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渋谷Bunkamura ザ・ミュージアム「超写実絵画の襲来」を観てきた感想

いろいろと少しずつ自粛も緩和されていくなかで、美術館・博物館なども動き出していますね。
そんな中、Bunkamura ザ・ミュージアムでの「超写実絵画の襲来」を観てきたので、その感想などを書いておこうと思います。

休館中のホキ美術館所蔵作品を渋谷で見られる美術展

「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」は、東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで、千葉県の写実絵画専門美術館「ホキ美術館」の所蔵作品が見られる美術展です。
超写実絵画は、まるで写真のように(とはツマラナイ書き方ですが)、現実そのままを写し取ったかのような絵画です。

私自身は、2017年7月に『息をのむ写実絵画の世界』(近衛ロンド、日東書院)を読んで、ホキ美術館の存在を知り「いつか行ってみたい!」という美術館の一つだったため、とても楽しみな美術展でした。ホキ美術館は千葉県千葉市の昭和の森に隣接していますが、私の家からだと片道2時間はかかる……。しかも、ホキ美術館は、2019年の水害により休館が続いています。
そのため、Bunkamura ザ・ミュージアムで行われる「超写実絵画の襲来」はとても貴重な機会でした。

開催中止、そして再開催

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「超写実絵画の襲来」は2020年の3/18から5/11まで開催されることになっていました。
この間、4/7に緊急事態宣言が発令。会場のBunkamura ザ・ミュージアムも休館。5/6までを休館期間としていましたが、結局その後も休館が決定。
「超写実絵画の襲来」は正味2週間程度で開催中止となってしまいました。

やはり私の話で(スミマセン)、Bunkamura ザ・ミュージアムでその前に開催されていた「永遠のソール・ライター」も行きたかった展示会。でもこれも、全期間を待たずに開催中止。混雑するだろう休日を避けていたら、結局、時間がつくれず……。当初3/8まででしたが2/28以降は中止となりました。
だから、なおさら「超写実絵画の襲来」は行こうと思っていたら、これもタイミング合わないうちに中止。非常に残念でした。

それが、ある日、Bunkamuraのホームページを見ていたところ……

改めましてこの度、作品を所蔵するホキ美術館のご厚意により、特別展「超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵」として6/11(木)より再開催することが決定いたしました。

6/11から再開催!
「ご厚意」って本当にありがたいことだなと思いました。いろんなことがイレギュラーになってしまったからこそ、できる範囲でやってくれることは本当にありがたいです。

超写実絵画のリアリティ

そして、改めて、平日の日中、あまり混雑していないだろう時間帯に観に行きました。
入口での体温チェック、連絡先の記入、殺菌をして入場。ソーシャルディスタンスをしっかりとれる、2メートル以上離れられるくらいの人の入り具合。余裕を持って観られます。静かですしね。

以下、3つほど、印象的だった作品を挙げます。

1つ目は、「超写実絵画の襲来」のポスターなどに使われている、生島浩氏の「5:55」
私は専門的なことがよくわかっていないので、実際に見て、キャプションを読んで、それが「5:55」という題名であり、それが時刻を差すことを知りました。そしてモデルの女性が帰る時間が6時で、5時55分は、「そわそわ」する時間であることを。アンニュイだけれど、意思がありそうな表情の理由が、腑に落ちた感じ。
人物は等身大のように大きく、比例して、右上の掛け時計も5時55分であることもしっかり読めます。
タイトルの意味ももちろん、字面として5が重なる面白さも良いですよね。

2つ目に、こちらも、絵はもちろんタイトルも印象的だった鶴友那氏の「ながれとどまりうずまききえる」。超写実絵画だから、水の表現もとても綺麗です。
現実そのままのように描かれている、けれども絵。それがまた面白い。

そして3つ目に、個人的に一番惹かれた、安彦文平氏の「自然への感謝」

全体的には、ちょっと薄暗いトーンだけれども、水に映る空の色は明るく、それを逆光に中央の赤い花びらが透けて見える。
対照的な、自然と人工物。この場所がどこか分からないけれど(キャプションに書いてあった気がします…)、左奥の車の多さに、意図的なものを感じます。不要なまでに多くの車=人工物を、境界線としての川向こうに配置。人工物を映さない水面のゆらぎ。人工物への批判すら感じますが考えすぎでしょうか?
一方、絵の主役に据えられ、品をもって描かれるのは、大きな石に並べられた野菜や花。まさに「自然への感謝」。ですが、その野菜や花には、石の上に“並べた”誰か、人の手を感じます。そこに、“自然への感謝を示す”、人の強さへの敬意のようなものを感じるような。

リアリティはある。それはリアルとはイコールではない。少なからず作為的。リアリティの中にある美とメッセージの奥行。写真とは一線を画す、超写実絵画の面白さを、「自然への感謝」は教えてくれるようで、しばらく見入ってしまいました。

8/1からホキ美術館リニューアルオープン予定

「超写実絵画の襲来」は引き続き、6/29まで開催しています。もうあと1週間。

そして、2020年の8/1からは休館が続いていたホキ美術館がリニューアルオープン予定とのこと。いろんなことが動いていることがありがたいですね。

「超写実絵画の襲来」の再開催を決めてくださった方々のご厚意を喜びながら、とりとめなく感想などを書かせてもらいました。



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