非このままで!」。

なんといいクライアントなのでしょう。


5.残りのキャラを描いて動画全体を仕上げる

残りのキャラをラフ画から清書して、足りないなと思ったキャラを描き足したり付け加えたいアニメーションを作ったりして、動画を通しで仕上げます。そしてお送りして一旦ご確認頂く。MVの制作は何度も確認作業があるので、クライアントも大変ですが「最後までお付き合い下さい」の気持ちでやっております。さあ、仕上がりました!送ってみます!

「このままでOKです!素晴らしいです!」

ありがとうございますありがとうございます。


6.最終段階クレジットの挿入を伺う

ココナラでは匿名でご依頼されている作家さんも多いので、クレジットの挿入の詳細を伺います。ここで初めて作家さんが「ニゆツさん」ボーカルが「APOLLOさん」であることを知るビシャモン。自分のクレジットも入れていいか訊ねることもお忘れなく!OKでしたのでいそいそとクレジットを挿入。

そして、全体のエフェクトの手直しや画像、歌詞テロップのタイミングなど気が付いた部分にちょこちょこと手を入れ、クレジットを挿入、サムネとジャケット映像を作って納品です!

「修正箇所などあれば、ご遠慮なくお伝え下さい!」
「ありません!これでOKです!」

なんといいクライアントでしょう…。

__
さてさて、ここまで約10日間のやり取りでした。ご確認頂きお返事を待つ時間があったので、実作業は7日くらいかな。他の仕事がなければ延べ1週間で完成しますが、休日や連絡のやり取り、タイムラグなどを考え合わせて2週間程度見て頂けるとありがたいです。
__

ご質問などあればTwitterで聞いてね!

@BISHAMONBABY

ツイ廃なので、いつもいます。笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?